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ネパール語の未来時制ー現在分詞「ネ」との強い関係

晴れ渡ったネパールの夏空
(晴れ渡ったネパールの夏空。東タライ地方で2021年7月撮影)

合同会社アジア・パブリック・インフォメーションがお届けする、本気でネパール語を習得したい人のための解説ページ。今回は、未来時制(未来形)です。実は、これまでに習得してきたことを使って、簡単に理解できてしまいます。ポイントは、「हुनु」の「छ」系変化と、現在分詞「ネ」の二つです。

まずは、未来時制の意味から確認

未来時制に関しては、ネパール語ならではの特殊な意味として特筆すべきことはありません。

日本語と同じように、将来のことを言っているだけです。「~となる」、「(将来の状態が)…である」といった意味ですね。

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未来時制のカタチ

ネパール語の未来時制は、次のような形をしています。これまでの解説をマスターしてこられた方にとってはとても簡単です。

こうなっています。

「現在分詞(ネ形)」+{「हुनु」の「छ」系変化}

超頻出動詞の「हुनु」と「गर्नु」を例にして見ていきましょう。

「हुनु」の未来形(肯定)

「हुनु」の現在分詞は「हुने」ですね。これの後ろに、主語に応じた「छ」系変化を付けます。それだけです。

一覧表で確認しましょう。

ネパール語動詞「हुनु」の未来形・肯定
人称単複尊敬度該当する主語対応する「हुनेछ」の形
一人称単数हुनेछु
複数हामी/ हामीहरूहुनेछौँ
二人称単数・複数最高हजुर/ हजुरहरूहुनुहुनेछ
単数・複数中・高तपाईं/ तपाईंहरूहुनुहुनेछ
単数・複数तिमी/तिमीहरूहुनेछौ
単数最低तँहुनेछस्
三人称単数・複数यहाँ/ यहाँहरू/ उहाँ/ उहाँहरूहुनुहुनेछ
単数・複数यिनी/ यिनीहरू/ तिनी/ तिनीहरू/ उनी/ उनीहरूहुनेछन्
複数यी/ तीहुनेछन्
単数यो/ त्यो/ ऊहुनेछ

「गर्नु」の未来形(肯定)

「गर्नु」の現在分詞は「गर्ने」です。これに後ろに、主語に応じた「छ」系変化を付けます。それだけです。

ネパール語動詞「गर्नु」の未来形・肯定
人称単複尊敬度該当する主語対応する「गर्नेछ」の形
一人称単数गर्नेछु
複数हामी/ हामीहरूगर्नेछौँ
二人称単数・複数最高हजुर/ हजुरहरूगर्नुहुनेछ
単数・複数中・高तपाईं/ तपाईंहरूगर्नुहुनेछ
単数・複数तिमी/तिमीहरूगर्नेछौ
単数最低तँगर्नेछस्
三人称単数・複数यहाँ/ यहाँहरू/ उहाँ/ उहाँहरूगर्नुहुनेछ
単数・複数यिनी/ यिनीहरू/ तिनी/ तिनीहरू/ उनी/ उनीहरूगर्नेछन्
複数यी/ तीगर्नेछन्
単数यो/ त्यो/ ऊगर्नेछ

否定するのは「छ」の方で

「हुनु」の「छ」系変化で否定形をしっかり覚えられたでしょうか?ネパール語の未来形で否定の形を作るのも、それに準じて行けばいいので簡単です。

現在分詞では、「हुने」の前に否定を表わす「न」を付けて「नहुने」としますが、未来形の場合はこの「न」を使わず、「छ」の方を否定形にする、というわけです。一覧表で見ていきましょう。

「हुनु」の未来形(否定)

ネパール語動詞「हुनु」の未来形・否定
人称単複尊敬度該当する主語対応する「हुनु」の形
一人称単数हुनेछैनँ
複数हामी/ हामीहरूहुनेछैनौँ
二人称単数・複数最高हजुर/ हजुरहरूहुनुहुनेछैन
単数・複数中・高तपाईं/ तपाईंहरूहुनुहुनेछैन
単数・複数तिमी/तिमीहरूहुनेछैनौ
単数最低तँहुनेछैनस्
三人称単数・複数यहाँ/ यहाँहरू/ उहाँ/ उहाँहरूहुनुहुनेछैन
単数・複数यिनी/ यिनीहरू/ तिनी/ तिनीहरू/ उनी/ उनीहरूहुनेछैनन्
複数यी/ तीहुनेछैनन्
単数यो/ त्यो/ ऊहुनेछैन

「गर्नु」の未来形(否定)

ネパール語動詞「गर्नु」の未来形・否定
人称単複尊敬度該当する主語対応する「गर्नु」の形
一人称単数गर्नेछैनँ
複数हामी/ हामीहरूगर्नेछैनौँ
二人称単数・複数最高हजुर/ हजुरहरूगर्नुहुनेछैन
単数・複数中・高तपाईं/ तपाईंहरूगर्नुहुनेछैन
単数・複数तिमी/तिमीहरूगर्नेछैनौ
単数最低तँगर्नेछैनस्
三人称単数・複数यहाँ/ यहाँहरू/ उहाँ/ उहाँहरूगर्नुहुनेछैन
単数・複数यिनी/ यिनीहरू/ तिनी/ तिनीहरू/ उनी/ उनीहरूगर्नेछैनन्
複数यी/ तीगर्नेछैनन्
単数यो/ त्यो/ ऊगर्नेछैन

尊敬形の表記方法について一言

上記のとおり、尊敬度の高い主語が用いられた場合には、「हुनुहुनेछ」「हुनुहुनेछैन」「गर्नुहुनेछ」「गर्नुहुनेछैन」といった表記になりますね。ところが、一単語であるはずが、実際には「हुनु हुनेछ」「हुनु हुनेछैन」「गर्नु हुनेछ」「गर्नु हुनेछैन」といった表記方法がとられることも多いように見受けられます。これでは、表記上、厳密には別々の単語ということになるところですが、この方が見やすいことは確かです。

さらに、動詞原形を使って「~こと」という意味の名詞句を作れる、という点に以前の解説で触れました。そのことを考えてみると、ネパール語に潜んでいる、尊敬形を使う相手に対する気遣いと言いましょうか、遠慮と言いましょうか、忖度と言いましょうか、少し興味深い仮説も思い浮かんでくるのですが、いずれにしても実際の場面において意味に違いは生じませんので、それはまたいつか別の時に機会があれば扱うことができるかも知れません。

ここでは、分けて表記されることも多々あるということだけ覚えておいていただければと思います。

現在分詞は「未完了」、という意識

さて、未来時制を完ぺきに理解するために、ネパール語の現在分詞が持つ独特の感覚を思い出してみましょう。

「未完了」という感覚です。これに対して、過去分詞は、必ずしも過去の出来事だけでなく、「すでに完了したこと」を表わしています。現在分詞は、まだ完了していないことを表します。それは、継続中かも知れませんし、普遍・不変の事柄かも知れませんし、未来のことかも知れません。未来のことが、終わっているはずありませんね。

その、現在分詞の形は「~ने」でした。こう考えてみると、未来時制に「ने」が出てくることにとても納得がいくのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、ネパール語の現在分詞と過去分詞を考える時には、この「未完了」「完了」という意識を持っておくことが、深く理解する助けになるでしょう。

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現在進行形が未来を表わす?

もう一つ、ネパール語には未来を表わすことのできる形があります。現在進行形です。実は、英語でも同じような使い方がありますね。「近未来」と呼ばれるもので、「I’m going to do it.」と言えば、形式的には今まさに進行中のことを言うはずの現在進行形が用いられていますが、実際に意味するところは「それ今からやるところです。」というような、近い未来のことです。

ネパール語でも、例えば「अब म हिँड्दैछु।」という言い方があります。「हिँड्दै」は、「हिँड्नु(歩く、出発する)」の進行形です。主語が「म(私)」で現在形なので、「छु」が付いています。進行形の作り方について詳しくはまた別の機会に譲るとして、ここでは意味に注目してみましょう。

「अब」というのは「今」という意味ですが、「今から」という意味合いも含みます。それで、この文は直訳すれば、「今から私は歩いています。」となりますね。ところが、実際に「歩く」という動作が進行している場合と、「これから出発するところです。」ということを意味している場合があります。「अब」がついている場合は、ほとんどの場合で、近未来を表わしています。

これに対し、「अहिले म हिँड्दैछु।」と言えば、通常は、まさに歩いている最中であることを意味します。「अहिले」は、やはり「今」という意味の単語ですが、「今から」という意味合いは含みません。この文に「बाटोमा(道を)」と付いていれば、何の誤解も発生しませんね。

現在進行形で近未来を表わす。正確な統計を取ったわけではありませんが、ネパールの西側でこの用法が多く用いられる傾向があるように感じています。

実は、現在形も使われる

実は、進行形ではない現在形でも未来のことを言うことができます。学習中の言語についてこういうことを言われるとギョッとしてしまうものですが、ちょっと落ち着いて考えてみれば日本語でも普通に使用されている表現ですね。(日本語には動詞の未来時制がないという考え方もできますが。)

例えば、「今日の夕飯にこれを食べます。」と言います。発言したのは、真昼だとします。昼の時点で、夕方のことを話しているわけですから、未来時制ですね。でも、「食べます」という動詞自体は未来時制を取っているわけではありません。ネパール語でも、こういった表現が使えるわけです。「आज बेल्का म यो खान्छु।」と言えます。現在形ですが、未来のことを言っています。英語であれば、「I eat」ではなく「I will eat」としなければならない場面でしょう。

やはり、ネパール語と日本語には、話者の感覚として似ている部分が多いですね。

未来完了形というものも

さらに、ある時点までには「こうなっている」というような、未来の時点で完了していることを言う表現もあります。これについては、また完了形を解説する時に扱いたいと思いますが、その時にも「हुनेछ」「हुनेछन्」といった、今回学んだ「हुनु」の未来形が使用されます。覚えておきましょう。

まとめ

それでは、未来時制についてまとめです。

・未来時制の形は「現在分詞」+「छ」系変化
・否定するのは「छ」の方で
・尊敬形では、動詞原形部分で切り離すことも
・現在分詞は「未完了」の感覚を含んでいる、ということを思い出そう
・現在進行形、現在形でも実は未来を表わしているのかも

ここまで学んで来て、ネパール語学習の未来は明るくなってきたでしょうか?もしも、真っ暗なままだ、という方がおられましたが、ぜひ一度過去に戻って以前の解説記事を読み込んでみてくださいね。きっと、お役に立つことと思います。

次回は、進行形について解説します。

(※当サイトを運営する合同会社アジア・パブリック・インフォメーションは、ネパール語翻訳のご依頼も承っております。詳しくは、弊社公式ホームページをご覧ください。)

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