合同会社アジア・パブリック・インフォメーションがお届けする、本気でネパール語を習得したい人のための解説ページ。今回は、ネパール語の表記の中で使用される記号について解説していきます。
母音字と子音字、結合文字の読み方は前回までで解説が終わりましたので、今回記号をマスターして次回数字の読み方を学べば、ネパール語が書かれている通りに読めるようになります。記号は、嬉しいことにそれほど多くありませんし、英語と同じ意味のものもあります。さくっと覚えてしまってくださいね。
では、各種記号を順に見ていきましょう。
,(コンマ)
これは、コンマです。日本語では読点ですね。この記号は日本語での使用方法とほとんど同じです。文の終わりを示すわけではなく、区切りを表します。音読や朗読をする時には、短い休止を入れることになります。ただし、日本語ほど一文が長くなることはあまりないため、読点もの使用頻度も日本語と比べると少ない印象です。
なお、日本語で「当サイトは、『Webマガジン ニュース・オブ・アジア』です。」と書く時のように、主語の後ろに読点を入れるという使い方はされません。例外と言えるのは、接続詞などで繋がれて主語が3つ以上並行しているときでしょう。とはいえ、この場合も主語をまとまりとして区切っているわけではなく、主語を構成するそれぞれの部分が並べられていることを示しているにすぎません。この辺は、英語と同じですね。
接続詞(「र」 や「वा」など)でつながれる単語を区切って並べる方法の例を挙げます。
例)उनी, तपाईं र म「彼とあなたと私」
माछा, खुकुरा वा खासीको मासु 「魚かチキンかあるいはヤギ肉」
।(縦線、プールナビラーム)
これは、日本語の句点に該当します。句点とは、文末に置かれる「。」のことです。英語では、ピリオドですね。ネパール語では、この縦線が一文の終わりを意味します。一つだけ例を挙げておきますね。
例)हामी एल.एल.सी. एसिया पब्लिक इन्फर्मेसन हौं।
「私たちは合同会社アジア・パブリック・インフォメーションです。」
. (英語のピリオド的な点)
これは、単語の続く部分が省略されていることを表しています。上の例文の英語のピリオドにもそのような使用法がありますが、ネパール語の場合、この記号によってそこが文末であることが示されることはありません。
上の例文の「एल.एल.सी.」という部分は、英語の略称表記「L.L.C.」を表しています。「.」は英語のピリオドにそのまま対応しているわけです。(当社の英語表記では「LLC」となっておりピリオドが使用されていませんが、ネパール語で表記するときはピリオドを付けないと不自然です。)
よく使われる略称表記例を以下に記します。
रु. → रुपियाँ
न. → नम्बर
श्री. → श्रीमान, श्रीमति

ं (ビンドゥ)
この記号は、文字の上に付けられる小さな黒点です。ビンドゥと呼ばれます。発音は、「m」や「n」の音です。日本語では「ン」ですが、唇を閉じる「m」の音と、唇を閉じない「n」の音とはネパール語では区別されています。どちらとして使われているかを区別する方法は、慣れるかしかないのかも知れません。
ँ(チャンドラビンドゥ)
この記号は、文字の上に付けられる三日月と小さな黒点からなります。名前の「チャンドラ」とは「月」のことです。この記号は、この記号が付された文字を鼻音化します。
例えば、「目」という意味の「आँखा」という単語があります。「आ(a-)」に「ँ」が付いていますので、「आ」の音は鼻音になります。日本人は、「アンカ」と間違って発音しがちですが、鼻音ですので気をつけたいところです。
; と :(英語のセミコロンとコロン的な二つの点)
これは、英語のセミコロン・コロンと同じように、次に続く文と前の文の繋がりを持たせる意味もあります。しかし、「:」にはネパール語独特の用法もあります。
それは、息が出ることを表す、というものです。
例としては、「दु:ख(dukkha)」という単語があります。この記号によって「दु」の部分が有気音に変化するわけではありませんが、息が軽く出るため、「ドゥカ」ではなく、「ドゥッカ」というような発音になります。それで、ローマ字翻字は「dukkha」としてあります。
“(引用符)” と ‘(引用符)’
これらは、英語のダブルコーテーションマーク及びコーテーションマークと同じ用法で、引用符を表します。
-(横線)
これは記号に分類すべきではないかも知れません。ネパール語の文字には必ず上の方に横線が引かれています。この線が繋がっているまとまりが一つの単語であることを表しています。逆に言えば、線が途切れていれば、別個の単語であることを意味します。
活字の時に気をつけるべきこと
最後に、デジタルの活字表記に関していくつか注意点に触れておきたいと思います。
「र्य」の表記は難しい
「र्」は「य」と結びつくと特殊な変化をします。(これについて詳しくは前回の記事「ネパール語の文字の読み方(曲者の「र」をマスターする)」を参照してください。)タイピングをする人や使用するフォントによっては、この表記に対応できないことがあります。ネパール語も今後さらにデジタル対応が進むにつれて徐々にそういったことは無くなっていくかと思いますが、現時点では「र्य」や「-य」という表記が代用されていることがあります。
例えば、「पुर्याउनु」という単語は、「पुर्याउनु」や「पु-याउनु」といった表記になっていることがあります。
幾つかの結合文字は表記できない
これもやはり、フォントによっては幾つかの結合文字に対応していないものがあります。
例えば、「ट्」と「ट」がつながった「ट्ट」という結合文字は、単純に「ट्ट」と表記されることがあります。また、「क्」と「त」が結合した文字も表示できずに、「क्त」となっていることがあります。(※申し訳ございませんが、現時点では当サイト上でもこの結合文字は表記できていません。)
まとめ
それでは、今回のまとめです。
- ネパール語の記号は、英語と同じものもあり覚えやすい
- 文の終わりは「।」で表す
- 「ं」(ビンドゥ)は、「n」か「m」
- 「ँ」(チャンドラビンドゥ)は、それが付いている文字を鼻音化する
- 「:」は、軽く息が出るということを表すこともある
- 活字では、「र्य」と結合文字に気をつけよう
次回は、ネパール語の数字の解説に入っていきます。
(※当サイトを運営する合同会社アジア・パブリック・インフォメーションは、ネパール語翻訳のご依頼も承っております。詳しくは、弊社公式ホームページをご覧ください。)