7月22日午前0時、3月24日から120日間に渡って継続されたロックダウンが終了した。
ロックダウン解除の決定がなされたのは7月20日の閣議。公表されたのは21日である。とはいえ、新型コロナウイルス感染拡大を防止する観点から、引き続き一部の施設や活動には規制が継続されるとのことだ。つまり、名目上、ロックダウンは終了し、継続して感染防止策が継続してとられていくということになった。
では、何が変わり、これから何が変わらないのか見ていこう。
7月30日に解禁されるもの
(1)ホテルやレストランの営業
とはいえ、宴会やパーティの開催、セミナーなど人が集まるイベントは開催できない。
(2)トレッキング、旅行、観光業
コロナ禍で大きな打撃を受けた観光業界。再開が許可されたとはいえ、海外からの観光客が戻るようになるには時間がかかることは確かだ。7月21日に行われた、ネパール政府スポークスマン[mfn]コミュニケーション情報技術大臣(सञ्चार तथा सुचना प्रविधि मन्त्री)及び財務大臣(अर्थ मन्त्री)も兼任[/mfn]ユブラージ・カティワダ氏の説明によれば、今回の解禁は、冬の観光シーズンに向けて今から準備することや予約を受け付けること等を目的としたものである。
8月17日に解禁されるもの
以下の事柄が解禁されるが、公衆衛生上の安全策をとることが求められている。
(1)郡境を超えるものも含め、中長距離の交通
すでに各郡内の移動は公共交通機関の運営を含めて認められており、8月17日からは郡を超えた中・長距離の移動が認められることになる。
(2)国内線及び国際線フライト
全土ロックダウンよりも2日早く実行されていた国際線フライトも、ついに再開される。ロックダウウン期間中にも、ネパール滞在中の外国人が自国へ帰ったり、外国に滞在中のネパール人がネパールへ戻ったりするためのチャーターフライトの運航は行われきた。8月17日からは、通常のフライトが再開されることになる。
ネパールイミグレーションオフィスのホームページに掲載されている6月17日付の告知によれば、帰国予定者は国際線フライトの再開後15日以内に出国すれば、3月21日以降にビザが切れた状態で滞在していた期間分も含め、ビザ関連の一切の費用が免除される。したがって、8月31日が期限となるようだ。覚えやすい日付だ。
日本へはどういったルートが選択可能になるのだろうか。7月22日時点では、ビスタラ航空、ハーンエア、インディゴ、フライドバイといった限られた航空会社しかチケットの販売を始めていない様子だ。それでも経由地や目的地、出発日によってそれなりに選択肢の幅は出てきているようである。先にチケットを抑えるか、しばらく他の航空会社の出方を見るか、帰国予定者にとっては悩ましい問題と言えそうだ。
(3)スポーツの国際戦に向けた練習や試合
(4)入学受付、各種試験の実施
現時点で解禁の日付が決まっていないもの
(1)教育機関(学校、大学、塾、研修所)
(2) (どんな形態のものであれ)集会、シンポジウム、研修、セミナー
(3) (どんな形態のものであれ)デモ活動、集合、及び大会
(4) 映画館やパーティ会場といった娯楽施設
(5) 床屋、美容院、スパ
(6) スイミングプール、ジムなどの健康促進施設
(7) 団体競技および、競技場を使用した催し
(8) (どんな形態のものであれ)宗教施設、公共施設
(9) 図書館、博物館、及び動物園
8月16日までの継続が決まっている規制
陸路での入国
これまでと同様、ネパールに戻る必要があるネパール国籍者に関しては9月1日前であっても、特定の国境からの入国が引き続き認めれれる。とはいえ、それ以外の国境からの入国や、入国後に隔離施設に行かずに姿を眩ますこと等は禁止されており、処罰の対象となる。この規制は8月17日に解禁されるものとはされていない。引き続き、経過観察が必要だ。
7月22日からすでに解禁になったもの
(1)すべての個人用車両の利用
ロックダウン規制緩和第一段階では、奇数ナンバーと偶数ナンバーの車両が日替わりで通行を認められていたが、この規制が撤廃された。現地報道によれば、首都カトマンズではさっそくコロナ前のような渋滞が発生しているとのことである。
(2)政府機関の全スタッフの同時出勤
現地報道によれば、政府機関の2シフト制も撤廃され、コロナ前と同じく10時~5時の業務時間に戻ったようである。
なお、解禁されたすべての活動において、マスクの着用や2メートルの物理的距離の確保、サニタイザーの使用、また、こまめな手洗い等の安全策を取ることが義務付けられている。今後感染拡大の危険がさらに高まることがあれば、局地的に規制強化が行われる可能性があるという。
国際線再開後、感染拡大の恐れ
保健人口省のスポークスマン、ジャゲシュオル・ゴウタム氏は、7月21日の記者会見において、国際線の再開は感染収束によるものではなく、国際線の停止による人的・経済的影響を考慮したものであると述べている。さらに、他国において国際線フライトの運航によって急激に感染が拡大したことを念頭に、飛行中に規定通りの安全策を確実に実施するよう、航空会社に要請した。
「Webマガジン ニュース・オブ・アジア」による集計では、ネパールでは7月21日までの時点で、累計18,022人の新型コロナウイルスの感染が確認され、40人が命を落としている。