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カトマンズ29日から再封鎖 全国で医療崩壊の足音-ネパールのコロナ第二波

記事公開日: 2021年4月27日
第一回ロックダウン規制緩和後のネパール・カトマンズで取り締まりにあたる警察官
(2020年8月、初回のロックダウンが緩和された後の交通規制に基づいて取り締まりを行うネパールの警察官たち。カトマンズ郡ゴウサラ交差点付近にて、2020年8月6日午前11時49分撮影)

感染拡大の規模が世界一になったインドの隣国ネパールでも、第二波がますます勢いづいている。4月24,25日両日には陽性率が30%を超えた。25日には、一日あたりの新規感染者数が前日に比べて500人以上増え、3,000人を上回っている。そして、26日にはさらに400人以上多い3,556人への新規感染が確認された。全国的に感染が広がりつつあるが、その中でも著しいのは第一波の時と同じくカトマンズ盆地、それも特にカトマンズ郡だ。26日にカトマンズ郡で確認された感染者数は1,567人であり、全体の4割以上を占める。これにラリトプル郡の223人とバクタプル郡の122人を加えると3郡で1,912人となり、全体の新規感染者数のうち53%を占めている。

こうした感染の急拡大を受け、カトマンズ盆地内の3郡は、4月26日午前6時から5月5日深夜12時までの1週間の都市封鎖(ロックダウン)に踏み切ることを決定した。カトマンズ盆地がロックダウンされるのは昨年9月10日の緩和以来、3度目1全土ロックダウンを含む。

カトマンズ盆地封鎖の内容

期間:2021年4月26日午前6時~2021年5月5日午後12時

集会等

すべての種類の集会、大会、シンポジウム、訓練、セミナー、映画館、パーティ会場、スイミングプール、ショッピングモール、娯楽施設、床屋、美容院、スポーツジム、スポーツの団体競技、図書館、博物館、動物園等の開催・営業を禁止する。

結婚式のブラスバンドに関しては、15人以下の規模とし、事前に郡庁の許可を得る必要がある。

車両の運行

公共交通機関か私用車かを問わず、期間中の通行は認められない。必需品の輸送車、病人と付添人(2人まで)を載せた救急車、医療従事者と治安当局者用の車両を除き、すべての車両の入境を禁ずる。

救急車、飲料水、医療、穀物、野菜、果物、牛乳と乳製品、銀行、金融機関、通信、インターネット、隔離施設、隔離病棟、ごみ処理といった部類の輸送・移動用車両にはその旨を掲示した上での通行を認める。政府機関等の公的サービスを提供する機関に関しては、関係省庁発行の車両通行許可証を携行していれば、通行を認める。開発事業従事者とそれに必要な物資の輸送に関しては、関係プロジェクトまたは機関の責任者の推薦に基づいて郡知事が発行した通行証の携行していれば、通行を認める。

国際線フライトにて外国へ出発する人で、航空券、パスポート、ビザがある人については、空港に直行する車両の通行を容易化する。

上記以外の必要不可欠な事由(通院する病人と付添人、葬儀にどうしても参加しなければならない状況等)のために車両を使用しなければならない場合は、郡知事が発行する許可証を取得しなければならない。

必要不可欠な食品に関して

食料品及び医薬医療品関連の店舗を除き、その他すべての商店を閉鎖する。食料品店は、午前10時までと午後5時から7時までの間営業する。デパートメントストアに関しては、食料品コーナーのみの営業とし、午前10時から午後5時までとする。食料品店等の必需品を提供する店舗を営業する際には、ネパール政府が定めた感染防止策を完全に守らなけらばならない。

その他

ネパール政府の役員、銀行員や金融機関職員、その他の必要不可欠な業種の従事者については、該当機関が発行したIDカードに基づき、通行を認める。報道関係者については、情報部門が発行したIDカードに基づき、通行を認める。

カトマンズ盆地に入境する人は、必ず、地方自治体が設けた隔離施設か自宅で隔離期間を過ごさなければならない。

必要不可欠なものではないその他の公的サービスは当面停止とする。

地方では医療崩壊が始まる

しかし、医療体制が脆弱な地方で医療崩壊が起き始めているようだ。

現地メディアはネパールガンジ市の病院で酸素が足りていないこと、より重篤な患者をICUに入れるために快復しきっていない患者を強制的に退院させざるを得なくなっていること、カルナリ州やポカラ市のあるガンダキ州でもコロナ患者受け入れ病院で満床となり新規患者の受け入れができなくなっていることを伝えている。酸素ボンベも足りていないという。ネパール政府がインド政府に対して酸素ボンベの援助を依頼したと報道されている。

ネパールガンジ市ではすでにロックダウンが開始されており、カルナリ州都であるスルケット郡でも4月27日深夜よりロックダウンが開始される。

ネパールのオンラインメディア「Onlinekhabar.com」は、インド国境の入国地点において、検査能力を圧倒的に上回る数の帰国者を前に、水際対策が機能停止している様子を伝えており、今後のネパールの感染拡大予測は思わしくない。保健人口省も、以下のとおり公告を出し、感染予防策の徹底を呼び掛けている。

保健人口省「感染拡大阻止に関する公告」全文訳

「パンデミックとなっている新型コロナウイルスが近隣諸国において医療体制をさえ崩壊させ、通常の医療を提供することと新型コロナウイルスの感染者を病院に収容して治療することができなくなっている心を引き裂く事態が我々の目前で起きています。この大感染症により我が国の様々な場所においてさえ同様の悲しむべき状況が発生しているのを目にしてさえなお、我々全員が感染予防のためにできる役割を果たしていません。現在の感染は、すべての部類、年齢層の人にとって極めて危険なものであり、現在まで新型コロナウイルスのいかなる治療薬・治療法も医学は開発できていません。今医療従事者が日々目にしている悲惨な光景が、いかなる家族・親族のものともならないようにと、私たち全員が感染を広げないための責任ある行動を取る者となり、ならせることが必要不可欠です。感染予防のためにネパール政府が定めた規則は、代わりのきかない手段です。感染のループを止めることができず今のスピードで感染拡大が続けば数日のうちに病院に患者を収容する場所さえなくなってしまいます。従って、一人一人が果たすことのできる役割を誰も怠ることがないようにしましょう、注意を促しましょう。自分以外の全員を感染者だとみなしてマスクを着用しましょう、物理的距離を保ちましょう、意識して手を清潔に保ちましょう。

社会のリーダーたちの振る舞いに全ての人が見倣いますので、全員が社会的責任を果たすようにして注意深くあってくださるよう、公の催しや公共の場所でのイベントを行わず、行わせず、参加なさらないよう本省はお願いいたします。そのような個人・団体・企業等からそういった活動がなされた場合には、注意喚起すると共に罰則を適用なさるよう全ての関係者・関係機関に要請しつつ、保健人口省はこの公告を発出いたします。

新型コロナウイルス感染症と戦うために全ての報道関係者とメディアが活発にそして団結して情報を伝えて感染阻止における役割を果たしてくださっていることに、保健人口省は心からの感謝を表したいと思います。今後は、報道するに際してメディアがこれまで以上に注意深くなければならない状況となっています。全ての報道において、ニュースを読み、インタビューを行い、もしくは何かしらのイベントのニュースを伝える際には欠かさずにマスクを着用するよう、そしてマスクを着用しない人のニュースの高揚感を無くし、止め、また流さない、出版しないよう保健人口省は心から要請いたします。」

※編集部注:マスクを着用しない人が語るニュース等のことと思われる。

ネパールの保健人口省が発出した、コロナ感染第二波を止めるのための公告
(2021年4月25日にネパールの保健人口省が発出した「感染拡大阻止に関する公告」)
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