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ネパール語動詞の接続形(連用形)「エラ」と「イ」

合同会社アジア・パブリック・インフォメーションがお届けする、本気でネパール語を習得したい人のための解説ページ。前回までの2回にわたって、ネパール語動詞を活用させて現在分詞と過去分詞を作る方法について解説してきました。

でも、動詞は文中にいつも1つだけとは限りません。日本語でもそうですが、1つの文中に複数個の動詞が存在するということも頻繁にありますよね。例えば、この記事の1文目を例にとってみても「わたって…(活用)させて…作る…(解説)して…きました」と幾つもの動詞が用いられています。

前々回の記事で解説しましたとおり、この例の中の「作る」は、ネパール語では現在分詞に当たりますね。作り方は、「~ने」でした。

今回は、「~し(て)」という、日本語でいうところの連用形の作り方を解説していきます。動詞をその形に活用することで、それに続く別の動詞に取り次ぐことができます。前の文と後の文(場合によっては動詞のみ)が接続させられて、一つの文になる、というわけです。

この形を連用形と言っても良いですが、弊社では「接続形」という呼び方を用いています。

カトマンズの廃屋らしき屋根に犬
(外壁の崩れている家の屋根の上からこちらを見下ろすカトマンズの犬。2020年8月6日撮影)

「エコ(~एको)」の場所に「エラ(~एर)」をつける

この接続形の作り方は、すでに過去分詞を作れるようになった方にとってはとても簡単です。

過去分詞形を作る時のルールに従って、「एको」の部分に「एर」をつけるだけです。過去分詞形の作り方のルールについては、過去の記事「ネパール語動詞の過去分詞『エコ』」をご覧ください。

念のため、ご参考に幾つか例を挙げておきたいと思います。

खानु → खाएर

गर्नु → गरेर

सुम्पनु → सुम्पेर

आउनु → आएर

हुनु → भएर

「~एर」の構成についての論考(仮説)

さて、「エコ」と「エラ」。発音も活用の仕方も似ていますね。この点についての論考を載せておきたいと思います。ここは上級者向けの解説ですので、ネパール語学習をスタートしたばかりの方は、「ふ~ん、何か色々書いてあるな」程度でお読みいただいて、後日この知識が必要になった時に戻ってきていただければ良いかと思います。

ずっとネパール語に接していると、実は「エラ」は元は分かれていたのではないか、と感じる時があります。ネイティブスピーカーたちの会話を聞いていると、「ए」と「र」の間に若干の休止が置かれたように感じることがあるからです。

そして、「ए」と「र」を完全に切り離して発音したり、表記したりしても、意味に違いは生じない場合があります。(※文法上は、切り離して書くのは間違いです。)

理解するためには、まずは「र」という単語が基本的に英語の「and」に相当するという知識が必要です。日本語の「と」でもありますが、「र」は「and」と同じように文と文を並列に置く働きもします。この場合は、「並びに」「および」といった日本語が該当するでしょう。文脈に応じて、「それから」「それと」「そして」といった接続詞を訳に用いることができる場面もありますね。

いずれにしても、基本的に「र」は「and」です。

では、続いて「~ए」の部分。

「~ए」という形には二つの用法があります。一つは、「उनी/उनीहरू」等の三人称同格の主語に対応する動詞過去形です。この点については、また別の記事で追って解説します。もう一つは、第二過去分詞です。

前回の記事で解説されているとおり、基本的に過去分詞は「एको」の形を取ります。これは、第一過去分詞と呼ばれることもあります。過去のことや、完了したことを表現するのに用いられる用法です。この過去分詞の「को」を外した形の(あるいは、「को」を付けない形の)過去分詞も存在するのです。

これについての詳細はまた後日しっかり解説したいと思っていますが、「完了に近いけど完了しきってはいない」というイメージでとらえておくと、後々まで良いかと思います。とりあえず、ここでは一種の過去分詞が「~ए」形を取るんだな、とだけ抑えておいてください。

さて、かなり深い話にまで入っていきそうになりましたが、ここまで考えてくると、動詞が「~एर」という形を取ったとき、それは「~ए」+「र」なのだ、と見えてくるのではないでしょうか。

「सिक्नु」(学ぶ)を例にとって考えてみましょう。

「सिकेर」とすれば、「学んで」という意味になります。これは、「सिके」+「र」という要素で構成されていると言えます。

「~ए」をここでは単純過去として扱って直訳すれば、「学んだ。および」、「学んだ。並びに」、「学んだ。そして」という意味になりますね。「सिकेर」とくっつけて1単語にしたならば、「学んで」という意味になります。

大きく分けて同じ過去分詞のくくりだと考えれば、動詞が活用して「~एको」と「~ए」の形をとる時の変化のパターンが同じであることには納得がいきますし、それに「र」がくっついてると考えれば、「~एको」と「~एर」の形が似ているのにも納得がいくのではないでしょうか。

さて、ネパール語学習を進めていくと、ある段階で「~एको」を使ったらよいのか、「~एर」を使ったらよいのか分からなくなる場面が出てきます。どう区別したらよいか詳細はまた別の機会に解説しますが、今回少しだけ触れている「完了に近いけど完了しきってはいない」イメージを覚えておくと良いかもしれません。

以上、論考(仮説)でした。とにかく、今の段階では、「~एर」=「~して」と覚えておきましょう。

副詞句を作る「~ने गरेर」

日本語の「~して」という言い方には、省略されてしまうことが多いものの、明日までに届くように(して)書類を送る、とか、十分足りるように(して)食事を準備する、といったように副詞句を作る働きもありますね。

ネパール語でも、「~एर」は同じ使い方ができます。その場合には、「~ने गरेर」という形を取ります。

例文を以下に挙げます。「पुग्ने」は「पुग्नु」の現在分詞で、「届く」という意味の単語です。転じて、必要量に到達するという意味で「足りる」という意味も持っています。

भोलिसम्म(明日までに) पुग्ने गरेर(届くようにして) कागजहरू(書類を) पठाउने(送る)।

प्रशस्त (豊富に)पुग्ने गरेर(足りるようにして) खानाको(食事の) तरायी(準備を) गर्ने(する)।

動詞同士をつなぐ「イ(~इ)」

この「~एर」を「~इ」に置き換えると、二つの動詞を結合させることが可能になります。従って、「イ(इ)」は複合動詞を作るという言い方もされます。

とはいえ、なんでもかんでも結合されるわけではなく、後ろに続く動詞でよく見られるのは「रहनु」「हाल्नु」「सक्नु」「दिनु 」などです。それぞれの用法についての解説は別の機会に譲るとして、今回は「~इ」がそのような使用の仕方をされるという点だけを解説いたします。

例えば、「食べる」という意味の「खानु」に、上記のそれぞれ4つの動詞が続くとします。

「खानु」が「एर」の接続形をとると「खाएर」という形になります。この「एर」の部分を「इ」に変え、「खाइ」という形にします。そして、続く動詞を繋げれば以下のとおりになります。

खाइरहनु

खाइहाल्नु

खाइसक्नु

खाइदिनु

ここでは、後ろ側に接続された動詞を原形で表記していますが、もちろんこれは必要に応じて様々な形に活用します。「खाइसकेर(食べ終わって)」という形もありますよ。

「~एर」と「~इ」は完全互換ではない

さて、「~एर」と「~इ」は実は微妙な関係にあります。交換可能な時と、そうでない時があるのです。

例えば、上の例で登場した「खाइसक्नु」ですが、これは「食べ終える」という意味です。

しかし、「खाएर सक्नु」という表現もあります。これは、「食べて、終える」という意味になります。話題となっている食べ物が今はもう存在しないこと(お腹の中だということ?)を意味しているときには、どちらの表現を使ってもほぼ同じ意味合いになります。

しかし、例えば、高級コース料理最後のデザートを食べて(そのコースが)終わった、というような時の最後の「食べて終わった」を表現するには、「खाएर सकेको」が正解です。この場合に「खाइसकेको」を用いると、コース最後のデザートを食べ終えたと言っていることになります。

全体の意味は同じでも、目的語が変わって、ニュアンスが変わりますね。結合された動詞はひとつの動詞(複合動詞)、結合されていなければ別々の動詞、というわけです。そのままですが、覚えておきましょう。

また、「~एर」と「~इ」では、強調表現にも違いが生じます。「~इ」を利用するときには「गरि」には「गरिकन」という強調表現が使えます。このまま「इ」の部分を「एर」に変えて「गरेरकन」とすることはできません。「एर」の時は、「गरेरै」というように「एरै」という形をとって強調表現となります。

副詞句を作る「~ने गरि」は、「~ने गरेर」と交換可能

とはいえ、次の場合は両者の交換が可能です。それは、「एर」の箇所で解説した、副詞句を作る「~ने गरेर」。これは、「~ने गरि」に置き換えて問題ありません。むしろ、そちらの方が多く見かけるかも知れません。どちらを使っても正解です。一応、ネパールでは「~ने गरेर」の方が正式で「~ने गरि」は会話表現だ、というようなことが言われますが、公文書の中にもごく普通に「~ने गरि」が用いられているのを目にしますので、それほど気にしなくて良いようです。

まとめ

動詞の接続形一つとっても、完璧に理解しようとするとなかなかのボリュームになるものですね。まずは、「エラ」を使って喋れるようになりましょう。そして、文章の中で「イ」を目にしたり会話で耳にした時にも戸惑わないように、「イ」のことも覚えておきましょう。そのうち、自分でも自然と「エラ」と「イ」の両方を使いこなせるようになるはずです。そうなったら、本当に“偉い”ですね!

では、まとめです。

  • 過去分詞形で「एको」が付く場合のルールに従って、代わりに「एर」を付ければ接続形
  • 上級者は、「एर」を「ए」+「र」と捉えよう
  • 「~ने गरेर」で副詞句を作れる
  • 「एर」の場所に「इ」で、動詞同士をつないで複合動詞が作られる
  • 「~एर」と「~इ」は交換可能だったり不可だったりします

※2021年5月2日、「『~एर』の構成についての論考」部分の見出し及び内容を一部加筆修正しました。

(※当サイトを運営する合同会社アジア・パブリック・インフォメーションは、ネパール語翻訳のご依頼も承っております。詳しくは、弊社公式ホームページをご覧ください。)

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