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ネパールの全土ロックダウンは丸8週間へ

新型コロナウイルス(Covid-19)の感染拡大予防措置として3月24日(火)から全土がロックダウンされているネパール。5月6日(水)にさらなる期間延長が決定されて、次の期限は5月18日(月)に設定された。

微増し続ける感染者数

振り返れば、ネパールで最初の感染者が発見されたのは、世界でもかなり早い段階であった。ネパール最初の感染例として、武漢から帰国した32歳男性への感染が確認されたのは1月24日である。この時点で感染報告がなされていた国は、ネパールの他に11か国のみで、中国を除いた合計感染者数も40人であった。

この後あっという間に世界中にコロナ禍が広がることになったわけであるが、ネパールに関して言えば、それ以来感染者数の増加はぴたりと止まっていた。

2例目が確認されたのは、ちょうど2か月が経った3月23日(月)のことである。それまでも世界中での感染拡大を受けて渡航制限等の水際対策を進めてきたネパール政府の動きは速かった。翌24日からの全土ロックダウンが即日決定されたのである。陸の国境の三辺を接している隣国インドでの感染拡大も始まっていたし、国境の残る一辺はヒマラヤ山脈とはいえ、当時感染者数最多の中国と接している。そういった地理的要因もこの決定に作用したことだろう。

それ以後、感染者数は微増してゆくことになる。ゆっくりとしたペースで。

現地報道によれば、3月25日(水)に3例目が確認された後、3月27日(金)に4例目、28日(土)に5例目が確認されたが、10例目が確認されたのは、それから2週間後の4月12日(日)のことであった。そして、5月7日(木)に100人を超えることとなった。本稿執筆時点で、109人の感染が認められている。(※記事公開後、5月9日中に110人に達していたことが判明しましたので、その旨追記いたします。)

皮肉なことに、5月7日(木)は事前に発表されていたロックダウンの最終日であり、その日以降は全国一律でのロックダウンは行われないとの期待が高まっていた。しかし、冒頭で触れたとおり、結果的にはさらなる期間延長となった。

5度目のロックダウン延長、一部の経済活動は再開へ

これまでも国内外の感染拡大の状況や検査体制の整備状況を観察しながらロックダウンの期間は4度延長されてきた。

1度目の延長は、4月1日~4月7日まで。2度目は、4月8日~15日まで。3度目は、4月16日~27日まで。そして、4月28日~5月7日までであった。

これらは全国一律に、交通をストップさせ、食料品の購入と医療目的及び一部の銀行業務を除いて国民の外出を禁止する内容であった。しかし、8日からのロックダウンは、少し緩和されたタイプのものとなっている。

現地報道によれば、具体的には以下の事柄が許可された。

各種事業(工場)の運営継続・再開

以下の業種の事業(工場)の継続・再開が許可された。ネパールらしい業種も並んでいる。

  • 食品
  • 牛乳および乳製品
  • 医薬品および健康器具
  • 飲料水
  • レンガ
  • 家畜飼料
  • 食用油およびギー(バターオイル/澄ましバター)
  • 砂糖
  • お茶
  • LPガス
  • パッキング製品(Packaged Items)
  • コーヒー
  • 酵母入りパン[mfn]ネパールでは無酵母パンは各家庭で普段の食事用として小麦粉をこねて調理されている。酵母を入れて発酵させたパンとは区別され、呼び名が異なる。ここでは、後者を指している。[/mfn]、ビスケット、菓子
  • インスタント麺
  • 香辛料
  • 豆(ダル)
  • アラインチ(ブラックカルダモン)及び生姜
  • 家畜飼育場/農場
  • 籾米、白米、及び乾燥米
  • 家畜用医薬品及び薬品
  • 鉱床および鉱物採掘/加工(鉄、チョーク、石灰岩、ドロマイト、赤粘土等)
  • 砂利および粉砕(土木建材)
  • セメント
  • 鉄およびスチール
  • 塗料
  • GIパイプ、プラスチックパイプおよび配管器具
  • 電気用品/家電製品
  • ジュース及び飲料
  • 合板/ベニヤ板
  • 電力生産及び供給関連
  • トタン板
  • 重機械修理
  • 材木(家具)
  • アルミ
  • 格子(門や防犯用として窓に設置される)
  • ゴミ収集および処理
  • 運送輸送(荷物)
  • 機械部品及び整備
  • 車両整備
  • 印刷及び出版
  • 小規模/家内工業
  • 経済特区内のすべての工場
  • 工業区内のすべての工場

余談ではあるが、業種の分類の仕方や住み分けの仕方が日本とネパールでは異なっていて興味深い。

上述の内容とも一部重複するが、公立私立を問わずすべての医療機関・介護施設、薬局等の運営、医薬品や医療器具および医療用酸素の生産と販売も許可されている。これにはまた、畜産業用薬品等の生産・提供も含まれている。

また、ジャナク教材センター(जनक शिक्षा सामग्री केन्द्र)から教科書販売の認可を受けた本屋の営業も認められている。ネパールでは新学年は、ネパール歴のバイサーク月に始まるが、これは西暦の4月半ばに当たり、ロックダウンの最中であったため、新学年の授業は開始されていない。

畑仕事は認められている。

銀行と株式市場も再開へ

銀行

これまでも銀行の一部業務や一部店舗の営業は認められてきたが、現地報道によれば、5月10日(日)から一部店舗を除いて全銀行に対して全支店の窓口業務を再開するようネパール銀行協会(नेपाल बैङ्कर्स संघ)が要請したとのことである。

株式市場

さらに、5月12日(火)には株式市場も、午前11時から午後1時までの2時間に限定して再開されると報道されている。

さらなる延長は、国際線及び国内線フライト停止措置と入国管理局閉鎖

フライト停止

また、ネパールはロックダウンの少し前からネパールを発着するすべての国際線の発着を、またロックダウン後には国内線の商業運航も停止しているが、この措置は5月31日(日)まで延長されることが決定されている。

入国管理局

さらに、入国管理局もすべてのビザ関連サービスを停止しているが、この期間もロックダウンと同じ5月18日(月)まで延長されている。

なお、入国管理局の閉鎖に伴い、ネパールに滞在中で有効なビザの期限が切れてしまった人もいることであろう。3月21日まで有効なビザを保有している人に関しては、入国管理局の業務再開後7日以内に出国またはビザ延長の手続きをすれば、その日までの期間に関しては一切の費用が発生しないことが発表されている。3月21日までにビザの有効期限切れとなっていていた人に関しては、ビザが切れた日からの延滞手数料と罰金を支払う必要がある、とされている。

今後の感染状況によっては変更の可能性も

現在までにネパールでは、複数人の感染が報告された地域としてはまずダンガリで始まり、その後ウダイェプル、最近はビルガンジ、ネパールガンジ等での感染拡大が確認されている。(その後、意外なことにダンガリの状況は感染爆発には至っていない。)現在の所は南部の平野部に集中しているようであり、国中に広がっている状況ではないようである。とはいえ、最近になって報告される感染者数が増加してきていることは確かであり、諸国と同じように突然というべき感染爆発が起こらないとも限らない。

今後の感染拡大の状況によっては上記の緩和措置が見直される可能性はいつでもありうる。引き続き各自が予防に十分留意しつつ、状況を注視してゆく必要があるだろう。

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