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ネパールでインターネット回線を提供する大手通信業者WorldLinkは16日、ネパール最速となる600mbpsの通信速度をうたう新サービス「Photon 600」の提供をカトマンズで開始した、と発表した。同時に、全プランで最低速度を150mbpsに引き上げることも表明し、契約済みの顧客の通信速度は自動的に引き上げられるという。
「Photon 600」の利用料金は12か月契約で30,000ルピー(税別)となっており、ひと月あたり2,500ルピーの計算だ。150mbpsの最低速度のプランでは、12か月の契約で144,000ルピー。ひと月あたり1,200ルピーとなり、値下げとなるとのことだ。WorldLink社は、225Mbpsおよび300Mbpsのプランも値下げされるとしている。
同社は、「様々な統計によれば、世界のインターネット速度の平均は80mbpsであるのに対し、ネパールでは22Mbpsしかなかった。この新プランの提供開始により、ネパールの平均インターネット速度は最低でも80Mbpsになるだろう。」としている。
「Phaton 600」を利用するには、デュアルバンド対応のルーターが必要とのことだ。
競争激化 ネパールのインターネット環境は良くなるか
新型コロナウイルスのパンデミックにより、この短期間にネパールでもインターネットの利用者数と通信量は飛躍的に増加した。利用者が直面してきたのは、通信の不安定さだ。インターネットプロバイダーは利用者数の激増に対応できず、各地で通信障害が発生してきた。
ネパールで多くの利用者が経験しているとされるのは、契約当初は安定して利用できていた回線であっても、徐々にスピードが低下して行くという現象だ。プロバイダーにクレームの電話をすると一定期間改善されるとしてプロバイダーが回線速度を意図的に操作しているのだ、という話が多くの市民の間でまことしやかに語られている。
現在ネパールでは、「WorldLink」の他にも、「Vianet」「Subisu」「Classic Tech」「Broad Link」などといった会社がインターネットを提供している。そして、電話会社の「Nepal Telecom」や携帯通信業者「Ncell Axiata」と「Smart」もインターネットサービスを提供しており、パンデミックの最中に次々と様々なプランを投入してきた。
そこに、今年の6月には、一大企業CG(チョダリ・グループ)もインターネット通信事業に参入した。多分野の事業を展開してネパールで強力な存在感を放つ同社は、120mbpsのサービスを月額999ルピーという破格で提供開始した。最近は、月額649ルピーの50mbpsのプランも用意している。圧倒的なブランド力を武器に、まずはインパクトの大きなサービスを展開し、その後設備投資を進めると共にユーザーの実際のニーズに合わせたプラン提供により浸透を図る戦略と言えるだろう。
ネパールでのインターネット契約は基本的に最長期間12か月の前払い制であるため、契約期間の終了を機に、サービスがより良いとされるプロバイダーへ乗り替える動きも見受けられる。
今回のWorldLink社の新サービス提供も、こうして競争が激化する流れの中でのものだ。ネパールのインターネット環境の今後は、いかに。