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コロナ禍拡大中のネパールから日本へのチャーター便第13便に乗る

新型コロナ感染対策として3月22日から国際線フライトの通常運行を停止しているネパール。とはいえ、これまでも在日ネパール人のネパール帰国を目的として、あるいは在ネパール日本人の日本帰国を目的として、いくつものチャーターフライトが計画・運航されてきた。日本大使館がアナウンスしたものだけで、4月10日、5月15,17,22日、6月4,7,11,24日、7月5,10,11日、8月3日の12便が運航されてきた※1。 最初に運航された4月11日の便に関しては、当サイトでも「ネパール残留邦人等、日本帰国へ  4月10日午後8時、チャーター便離陸へ」にて特集している。7月22日には、8月17日に通常の国際線フライトが再開されると発表され、ようやくチャーターフライトの役目は終わったかのようにも見えた。だが、その後のネパール国内の感染拡大を受け、国内線・国際線共にフライト再開は延期された。

延期発表の少し前のタイミングで計画されたのが、今回の日本(成田)行きチャーター便である。日本大使館が公式の案内を出したものの中では、累計13便目にあたる。このチャーター便についてのアナウンスがあってからの1週間にネパールでは感染拡大防止のための規制強化が行われていった。カトマンズ盆地等感染者数の多い郡では車両交通規制が再開され、入国管理局は閉鎖され、役所の職員の数も半分に減らされた。緊張感高まる今のタイミングで、カトマンズ盆地外の地域からこのチャーター便に搭乗した邦人男性がいる。カスキ郡ポカラ市にある「ラトナコーヒー」のオーナーだ。

チャーター便運航の知らせを受けてから搭乗までの様子を教えていただいた。

※1 7月10日の便は日本への直行便ではなく、韓国仁川行のもの。そこから日本へは運航中の定期便を利用するようにと案内されていた。

チャーター便の知らせを受けてからフライト当日まで

在ネパール日本大使館が知らせを出したのは8月6日(木)現地時間14時15分であった。それには、搭乗希望者は8月10日(月)17時までに現地の指定旅行代理店「Nature Express」社に連絡するように、とあった。

7日、金曜日。チケット予約

この男性は、速やかに動いた。翌日、8月7日(金)午前中にNature Expressに連絡。すぐにパスポートのコピーを送って欲しいと言われ、メールにて送信した。夕方には、金額と支払い方法についての連絡があり、チケット代は、以前から決まっているという※2一人当たり935ドルだった。これに2000ルピーの手数料がかかる。男性は言う。「カードかUSドル現金払いしかダメと言われましたが、両替手数料かかってもいいなら、ルピーでの銀行振り込みOKとのことなので、そうする旨を伝えたら振り込み口座の情報が来ました。両替手数料は2%でした。」

とはいえ、国内線フライトも長距離の公共交通もまだ再開されていない。男性は、この日のうちにカトマンズに行くための車を手配した。友人がドライバーを務めるスコーピオンである。

※2 Nature Express社は、今回のロックダウン開始以降4月10日の第1便を皮切りに、すでに4便の日本行きチャーターフライトを手配してきた。

8日から11日まで。チケット確保


男性は、9日(日)に指定されたな口座への振り込みにナビル銀行に行った※3が、長蛇の列で、結局この日は振り込みができなかったという。翌10日(月)午前中に振り込みを完了した。「Nature Express」社によると、E-ticketは翌日送られて来るとのことであった。果たして、11日(火)午後にE-ticketをメールにて受け取った。

※3 ネパールでは土曜日が週末の休日にあたり、日曜日は平日にあたる。

12日、フライト前日。有効な通行許可証の取得


男性は、カスキ郡庁に通行許可証を取りに行った。雨のせいか、ガラガラに空いており、15分くらいで簡単に入手できたという。提示することを求められた書類は、パスポートとE-ticketのコピー。男性は、案外簡単に取得できたことに安堵しつつドライバーに通行許可証の写真を送信したが、彼から返って来たのは、「これではダメだ。肝心のスタンプと行く日付が書かれていない!」だった。男性は急遽郡庁に戻り、職員が記入・押印を忘れた項目を追記・押印してもらった。こうして無事に有効な通行許可証を取得することができたという。

男性は言う。「(その)夜、明日から全国のプラサーサン※4でのパスの発行は中止する、とのニュース。一日遅かったら大変だったかもしれません。Eチケット来る前にプラサーサンに行って、取ることもできたかもしれないので、そっちの方が確実だったかもしれません。」

※4 郡庁のこと

13日、フライト当日

朝5時、友人ドライバーの車が迎えに来て、カトマンズに向けて出発した。順調に進んでいたが、カトマンズ郡とカスキ郡ポカラ市のちょうど中間あたりに位置するムグリンで、突然に警察が道を閉鎖した。

男性は言う。「なんと『パス※5があっても今日からは通れない!』とのこと。軽く血の気がひきました。」しかし、ドライバーが上官の電話番号を聞き出して電話し、乗客は外国人でその日のフライトであることを伝えると、通行の許可を得ることができたという。

男性は続ける。「そのあとも3箇所でかなり厳しいチェックがありました。パスがあっても通してもらえない…という人たちもいました。私たちは時間が少しかかったものの、どこもパスポートとチケットを見せて、通してくれました。」

この後男性は無事にカトマンズに到着した。トリブバン国際空港の外のゲートに午前11時45分に到着したものの、警備にあたっていた警察から、夜10時のフライトのためには午後6時以降でないと入場を許可できないと案内されてしまった※6。男性は、仕方なくゲート向かい側のレストランで食事をし、昼寝をした。そして、この取材に応じてくれた。

男性は、搭乗手続きを終えた後も連絡をくれた。今回の日本人の乗客は13人だったとのことである。「Webマガジン ニュース・オブ・アジア」が事前に「Nature Express」社に取材をしたところ、日本人は搭乗前の健康チェックを免除されているとのことであった。

※5 通行許可証

※6 カトマンズ―ポカラ間は通常であれば平均6時間―7時間の道のりだが、ネパールでは現在雨期を迎えており、今期はとりわけ土砂崩れが多く発生している。ポカラ市からカトマンズまでのハイウェイ上でもこれまで何度も通行止めが発生していたため、男性が時間に十分の余裕を持ってポカラを出発したのは得策だったと言えるだろう。

以下は、男性が当日に撮影した空港内の様子である。

カトマンズ・トリブバン国際空港国際線ターミナル入り口
(トリブバン国際空港国際線ターミナル入り口)
コロナ禍のトリブバン国際空港2020年8月13日
(入場口は現在1つのみが使用されている)
コロナ禍のトリブバン国際空港2020年8月13日、入り口にサニタイザー
(入場口にはサニタイザーが設置されている)
コロナ禍のトリブバン国際空港2020年8月13日、営業中の売店
(エスプレッソの飲める売店は営業中だった)
コロナ禍のトリブバン国際空港2020年8月13日、ソーシャルディスタンシング
(ベンチには、ソーシャルディスタンシング確保のためのサインが。実行されているかはどうかというのは、別の話だったそうだ)
コロナ禍のトリブバン国際空港2020年8月13日、チェックインカウンター
(チェックインカウンターに並ぶ行列)
カトマンズ発成田行きチャーター便。CAも防護服姿。
(フライト中、CAたちも防護服を着用している)

(※内容を追加・修正しました。)

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