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ネパールでインド型新規変異株確認と公式発表 確認された変異株は合計3種に

5月18日、ネパールの保健人口省はネパールの各地で採取された検体を調べた結果、2種類のインド型変異株が確認されたと発表した。検査が行われたサンプルの数は35だが、そのうち97%に及ぶ34例がB.1.617.2として知られる、ネパールにとって新たに検出された変異株で、残りの1例(3%)はB.1.617.1であったという。これにより、ネパール国内で存在が確認されている変異型は合計3種類となった。

インド型変異株B.1.617.2とは?

新型コロナウイルスのB.1.617系統の変異株とは、インドで最初に確認された変異株、いわゆるインド型変異であり、WHOや日本の国立感染症研究所では、「懸念される変異株」に分類されている。

インド型新規変異株B.1.671.2の検出を伝える、2021年5月19日ネパール保健人口省告知
(ネパールの保健人口省が5月18日に発出した告知。インド型変異株としてしられるB.1.617.2を新規変異株とし、ネパール国内で採取した陽性者サンプルの97%がこのウイルスへの感染を示したことを伝えている。)

厚生労働省が日本国内の症例を基に作成した資料※1によれば、B.1.617は、従来型に比べて感染性が従来より高い可能性があるものの、重篤度に影響がある証拠はないされている※2。ただし、ワクチンと抗体医薬の効果を弱める可能性があるという。B.1.617系統変異株はさらに3種類に細分されるが、そのうちの2つが、今回ネパールで検出されたB.1.617.1とB.1.617.2である。B.1.617.1は34か国、B.1.617.2は31か国で検出されている。

また、同資料内に掲載されている国立感染症研究所作成の5月12日付の資料には、5月10日10時までの、入国者に対する検疫の結果として、66例がB.1.617系統と判明し、そのうち57例(86%)にインド滞在歴があり、6例(9%)にはネパール滞在歴があったとしている。それらのうち、51例はB.1.617.2であった。同資料にはさらに、「WHOの予備的解析によれば、インドでB.1.617.1とB.1.617.2は、従来の流行株よりも高い増加率を示しており、感染・伝播性の上昇を示している、と指摘している」とある。さらには、イギリスでのインド型変異株の感染状況についても言及されており、イギリス型変異株との置き換わりが進行している可能性が指摘されている。同研究所は、「英国でのB.1617.2系統の割合の急増が懸念される」と評価している。

ネパールでは、今回の調査結果において、このB.1.617.2として分類される変異株の占める割合が97%であったということである。前述のとおり、残りの3%もインド型である。ネパールは、長方形の国土の三辺をインドと接している。

※1 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000779013.pdf

※2 同資料は、「重篤度について、本結果のみから変異株の重篤度について結論づけることは困難」としている。

日本政府は、インド・ネパール等13か国を「インドで初めて確認された変異株B.1.617指定国・地域」に指定

日本政府も水際対策を強化している。インド、ネパール、パキスタンを含め、バングラデシュ、モルディブ、スリランカ、ギリシャ、ヨルダン、アイルランド、オランダ、フランス、フィンランド、ポーランドの13か国が、5月18日、「インドで初めて確認された変異株B.1.617指定国・地域」に指定された。

このうち、今回の措置で影響が出るのは、バングラデシュ、モルディブ、スリランカ、ギリシャ、ヨルダンの5か国だ。インド、ネパール、パキスタンからのすべての入国者・帰国者は、5月10日から適用されている、最低20日間の隔離と、渡航前から合わせて合計4回のPCRテストが求められている。

画像は、厚生労働省が作成した資料で、空港検疫で陽性となる人のうちインド、ネパール、パキスタンからの渡航者の数が際立っているのが見て取れる。とりわけ、ネパール国内での第二波が深刻化している現状を反映し、4月25日以降、ネパールからの渡航者の中に陽性者が増加しているのが際立っている。

インド型変異の新型コロナウイルスが拡大しているネパール等の渡航者に陽性者数が目立っていることを示す厚生労働省の資料
(画像は、厚生労働省の資料https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000779013.pdfから抜粋)

ネパール保健人口省による、今回の新規変異株についての告知

ネパールの保健人口省が5月18日に「新型コロナウイルスの新規変異株が確認されたことに係る要請」の中で明らかにした内容は、以下のとおり。関係する部分を全文訳にて掲載する。

「国内の様々な箇所から先週採取された新型コロナウイルス感染者の検体35個に対し、世界保健機関の調整によって、ゲノム配列解析の中核的研究拠点としてWHOが提携している、インドの科学産業研究委員会ーゲノミクス・統合生物学研究所※3においてゲノム配列解析を行い、本日受け取った結果によると、97%(34個)がB.1.617.2新規変異株であり、3%がB.1.617.1でした。これにより、現時点で、この変異ウイルスと併せて3種類の変異株がネパールに存在していることが確認されました。すでに世界保健機関は2021年5月10日にこの新規変異株を懸念される国際変異株として発表しています。最近確認された新型ウイルスは全年代において感染性が高く危険性も高いことが研究から分かっています。」

※3 原文では「ゲノム…研究所」に該当する部分のみ英語表記となっている。WHO identified centre of excellence in genomic sequencing CSIR-Institute of Genomics and Integrative Biology, India

(内容を追加し、一部表現を改めました。)

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