外務省によれば、11月10日午前6時までの時点で、新型コロナウイルス感染対策として82の国や地域が日本からの渡航者や日本人に対して入国制限措置を取っており、さらに104の国や地域が入国後の行動制限措置を設けている。
現時点ではそもそも航空便そのものが運航していない国もあるが、渡航可能である場合でも、その準備には従来よりもずっと多くのことが求められるようになった。もはや必須書類となったと言っても過言ではない存在となったのが、新型コロナウイルスに関するPCR検査の陰性結果証明書だ。
例えば、ネパールでは(日本国内で行う)ビザ申請時と空港での入国審査時に、72時間以内に発行されたPCR検査陰性証明を含む健康証明書の提出が求められている。
こうしたニーズを受け、11月9日には羽田空港でも検査体制が拡充されて「最短2時間」での証明書発行が可能になるなど、3つの主要国際空港で海外渡航者向けPCR検査の利便性向上が図られている。
とはいえ、空港ごとに検査を受けるための条件や価格等は少しずつ異なっているため、各空港のPCR検査に関する情報を以下に掲載する。
東京国際空港(羽田、HND)
検査を受ける条件
- 健康であること
- 海外渡航のために新型コロナウイルスのPCR検査を必要としていること
- 有効期限内のパスポートがあること
- 事前予約をしていること
当日持参するもの
- 申し込み用紙※
- 海外渡航者向け唾液PCR検査説明書・同意書※
- 有効期限内のパスポート
(※ 東邦大学羽田空港第3ターミナルクリニックホームページからダウンロード可能 URL:https://www.haneda.toho-u.ac.jp/international/information/2020PCR.html)
検査可能日・時間
検体採取:全日(土日祝含む)9:00-11:30, 13:00-17:30
証明書発行:全日(土日祝含む)9:00-11:30, 13:00-22:00
実施場所
東邦大学羽田空港第3ターミナルクリニック(1階)
料金
38,500円(税込み)※各種クレジット払いに対応、保険適用外
その他情報
陰性証明書発行までの所要時間:検体採取から最短2時間(再検査時4時間)
予約は上記クリニックのホームページにあるリンクから専用サイトへアクセスしてオンラインで行うか、080-7885-5109(日本語)または050-3173-8268(英語、中国語、韓国語対応)に電話して行うことができる。
成田国際空港(NRT)
検査を受ける条件
成田では、海外渡航予定がない人でも検査を受けることができる。渡航目的とそうでない場合とで、検査を受ける条件が以下のように異なっている。
海外渡航を目的とした検査希望者
- 有効期限内のパスポートがあること
- 渡航日、渡航先が決まっていること
- 渡航先に応じた書式を確認してあること
- 37.5℃以上の発熱・咳がないこと(ある場合は、通常診療へ案内される。)
- 再検査が必要になる場合があることや、検査結果が陽性の場合は保健所の指示にのっとって入院措置となる可能性があることに同意すること
それ以外の目的での検査希望者
- 37.5℃以上の発熱・咳がないこと(ある場合は、通常診療へ案内される。)
- 再検査が必要になる場合があることや、検査結果が陽性の場合は保健所の指示にのっとって入院措置となる可能性があることに同意すること
検査可能日・時間
365日24時間検査可能。事前予約なしでも検査を受けることができる。
9:00~17:00の間の受付は成田国際空港PCRセンターにて行われる。(証明書発行は9:00~21:00。)それ以外の時間には、日本医科大学成田国際空港クリニックにて実施される。
実施場所
成田国際空港PCRセンター(第1ターミナル中央ビル3階、第2ターミナル1階国際線到着ロビーB脇の2か所)
日本医科大学成田国際空港クリニック(第2ターミナルビル地下1階)
料金
成田国際空港の出しているプレスリリースによれば、下記料金は当初のものであり、需要動向に応じて引き下げを検討するとされている。また、カード決済用端末は準備中であり、当面の間、支払い方法は現金のみに対応となるという。
検査と証明書発行の両方を空港にて行う場合の料金(税込)
PCRセンター受付時間内:39,800円(予約あり)、46,500円(予約なし)
時間外:46,500円(予約の有無で変動なし)
事前に検査を受けており、空港では証明書発行のみを行う場合の料金(税込)
日本医科大学付属医療機関で検査を受け、証明書を成田国際空港で受け取る場合:受け取り時の料金はなし
日本医科大学付属医療機関以外で検査を受け、証明書を成田国際空港で受けると場合:5,500円
時間外(21:00~翌9:00):9,000円
その他
事前予約は渡航日の2日前までホームページ(https://www.nms-pcr.com/)にあるリンク先からオンラインで行うことができる。
また、11月末までは、受付から証明書発行までに必要な時間は最短6時間で羽田空港の3倍かかる。ただし、検査体制が整う12月からは受付から最短2時間で証明書を発行することが可能になる。検体採取から証明書発行までの時間であれば、羽田空港より30分短く、最短1時間30分になるとのことである。
電話での問い合わせは、0476-34-6121まで。
関西国際空港(KIX)
検査を受ける条件
- 健康であること
- ビジネス目的のが海外渡航のために新型コロナウイルスPCR検査陰性証明書を必要としていること
- 有効期限内のパスポートがあること
- 事前予約があること
検査可能日・時間
平日のみ。午前9:00~11:00、および午後13時~14時半。
実施場所
近畿大学医学部関西国際空港クリニック(第1ターミナル2階北側)
料金
44,000円(税込) ※クレジットカード(JCB,VISA)での支払い可能
その他情報
完全予約制であり、経済産業省TeCOT(海外渡航者新型コロナウイルス検査センター)のホームページ(https://www.meti.go.jp/policy/investment/tecot/tokousha/tecot_kaigaitokousha.html)から予約する必要がある。ただし、予約には事業者の行政手続きのためのgBizIDが必要とされるため、関西国際空港でのPCR検査の対象者ははビジネス目的での海外渡航者に限定されるものである。
また、結果の受け取りも、最短で翌日13時以降となっている。
中部国際空港(セントレア、NGO)
中部国際空港では、記事執筆時点では空港内にPCR検査を受けられる施設はない。ただし、空港内の診療所を運営している藤田医科大学系列の施設で事前に受けたPCR検査の結果を渡航当日に空港で受け取ることは可能だ。
対象となるのは、基本的にはビジネス目的で海外渡航をする人に限られている。事前に藤田医科大学病院(豊明市)、藤田医科大学ばんたね病院(名古屋市中川区)、藤田医科大学岡崎医療センター(岡崎市)にて新型コロナウイルスのPCR検査を受け、証明書の受け取り先をセントレアに指定しておく必要がある。費用は38,500円(税込)。
セントレア内での証明書交付場所は、第1ターミナル3階の案内センターで、交付時間は9:00~17:00となっている。