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ネパールに再度外出禁止令の波―カトマンズ盆地、ポカラも

再度のロックダウン前日のカトマンズ、2020年8月19日
(カトマンズ郡マハラジガンジチョークから東に見たリングロードの様子。ロックダウン前日の2020年8月19日午後1時27分撮影)

8月18日、一日あたりの感染者数1,016人

日本で5日ぶりに一日当たりの感染者数が1000人を下回った日の翌8月18日、ネパールでは、初めてのこととして一日当たりの感染者数が1,000人を上回り、1,016人に上った。このうち、カトマンズ盆地内の3つの郡で確認された感染者数は205人だ。

8月19日発表分の感染者数は681人で1,000人は下回ったものの、新型コロナウイルス感染が勢いを増して拡大していることに間違いはない。1日あたりの感染者数の絶対数は偶然にも日本と同じような水準にあるが、ネパールの人口が日本の約4分の1であることを考えると、相対的な広がりの大きさが伝わるだろう。そして、今増えているのは感染者数だけではない。全土ロックダウン解除の前にはほとんどが無症状の感染者であったが、今は重症化するケースが増え、死者の数も増えている。

数字を見てみよう。ネパールで最初の感染者が確認されたのは1月23日。最初の死者が出たのは約4か月後の5月16日(政府の日ごとの更新情報に含まれたのは5月17日)のことだった。ここから2か月半をかけて累計の死者数が50人に達した。7月30日のことである。しかし、この頃から死者の出るスピードが増しており、それからわずか2週間後の8月15日には、累計100人を超えたことが伝えられた。その4日後の8月19日までにはさらに18人が加えられ、累計120人となっている。

感染経路が不明なケースも各地で発生しており、決定権を委ねられている各地方政府は次々とロックダウン再開に舵を切っている。現地報道によれば、8月16日の時点で、過半数となる40の郡で、全域もしくは一部地域を対象としたロックダウンが施行されている。サプタリ郡を皮切りにして始まったこの流れに、今般、ポカラ市のあるカスキ郡、およびカトマンズ盆地内の3郡(カトマンズ郡、ラリトプル郡、バクタプル郡)が加わることになった。ポカラ市のロックダウン(正式には“禁止令”)は8月19日午前0時から1週間、カトマンズ盆地内のロックダウウンは、8月20日午前0時から1週間の予定とされている。

施行を前に、大型ショッピングモール「バトバテーニ マハラジガンジ店」にはロックダウンに備えて食品等を買い求める客が詰めかけていた。狭い通路で買い物客がすれ違い、レジに長蛇の列ができる中、途切れることなく流されている、物理距離を保ち一人当たり20分で買い物を終えるようにと呼びかける館内放送が空しく響いていた。

カトマンズ盆地での禁止事項

カトマンズ郡庁が発表した禁止事項は以下のとおり。

  1. 必要不可欠なものを除くすべての商工業
  2. 医薬品、食品およびその他の必要不可欠な日用品の購入やサービスを受ける目的以外で外出すること
  3. 必要不可欠な物品の輸送車両及び医療従事者並びに治安当局が用いる車両以外の車両がカトマンズ盆地内に入ること
  4. 私有車か公共交通かを問わず、車両を運行すること
  5. 新型コロナウイルス感染の抑止や治療のために関係部署に向かわなければならない職員であっても、関係部署が必要最低人数を定めた上で発行する写真付き証明書に基づいて運行されるもの以外の車両を運行すること
  6. 事前の許可を必要としない必要不可欠な物品若しくはサービスとして定められている、医薬品、穀物、燃料、調理用ガス、野菜、果物、電気、通信、報道、税関、隔離施設(クォレンティン)、隔離治療施設(アイソレーション)、ごみ収集、病院への往復、葬儀に不可欠な人が乗る車両といった極めて必要性の高いもの以外の車両を運行すること
  7. いかなる種類のものであっても、(出店、記念行事、祭典といったような人の集まる)行事を催すこと、集合すること、(デモ等の)集団行進をすること
  8. 伝統的に行われて来た日頃の個人的な崇拝以外のすべての宗教的、文化的活動・集会
  9. 教育機関、教育センター、塾、言語クラスを含め、人が集まる活動
  10. いかなるものでも、集会、大会、シンポジウム、トレーニング、セミナー、映画館、パーティ会場、デパートメントストア、娯楽施設、床屋、美容院、スパ、スイミングプール、ジム、チームスポーツ、図書館、博物館、動物園などを開くこと
  11. 歩道又は広場及び台車又は自転車で営業される様々な商店を営業すること、及び廃品回収を行うこと
  12. ホテルとレストランの営業

例外・補則

例外若しくは補則として以下のとおりのことが許可、あるいは要求されている。

  1. 銀行のサービスを含め様々な(金融業界の)企業・団体・事務所は、バーチャル又は電子的な方法を用いてサービスを提供する手段を講じなければならない。それが不可能な場合は、ネパール国家銀行の定めのとおり限定された人数で必要なサービスを提供することができる。
  2. 必要不可欠な活動のために外出する時は必ずマスクを着用し、最低限以上の物理的距離を保たなければならない。
  3. 空路で出国する人で、パスポート、ビザ及び有効な航空券を持つ人が直接空港へ向かうための車両については、運行を認めることができる

付則

以下の付則がついている。

  1. 必要不可欠な日用品やサービスの供給に不足が生じているように見せかけたり、値上げしたり、過剰備蓄したり、若しくは隠匿し、あるいは円滑な供給を妨げる者は法に従って処罰される
  2. この命令に従わない者、あるいは命令順守を妨げる者は誰であっても現行法に従って処罰される

追加情報

カトマンズ郡庁は8月19日夕方に追加の情報を出し、必要不可欠な業務に何が含まれるかについてさらに情報提供している。結婚式も7人までの限定で許可されることになった。そういった許可のある人が移動中に誤って取り締まられることがないよう、関係機関が発行した写真付きの身分証明書を保持している人と、許可されている活動のための荷物を積んでいる車両に対しては取り締まりが緩和されるとしている。

ポカラ(カスキ郡)での禁止事項

基本的な事柄はカトマンズのものと同様であるが、いくつかの点が異なっている。例えば、カトマンズ盆地内では銀行は開くことになっているが、カスキ郡内では銀行(その他の金融業を含む)も、窓口業務はできないことになっている。ATMとオンラインバンキングは利用可能だ。さらに、作業員が現場の外に出入りしないなどの条件を満たしている建設現場や工場の営業もカスキ郡では認められている。そして、必要不可欠な日用品の販売・購入についてカトマンズ盆地内では時間の定めはないが、カスキ郡では午前5時から8時まで、そして午後5時から7時までの間でのみ許可されている。

上記のとおり各郡毎に禁止令の内容は異なるため、ネパール滞在者は自分の住んでいる郡のルールを把握することが必要だ。

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