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ネパール語の使役形 5つの作り方から意味合いまでしっかり押さえる

ネパールの道
(ネパールの道を行く自転車。後ろにはヒマラヤも見える。2022年10月撮影)

合同会社アジア・パブリック・インフォメーションがお届けする、本気でネパール語を習得したい人のための解説ページ。今回は、使役形です。使役形と言うと、相手に何かをやらせるということですが、ネパール語の使役形は強制力がそれほど強くない場合も多々ありますので、その点をしっかり理解しておかないと誤解を生じかねません。その上、日常会話でも頻出する形ですので、しっかり理解していきましょう。

今回の記事の内容は以下のとおりです。

ネパール語の使役形の‟強制力”は弱い

使役形というと、日本語の響きとしては相手に強制して何かを行わせる、というイメージがあるかも知れません。

とはいえ、ネパール語では使役形のことを「प्रेरणार्थक」と言います。この単語の元となっている語には字義的には「意志や考えを生じさせる」という意味があります。動作主に対して主語が意志を生じさせることを指しているわけです。したがって、強制力は日本語でイメージするほど強いものではありません。

たとえば、「教える」という意味の「पढाउनु」という語があります。「勉強する」という「पढ्नु」の使役形です。先生が生徒に対して「पढाउनु(教える)」わけで、生徒は「पढ्नु(勉強する)」わけです。とはいえ、通常は、先生が無理強いして生徒に勉強させているわけではありませんよね。

もちろん、場合によっては強制力が強い場合もあり、それもこの使役形でカバーされています。言語ですので常に文脈が大事になってくるわけですが、使役と言うからと言って必ずしも日本語でイメージするほど強制力が強いわけではないということを覚えておきましょう。

使役形の作り方は、大きく分けて2パターン

では、ここからは使役形の作り方を見ていきましょう。これには、動詞を使役形活用するパターンと、別の動詞「लगाउनु」を使用するパターンとがあります。それぞれ見ていきましょう。

動詞自体を使役形に活用する

ネパール語学習者にとって分かりやすいのはこの次に解説する形ですが、多くの場合自然なネパール語としては基本的にはこちらの形が用いられますので、先に解説します。

それは、動詞原形を使役形に活用する方法です。代表的なのは「ाउनु」という形に変換するものです。

具体的には、以下のような変化になります。

方法1.「आउनु」を付ける

最も代表的な形です。原形から語末の「नु」を取り除き、代わりに「ाउनु」を付けます。「नु」の前に「ाउ」を挿入すると覚えてもいいかもしれません。この形は、「नु」の前が、母音を伴わない子音字か、母音「अ」となっている単語で用いられます。

例えば、以下のような単語です。

पढ्नु(読む/学ぶ) → पढ् + ाउनु → पढाउनु(教える)

सिक्नु(学ぶ) → सिक् ाउनु → सिकाउनु(教える)

गर्नु(する) → गर् + ाउनु → गराउनु(させる)

मिल्नु(合う) → मिल् + ाउनु → मिलाउनु(合わせる)

खेल्नु(遊ぶ) → खेल् + ाउनु → खेलाउनु(遊ばせる)

फर्कनु(戻る) → फर्क ाउनु → फर्काउनु(戻す/返す)

方法2.「अ」を「आ」に変える

この方法がとられる単語はそれほど多くありません。短い単語で、原形末の「नु」の前が「अर्」の音になっている単語がこの変化をすることが多いです。

例えば、以下のような単語があります。

「झर्नु」→使役形は「झार्नु」

「सर्नु」→使役形は「सार्नु」

「पर्नु」→使役形は「पार्नु」

「पर्नु」には「पराउनु」という使役形もありますが、「मन पराउनु(好む)」という熟語で用いられることがほとんどです。

方法3.「लाउनु」を付ける

これと次の「方法4」は、「方法1.『आउनु』を付ける」の範疇に入る例外的なものと考えていいでしょう。これが使用される単語はごく一部です。例えば、「सिउनु(縫う)」という単語があります。使役形は「सिलाउनु」です。

方法4.「याउनु」を付ける

同じように、「याउनु」を使う例として、「छुट्नु(分かれる/別れる)」の使役形の一つに「छुट्याउनु(分ける/別ける)」があります。似たものに、「डोरिनु(引かれる)」の使役形「डोर्‍याउनु」や「कोट्टिनु」の使役形「कोट्याउनु」があります。

動詞「लगाउनु」を使用する

では、動詞自体を使役形に活用させるのではない方法を見ていきましょう。

理論的には、どんな動詞の場合でも、その動詞に続けて「लगाउनु」を使用すれば使役形にすることができます。ですが、自然なネパール語としては、使役形活用が存在する動詞の場合はそちらが使用されます。使役形活用があるにもかかわらずに敢えて「लगाउनु」を使用する用法も存在しますが、その場合には、「させる」という強制感が強まります。

したがって、通常は、使役形活用が存在しない動詞での使役表現に「लगाउनु」が用いられることになります。

例えば、「आउनु(来る)」や「गाउनु(歌う)」のように初めから「ाउनु」が使用されている動詞です。これらにもう一度「आउनु」を付けることは行われません。「来させる」は「आउन लगाउनु」、「歌わせる」は「गाउन लगाउनु」となります。

この他に、「जानु(行く)」や「छान्नु(選ぶ)」といったように使役形活用がない動詞も、「जान लगाउनु」「छान्न लगाउनु」といったように「लगाउनु」が使用されます。

ちなみに、形から推測できるかと思いますが、「लगाउनु」とういう動詞自体が「लाग्नु」という動詞の使役形です。ですので、他の動詞を伴わずに単体で用いられた場合には、「させる」という意味ではなく「लगाउनु」自体の意味を表現することになります。

使役形の使役形

さて、ネパール語には使役形の使役形も存在します。これは、使役形が広く用いられるネパール語ならではと言えるでしょう。例えば、「ネパール語を教える」というネパール語は「नेपाली भाषा सिकाउनु」です。「सिकाउनु」は動詞「सिक्नु(学ぶ)」の使役形です。

म उसलाई नेपाली भाषा सिकाउँछु।(私は彼にネパール語を教える)となります。

では、「ネパール語を教えさせる」という表現はどうなるでしょうか。「教える(सिकाउनु)」という動詞がすでに使役形ですので、ちょっと考えてしまうかも知れません。

このような場合にも「लगाउनु」を使用します。つまり、上の文をさらに使役形化すると次のようになります。

तपाईंले मलाई उसलाई नेपाली भाषा सिकाउन लगाउनुभयो।(あなたが私に彼にネパール語を教えさせました。)

主語と目的語に生じる変化

さて、今の例にも見られますが、「~さんが…をする」という文を使役形にする場合、~さんに…をさせるのは誰か、という問題を解決しなければなりません。つまり、文章の主語が変わるということです。もともと主語だった「~さん」は第一目的語に変化します。

“第一”目的語とは、英語学習の際の「S V O1 O2」の「O1」、つまり「誰に何を」の「誰に」にあたる部分のことです。

それを示すために「~さん」に必ず付けなければならないのが「लाई」という接尾辞です。

例えば、先ほどの例で言えば、もともと主語だった「म」に「लाई」が付きましたね。

もっとも、先ほどの例では、「म」が目的語となったことで「誰に」という第一目的語が見かけ上2つ存在するようになっています。「उसलाई(彼に)」は「सिकाउन」の第一目的語、「मलाई」は「सिकाउन लगाउनुभयो」の第一目的語と理解しておくことができるでしょう。ネパール語の使役形では、このように第一目的語が複数存在することもあるということを覚えておきましょう。

まとめ

では、ネパール語の使役形のまとめです。

  • 使役形の基本は、動詞自体を活用する
  • 活用の基本は「आउनु」
  • 単語によっては「आउनु」の代わりに「लाउनु」や「याउनु」のことも
  • 例外として「अ」の代わりに「ा」
  • 動詞に伴って「लगाउनु」を付ければ使役形の完成
  • とはいえ、実際には「लगाउनु」が使われるのは一部のみ
  • 使役形の使役形もある
  • 主語は第一目的語に変化。一文に第一目的語が二つ存在することも

次回は、ネパール語の受け身について解説していきます。お楽しみに!

(※当サイトを運営する合同会社アジア・パブリック・インフォメーションは、ネパール語翻訳のご依頼も承っております。詳しくは、弊社公式ホームページをご覧ください。)

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