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「恐ろしい仕方で」感染拡大 再びの行動規制 学校閉鎖・マスク着用義務化・25人以上の集合禁止など-ネパールのコロナ第二波

記事公開日: 2021年4月22日
(2020年8月2日撮影。ロックダウンが緩和されて首都カトマンズ入りを目指す人々の車列。西側からの入境地点タンコットにて。これから数か月後、第一波のピークを迎えた。カトマンズは今また第二波のホットスポットとなっている。)

新型コロナウイルス感染第二波が本格化しているネパールで、再び行動規制を施行することが閣議決定され、4月20日、発表された。変異株感染が広がっていることを受けた措置であるという。政令としてのその内容は、16ページに渡る詳細なものとなっている。5月15日までを期限として、都市部での学校の閉鎖、公共の場所でのマスク着用の義務化、25人以上での集まりを禁止する等といったことが含まれている。5月15日はネパール歴のバイサーク月末日(32日)にあたる。

以下、市民生活に影響し得る主立った内容を紹介する。なお、特記されていない業種の企業・団体等も感染防止策をとることが求められている。

全国の都市部で学校閉鎖

カトマンズ、ラリトプル、バクタプル(この3郡がカトマンズ盆地内に位置する首都圏を形成している)内の全ての市、モラン郡ビラトナガル市、パルサ郡ビルガンジ市、チトワン郡バラトプル市、カスキ郡ポカラ市、スンサリ郡イタハリ市及びダラン市、ダヌサ郡ジャナクプル市、マクワンプル郡ヘトウダ(ヘトウラ)市、ルーパンデヒ郡ブトワル市及びシッダルタナガル市、ダン郡ゴラヒ市及びトゥルシプル市、バンケ郡ネパールガンジ市、カイラリ郡ダンガリ市、ジャパ郡メチナガル市、ビルタモード市及びダマク市、サプタリ郡ラズビラージ市、カブレパランチョーク郡バネパ市及びドゥリケル市、スルケット郡ビレンドラナガル市、カンチャンプル郡ビムダッタナガル市にある全ての教育機関(学校や大学のみならず、塾等も含む)は、2021年5月15日まで閉鎖される。

前述のとおり、5月15日はネパール歴のバイサーク月末日にあたる。ここで言う閉鎖とは、物理的な登校を取りやめるということであり、オンライン授業等の代替策を採用しての授業を継続するとされている。現地報道によれば、その後の再開は今後の感染拡大状況を見極めてから判断されるということである。なお、すでに予定が組まれている高校までの試験は予定通り実施されることとなっており、また、医学分野の実習も継続が認められている。

ただし、会議、集会、大会、シンポジウム、セミナーやトレーニングに関しては少し扱いが異なっている。基本的にはオンラインで行うこととされているが、「物理的な出席が必要不可欠な」場合には、最大25人までとして、感染防止策を講じた上で実施することが可能とされている。

大型店舗は25人までの入場制限、市場・娯楽施設は閉鎖

ショッピングモール及びデパートメントストアは営業が認められている。しかし、一度に25人以下とするようにとの人数制限が課されている。さらに、商品に不必要に触れないこと、人と人の間に2以メートル上の物理的距離を保つこと、マスクを絶対に着用すること、度々石鹸と水で手を洗うか手指消毒液を用いることが求められている。

これに対し、映画館、パーティ会場、ダンスバー、クラブやスイミングプール等といった娯楽施設、観客を入れてのスポーツ競技は5月15日まで閉鎖・禁止された。抗議活動のためのものを含め、人が集まることになる企画も、どんなものであれ禁止されている。合わせて、市場の開催も同期間中は認められない。

オフィスや日用品店等でもマスク義務化

オフィスや店舗などといった公共の場所においてはサニタイザーの使用とマスクの着用が義務化された。マスクなしで入店しようとする人には、責任者がマスクを販売しなければならない。(値段は最高で10ルピーまで。)マスクを着用しない人に対しては入室・入店を拒否することとなっている。

飲食店の店内営業は8a.m.-8p.m.の時間制限、マスク義務化

レストラン等の飲食店は、午前8時から午後8時までの間のみ店内営業が認められる。その際にも、(1)スタッフは必ずマスク、フェイスシールド及び手袋を着用すること、(2)来店客全員にマスク着用を義務付けること、(3)最低2メートルの物理的距離を保つこと、(4)サニタイザーを設置すること、(5)定期的に店内消毒を実施すること、(6)マスクなしの来店客に対しては責任者がマスクを販売しなければならず、また、マスクを着用しない人に対しては入店を拒否することといった条件が付されている。やはり、認められているマスクの最大額は10ルピーだ。

上記の時間帯のほかは、持ち帰りとホームデリバリーのみの営業が認められる。

ハイウェイ沿いの店舗も営業は認められているが、上記6つの条件に加えて、密集を避けるための対策を取ることとが求められている。

宗教施設にも規制

寺院やモスク、教会等の宗教施設においては、2021年5月15日までの間、「毎日行われる崇拝、瞑想、祈り」のみが、感染予防策を講じた上で認められるとされている。

ただし、伝統的な文化・宗教行事は人数を25人以下に抑えた上で感染防止策を講じながら実施することが認められている。そして、結婚式等のためにパーティ会場を使用しないければならない場合には、郡知事の事前許可を得る必要があるとしている。

公共交通機関の利用時のマスク着用義務化

公共交通機関の運営に関しては、(1)シート数以上の乗車させないこと、(2)必ず全乗客がマスクを着用すること、(3)車両内とのドアに手指消毒剤を設置すること、(4)運転手と補助員はマスクとフェイスシールドを着用すること、(5)毎日車両を消毒殺菌すること、(6)マスクを着用せずに乗車しようとする乗客がいた場合、運転手若しくは補助員がマスクを販売すること(マスクの値段は最高10ルピーまで)、(7)マスクを着用しない人の乗車を拒否すること、そして(8)長距離バスに関しては、出発後、途中で乗客を乗せないこと、また乗客の情報を新型コロナ危機対策センター(DCCMC)に提供することといった条件が定められた。

マスク着用が義務付けられている点が何度も強調されている格好だ。

国内線フライトにはマスクとフェイスシールド義務化

国内線フライトに関しては、運航スタッフと乗客共に、マスク着用とフェイスシールドの着用が義務化された。そして、航空会社に対しては、飛行機内にサニタイザーを設置すること、毎回のフライト後に機体と荷物を消毒殺菌すること、さらにチェックインやボーディング時、バゲッジクレーム対応や待合室等が込み合うことがないよう、そして感染防止策を講じるよう求められている。

市民の行動規範-「マスク廃棄は5日後」等

一般市民に対しては、以下の行動規範が定められている。(1)感染防止策を徹底すること、(2)外出時には必ずマスクを着用すること、また、使用済みマスクは、蓋のあるごみ箱若しくはポリ袋に封をして置き、5日経過した後にのみ廃棄すること、(3)屋内外を問わず、つばを吐いたり使用済みマスクをポイ捨てしたりしないこと、(4)外国から到着した人や濃厚接触者としてコンタクトトレーシングの対象になった人は、検査結果が陰性だったとしても最低10日間は自宅で隔離生活を確実に送ること、(5)PCRテストのための検体提出後は、結果が出るまでは外出したり誰かに会ったりすることを避けること、(6)地方の隔離施設や隔離病棟にいる人をできる限り援助すること、(7)感染防止策をとっていない人について関係当局や組織に迅速に通報すること、(8)自宅療養中の人は医療従事者と定期的に連絡を取るようにし、何らかの症状が出た場合には速やかに近くの医療機関を受診すること。

「重大危険地域」には追加規制も

この政令には、「重大危険地域」指定の基準も定められており、該当する地方公共団体は追加措置を取ることができるとされている。ネパールには、日本の「市」に該当するものがその規模に応じて3種類あり、この「重大危険地域」指定の基準も、以下のとおり異なっている。

大市※1・・・現在感染者数1000人以上。

副大市※2・・・現在感染者数500人以上。

※3・・・現在感染者数200人以上。

(カトマンズ盆地を除き、今回学校閉鎖が命じられた都市部のうち、それぞれに該当する都市名は、※1 ビラトナガル市、ビルガンジ市、バラトプル市、ポカラ市、※2 イタハリ市、ダラン市、ジャナクプル市、ヘトウダ市、ブトワル市、ゴラヒ市、トゥルシプル市、ネパールガンジ市、ダンガリ市、※3 メチナガル市、ビルタモード市、ダマク市、ラズビラージ市、バネパ市、ドゥリケル市、シッダルタナガル市、ビレンドラナガル市、ビムダッタナガル市。これは、記事執筆時点で現在感染者数がそれだけの数に達していることを示しているものではありません。)

ネパールガンジは今日から再びロックダウン

早速、大勢の感染者数が報告されているバンケ郡ネパールガンジ市は4月21日深夜12時から4月28日深夜12時までの7日間に渡るロックダウンを実施する決定を下している。この日にバンケ郡全体で確認された新規感染者の数は225人(保健人口省統計)で、バンケ郡庁が出した告知によれば、ネパールガンジ市だけで現在感染者数が735人に上っていて病床が新型コロナ患者で埋まっているという。期間中は、食料品や飲料水、インフラ関連や銀行ATM、及びそのための車両通行といった必要不可欠なもの以外すべての外出が禁止される。銀行窓口も閉まるという。ただし、政府決定にあるとおり、事前に予定されていた試験は実施されることとなっている。

4人に1人が陽性 「恐ろしい仕方で」感染拡大中 

4月21日、ネパールの保健人口省が発表した新規感染者数は、2,359人だった。これは前日の1,736人よりさらに600人以上多い数字だ。この日の検査総数に対する陽性率は24.4%で、実に約4人に1人の割合となっている。ちょうど2週間前の4月7日に確認された新規感染者数は298人だったから、この短期間で感染拡大の勢いは約8倍に増していることになる。

保健人口省も危機感を強めており、21日夜に副報道官名で要請文を公表した。そこには、「(新型コロナウイルスに)感染して危険な症状で病院に到着する人、並びに死亡する人の数が恐ろしい仕方で増加しています。」そして、こう続いている。「このような状況にも関わらず、ネパール政府の定めた政令に違反して公私の団体・場所において感染が拡大するような種類の活動がなされ続ける時、状況はさらに悪化してゆくものと思われます。それで、政令遵守を徹底するよう、全ての機関・個人に対し、保健人口省は要請します。」そして、「政令に違反する仕方で行われた活動によって感染が起きた場合、感染者の検査及び治療は当該法人・機関自身の費用負担で行わなければならず、並びに法令に従って罰則も適用される」としている。現在のネパールでは通常、新型コロナウイルスの検査と治療は政府の費用負担で行われている。

この第二波は、どこまで拡大するのだろうか。先は全く見通せない。

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