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ネパール語動詞の過去分詞「エコ」の用法と作り方

合同会社アジア・パブリック・インフォメーションがお届けする、本気でネパール語を習得したい人のための解説ページ。前々回から、ネパール語動詞の活用の仕方の解説を始めています。前回は、動詞の原形のままで使用することによって名詞として使えるということ、そして、末尾の「नु」を「ने」に変えて現在分詞を作るという点を解説しました。

現在があれば、過去があります。今回は、過去分詞の作り方と用法です。当然、会話でも文章でも頻出する活用形ですので、避けては通れません。頑張っていきましょう。

(※当初掲載されていた冒頭部分において、本稿において複合動詞についても解説しているとしていましたが、該当部分が未掲載となっておりました。また、複合動詞という名称も意図したものとは異なるものを指して用いられていましたので、後日修正しました。ご迷惑をおかけいたしましたことをお詫びいたします。)

ネパールの楽器サランギ
(ネパールの楽器「サランギ」)

ネパール語の過去分詞は「エコ」である

まずは、過去分詞から。

現在分詞を作るには、原形の「नु」の部分を「ने」に変えれば済みました。そして、意味は、(「です、ます」ではなく)「~する」と、言い切るものでしたね。過去分詞の場合は、「ने」の部分を「एको」に変えます。これも、敢えて訳すなら、現在分詞と同じように「~した」と言い切っている状態になります。

とはいえ、「नु」を「ने」に変えるだけなら視覚上の変化も音の変化も小さいためとっつきやすいですが、「एको」に変える時にはそうはいきません。動詞の形のパターンによって活用の形が変わりますので、以下に解説していきます。

パターン①:原形の「नु」の前が母音「आ」または「इ」

最初のパターンは、原形の「नु」の前が、母音「आ」または「इ」となっているものです。実際の表記の中では母音記号として登場します。例えば、「खानु」「हाल्लिनु」「सिद्धिनु」などがあります。

この場合の過去分詞化はとても簡単。単純に「नु」を消去して、その代わりに「एको」をつけるだけです。

上に挙げた3つの単語ならそれぞれ、以下のように変化します。

खानु※1 → खाएको※2

हाल्लिनु※3 → हाल्लिएको※4

सिद्धिनु※5 → सिद्धिएको※6

※1 「食べる」の意

※2 食べた

※3 「揺れる」の意

※4 揺れた

※5 「終わる」の意

※6 終わった

例外:「जानु」は「गएको」になる

何にでも例外はつきものですが、このパターンにも例外が存在します。それが、「行く」という意味の動詞「जानु」です。パターンに当てはめるなら「जाएको」となりそうですが、どういうわけかそうはならずに、「गएको」という形に変化します。覚えるしかありません。

パターン②:原形の「नु」の前が母音の無い子音字

次のパターンは、「गर्नु」「मिल्नु」「हाँस्नु」などの原形の「नु」の前が母音の無い子音字の場合です。

この場合は、「नु」を消去し、「एको」を取り付けます。そして、母音「ए」は、その直前の子音字にくっつき、母音記号「े」となって表記されます。

つまり、以下のような変化です。ここも分かりやすく、“スローモーション”で表記します。

गर्नु※7 → गर् → गर्‌एको → गरेको※8

मिल्नु※9 → मिल् → मिल्‌एको → मिलेको※10

हाँस्नु※11 → हाँस् → हाँस्‌एको → हाँसेको※12

※7 「する。行う。」の意

※8 した、行った

※9 「合う」の意

※10 合った

※11 「笑う」の意

※12 笑った

パターン③:原形の「नु」の前が母音「अ」

次のパターンは、原形の「नु」の前が、母音「अ」の単語です。「अ」の母音記号は存在せず、子音字の中に隠れていますので注意が必要ですね。例えば、「सुम्पनु」「पर्खनु」「पक्रनु」などといった動詞です。

(「ネパール語の文字の読み方(母音字)」 と「ネパール語の文字の読み方(子音字)」をご覧ください。)

この場合は、「नु」と、その前に隠れている「अ」を消去して、その代わりに「एको」を取り付けます。「अ」を「ए」に変えて、「नु」を「को」に変えるという言い方もできるかも知れませんが、「एको」はセットにしておいた方が後々まで覚えやすいと思います。「ए」は、「े」での表記です。

つまり、上記の例であれば、以下のようになります。変形の仕方が分かりやすいように、”スローモーション”で見ていきましょう。

सुम्पनु※13 → सुम्प →सुम्प् → सम्प्एको→ सुम्पेको

पर्खनु※14 → पर्ख → पर्ख् →पर्ख‌्‌एको → पर्खेको

पक्रनु※15 → पक्र → पक्र् → पक्र‍्‌एको → पक्रेको

(「र」の表記の仕方については、「ネパール語の文字の読み方(曲者「र」をマスターする)」をご覧ください。)

※13 「委ねる」の意

※14 「待つ」の意

※15 「つかむ。捕らえる。」の意

パターン④:原形の「नु」の前が「आउ」の音

このパターンは、例えば、「आउनु」「लगाउनु」「गराउनु」などのような頻出単語によく見られます。この場合は、「उनु」の部分を消去して、その代わりに「एको」を取り付けます。簡単ですね。

“スローモーション”はこうなります。

आउनु※16 → आ → आएको

लगाउनु※17 → लगा → लगाएको

गराउनु※18 → गरा → गराएको

この「आउनु」の音が「आएको」の音に代わるパターンは頻出ですし、パターン①の「खानु」も過去分詞は「खाएको」となって「आएको」の音が出てきますので、「आ」と発音したら「आएको」にする、と覚えてしまっても差し支えないでしょう。(「जानु」だけは例外です。)

※16 「来る」の意

※17 「着ける」の意

※18 「させる」の意

パターン⑤:「हुनु」は「भएको」になる

これは一単語だけのことですのでパターンと言うにはちょっと無理があるかも知れませんね。その一単語とは、英語動詞の「be」に該当する、「हुनु」です。

これは、「भएको」と変化します。

覚えるしかありませんね。

さて、この「हुनु」は、基本的には英語の「be」と同じですが、やはり異なる特徴もあります。それは、動詞を敬語表現にする役割がある、というものです。

主語について、そして敬語について詳しくはまた別の記事で解説しますが、二人称の「あなた」を表す主語「तपाईं」や「あなた様」の「हजुर」を使った場合には、動詞を敬語表現にしなければなりません。その方法が、動詞原形の後ろに「हुनु」をつける、というものです。

原形のままで使用されているのは目にしたことがありませんが、理解のために敢えて書きますと、例えば、「खानु」は「खानुहुनु」、「आउनु」は「आउनुहुनु」、「गर्नु」は「गर्नुहुनु」という形になります。

今日押さえておきたいのは、これらを過去分詞にしたときに、「एको」が付くのは「हुनु」の部分であるということです。

それで、上の3単語は以下のように変化します。

खानु (→ खानुहुनु )→ खानुभएको

आउनु (→ आउनुहुनु )→ आउनुभएको

गर्नु (→ गर्नुहुनु )→ गर्नुभएको

なんだか急に単語が長くなり始めた…と抵抗を感じるかも知れませんが、これが尊敬形だということだけ覚えておけば怖くありません。むしろ、「भएको」の直前に動詞の原形を保っていますので、それが初めて見る単語だったとしても、辞書を引きやすいというメリットがありますね。

現在分詞「ने」の尊敬形も同じです

現在分詞のところでは触れていませんでしたが、動詞が尊敬形をとったときの現在分詞化は、同じように「हुनु」の部分を「हुने」とすることによってなされます。

खानु (→ खानुहुनु )→ खानुहुने

आउनु (→ आउनुहुनु )→ आउनुहुने

गर्नु (→ गर्नुहुनु )→ गर्नुहुने

といった形です。

過去分詞を略すには「आ’」

さて、話し言葉と書き言葉に違いが生じるのはどの言語でも見られることです。ネパール語も例外ではありません。この記事で考えてきた過去分詞、正しくは「एको」をつける形ですが、話し言葉では略して発音されることがあります。

例えば、「私は食べていない」というとき、正しくは「खाएको छैनँ।」ですが、「खा’ छैन」と言われることがあります。田舎ではむしろこういった言い方の方が標準で話されている場所も多いようですね。話し言葉をそのまま表記したい時などは、このように「ा’」という形が用いられます。「’」に音はありません。

過去分詞なのか完了形なのか

さて、最後に前回の現在分詞の解説でも触れた点に言及しておきたいと思います。やはり、これは上級者向けの内容ですので、興味のあるだけお読みください。

ネパール語の現在分詞と過去分詞は、「現在」や「過去」という時間的な要素でとらえるよりも、「完了したこと」と「まだ完了していないこと」という捉え方をした方がしっくり来やすい面があります。

例えば、友人に電話をかけ「के गर्दै बसेको?」と尋ねる表現があります。直訳すれば「何しながら座った?」ですが、意味は「今何して(過ごして)る?」となります。過去のことを言っているわけではありませんが、過去分詞が使われています。これは、「何かをしながら座る(家で過ごす)」という動作そのものは完了し、その状態が続いていることを想定している表現です。

確かに過去という要素もありのですが、それだけでは厳密には表現できませんね。実際に、ネパール語の現在完了形、過去完了形などにはこの「एको」を用いられています。

それで、ネパール語マスターになりたい方には、「完了」という考え方を頭の片隅に入れておかれることをお勧めいたします。

ネパール語の過去分詞、まとめ

それでは、この記事のまとめです。

  • ネパール語動詞を過去分詞にするには「एको」をつける
  • 「ानु」「िनु」のパターンでは、「नु」だけを消して「एको」をつける
    • 「जानु」は例外で、「गएको」になる
  • 「नु」の前が母音の無い子音字の場合、「नु」を消して「ेको」をつける
  • 「नु」の前が「अ」の場合、「अ」と「नु」を消して「ेको」をつける
  • 「नु」の前が「आउ」の場合、「उनु」を消して「एको」をつける
  • 「हुनु」の過去分詞は「भएको」
    • 動詞の尊敬形の過去分詞は、動詞原形の後ろに「भएको」
  • 「एको」は略して「ा’」となる
  • 「完了」という考えも頭の片隅に

「エコ」って…覚えること多くて何もエコじゃない!と、これまできっと何人ものネパール語先駆者たちがつぶやいてきたことでしょう。

次回は、接続形(連用形)の作り方やそれを用いた複合動詞の作り方、などです。

(※当サイトを運営する合同会社アジア・パブリック・インフォメーションは、ネパール語翻訳のご依頼も承っております。詳しくは、弊社公式ホームページをご覧ください。)

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