10月4日、ネパールの新型コロナウイルスの累計感染者数が86,823人となり、同日までの感染者数が85,339人だった日本を上回った。翌10月5日に発表されたネパールの新規感染者数は2,440人で、281人だった日本の約8.7倍となっている。ネパールの状況を日本の状況と比較することに実際的な意義はあまりないが、当マガジンの読者にとって最も身近な比較対象ではあるだろう。
「Webマガジン ニュース・オブ・アジア」では、ネパールの直近1週間の1日あたりの新規感染者数平均を掲載し連日掲載してきたが、10月5日、その数は2,000人の大台を超えて2,074人に達した。下に掲載しているのは、ネパールの保健人口省のCovid-19特設サイトで見ることができるグラフである。文字が小さく見にくいという点はご容赦いただきたいが、7月17日の57人をターニングポイントとして、以後ほぼ右肩上がりに感染者数が急増してきたのが確認できる。グラフ内の青色は男性、オレンジ色は女性の感染者数を表している。10月2日の2,722人が、これまでに確認された1日当たりの最大感染者数である。(右上に表示されているとおり1月23日からのデータであるが、左上の「Date」部分の表示は変更されなかった。)

突出しているのは、カトマンズ郡での感染者の多さだ。保健人口省によれば、10月5日までの時点で、カトマンズ郡内の感染者数は25,214人に達しており、全感染者の28.2%に及んでいる。(男性16,348人、女性8,866人。ただし、同省がViberアプリにて配信している文書では累計感染者数は25,223人となっている。)実に、4人に1人以上の割合だ。その突出ぶりは、2番目に累計感染者数が多いモラン郡の4,051人と比較すると一層はっきりする。その差、6倍以上である。
現在感染者数(「現在感染者」とは、現在PCR検査の結果が陽性となる感染者のこと)に的を絞れば、カトマンズ郡がホットスポットとなっていることがさらに顕著となる。10月5日時点で、実にその数は11,295人に達しており、全体の49%を占めているのだ。これまでの全体の死亡者数554人のうち113人が、カトマンズ郡の人である。
以前の記事でも触れているが、ネパールでは、カトマンズ盆地内にある3郡(カトマンズ郡、ラリトプル郡、バクタプル郡)がセットで考慮されることが多い。このラリトプル郡とバクタプル郡の感染状況はカトマンズ郡に比べれば、現時点までは相当程度抑制されているとはいえ、3つの郡の感染者数を合計すると、累計感染者数31,070人、現在感染者数13,931人、死亡者数166人となり、全体に対する割合はそれぞれ、34.8%、59.3%、30.0%となる。
次のグラフは、やはり保健人口省が配信しているもので、カトマンズ盆地内のその3郡の感染状況を表しているものである。青い棒グラフが1日あたりの新規感染者数、赤い折れ線グラフが1日当たりの退院者数を表している。9月中旬から感染者数の増加が続いているのが見て取れる。中央の文字は、過去24時間に確認されたカトマンズ盆地内の感染者数が1,531人であったことを示している。

カトマンズ盆地内の感染拡大がいかに際立っているかは、以下のグラフからも一目瞭然である。もっとも、これは州ごとの感染者数の推移を表したものであって郡毎のものではないが、カトマンズ盆地が含まれるバグマティ州(ピンク色の折れ線)だけが突出していることははっきりしている。

現地では、こういった状況でもマスクを全く、あるいは正しい仕方で着用しない人たちが一定数いることが報道されている。
新型コロナウイルス感染収束のめどはたっていない。