ネパールの保健人口省は、6月21日、ネパール各地から採取された検体を検査した結果、AY.1として知られる新型コロナウイルスの変異型への感染が複数確認されたと発表した。これは、2021年5月9日から6月3日にかけて国内の様々な場所で年代の異なる人たちから採取された48の検体をインドのニューデリーにあるゲノミクス・統合生物学研究所(IGIB)に送付してゲノム解析を行ったことで確認されたものであるという。
48検体のうち47は最近WHOがデルタ株と命名したB.1.617.2(いわゆるインド型変異株のうちの一つ)で、残りの一つは同じくWHOによってアルファ株と名付けられたB.1.1.7(いわゆるイギリス型変異株)だったという。これらはどちらも懸念される変異株として分類されている。このうち、スパイクたんぱく質にK417N変異が確認されたのはすべてデルタ株(B.1.617.2)におけるもので、9例であった。ネパールの保健人口省は、「(これには)AY.1という名称もつけられている」とし、「現在までにこの変異はネパールを含め世界の10か国以上で確認されたとの情報がある」と記している。

英国公衆衛生庁が6月11日付で作成した資料[mfn]原題:SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England Technical briefing 15[/mfn]では、その71ページに「デルタ―AY.1(K417 Nのあるデルタ)」という項目が設けられており、「現時点では限られた疫学情報しかない」とされている。
ネパールでは、5月に迎えた第二波ピーク時には1日あたり9,000人を超える新規感染者が確認されており、PCRテストの陽性率も40%を上回っていた。6月13日以降は1日に確認された新規感染者数は2,000人台となっている[mfn]6月22日に発表された数は4,522だが、これは、ダウラギリ病院がまとめて提供した、以前に実施されていたPCRテストの結果を含んでいるとされている。[/mfn]ものの、PCRテストの陽性率は依然20%を上回っており、減少スピードは緩まっている様子だ。