今年もネパールにSEEの季節がやって来た。ネパールの第10学年を修了すると、生徒たちはSEEという中等教育修了試験(Secondary Education Examination)を受けることになる。2020年は新型コロナウイルスのパンデミックの影響で中止されたため、今年度は2年ぶりの実施となる。とはいえ、2020年度分は各学校における学内評価を基にすでに結果が算出されているため、今年度の実施分は昨年度の繰り越しではない。
例年はネパール歴の1年の最終月にあたるチャイト月(3月半ば~4月半ば)に実施されるが、現地報道によれば、今年は新年度が始まった後の5月27日~6月7日(ネパール歴2078年ジェト月13日~24日)にかけて行われることとなった。これは、長期に渡るロックダウン中に学校も閉鎖されていたことを受けての措置。ここにも、パンデミックの影響続いている。
SEEとは何か
中学卒業。その意味は日本とネパールでは大きく異なっている。日本の中学校に卒業試験はないし、留年もない。しかし、ネパールでは10年生を終えると中等教育修了試験を受ける必要があり、この時の成績はその語の進路に大きく影響する。SEEの後は、日本の高校に該当する2年間の学校に通うことを選択する学童がほとんどだが、”普通科”ではなく、「科学」や「教育」、「商業」や「看護」といったように、専門分野ごとに異なったコースを取る生徒も少なくない。このコース選択の幅がSEEの成績によって決まってしまう。成績優秀者が進むことが多いのは「科学」だ。学業を終えた後でも、SEE修了証明を提示できなければ、就職にも影響する。
現行のSEEになった背後には、前身のSLC(School Leaving Certificate)と呼ばれていた頃の試験制度では、不合格になった生徒が自殺してしまうというケースが後を絶たなかったことがあるようだ。現行制度は2017年実施分から。
SEEの試験問題は全国一律であり、その結果は政府が管理する。SEEはネパールの多くの生徒と保護者にとって、一大イベントなのである。
昨年は、パンデミックを受けてSEE開始前日に中止が発表された。現時点では新型コロナウイルスの感染スピードが鈍化しているネパールだが、今年は無事のSEE実施となるだろうか。