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ネパール語の疑問文-1 基本と疑問詞

ネパールはカトマンズの犬
(カトマンズの犬。2021年7月撮影)

合同会社アジア・パブリック・インフォメーションがお届けする、本気でネパール語を習得したい人のための解説ページ。今回は、ネパール語の疑問文を解説していきます。疑問文と言っても、単純な質問から、疑問詞を伴うもの、さらには修辞疑問文や冗談(からかい)のための疑問文まで色々です。疑問文を使いこなせるようになると、意味深いコミュニケーションが取りやすくなります。

それでは、さっそく見ていきましょう。今回は基本と疑問詞について解説しています。内容は以下のとおりです。

ネパール語疑問文の基本的な作り方

ネパール語で疑問文を作るには、文末を「?」にします。日本語ではクエスチョンマークが無くても「か」を付けることによって疑問文にすることができますが、ネパール語では書き言葉においてクエスチョンマークが全てです。日本語で疑問を表わす「か」に相当するものはありません。英語のように動詞の位置が変わるということもありません。

スピーキング時には、文末の語尾を上げて発音することによって疑問であることを示します。それだけです。英語のように、疑問詞が使われる場合は文末の語尾を上げないというようなルールもありません。ネパール語では、文末の語尾が上がったら、それは疑問文です。

नेपाली भाषा गाह्रो छ।(ネパール語は難しいです。)

नेपाली भाषा गाह्रो छ?(ネパール語は難しいですか?)

「कि?」≠「か?」

ここでしっかり解説しておきたいことがあります。それは、疑問文の文末に用いられることがある「कि?」という単語についてです。これが日本語の疑問文の文末にくる「か」とイコールだと誤解してしまうと、違和感のあるネパール語を話してしまうことになります。

確かに、次の例文にあるようなよく使われる表現は一見すると「कि?」=「か?」に見えてしまうのですが…

नेपाली भाषा गाह्रो छ कि?(ネパール語は難しいですか?)

まずは、疑問文における「कि」の役割をしっかり理解しましょう。

「~か…か」という選択を意味するのが「कि」

ネパール語の疑問文における「कि」というのは、選択肢を提供するという役割を果たします。最たる例が、次の文。

हो कि होइन?

直訳は「そうかそうでないか」となります。自然な訳としては「そうなのかそうじゃないのか、どっちだ?」といったような感じになります。このように「कि」は何かを並列して選択肢を提供します。

そして、多くの場合は相対する二つの事柄が対比されることになります。

नेपाली भाषा गाह्रो छ कि छैन?(ネパール語は難しいですかそうでもないですか?)

नेपाली भाषा गाह्रो छ कि सजिलो छ?(ネパール語は難しいですか簡単ですか?)

といった具合です。

「कि」の後ろは省略可能

それで、「कि」の後ろは、前に来た単語や文章のだいたい反意語(文)が来るということが想定できます。ということは、「कि」の後ろを敢えて言わなくても通じます。このように省略された形が「नेपाली भाषा गाह्रो छ कि?」になるわけです。

直接「ネパール語は難しいですか」と尋ねるだけで終わらずに、「कि」を付けて「(…そうでもないですかね?)」という含みを持たせることで、質問が柔らかな印象になるという効果もあります。

とはいえ、質問を柔らかくするというのは「कि」の第一の役割ではありません。それで、相対する選択肢が想定されていない疑問文になんでもかんでも「कि」を付けようとするのは、自然なネパール語ではありません。

例えば、次の文は変です。

तपाईं कति बजे आइपुग्नुभयो कि?(あなたは何時に到着しましたか?)

これが変なのは、相対する選択肢が想定されていないからですね。これが、「तपाईं आइपुग्नुभयो कि?(あなた到着しましたか?)」という文であれば、正しく自然な表現になります。想定されている相対する選択肢は「まだ到着していませんか?」ですね。

「के गरौँ कि?」という話し言葉

一方で、「के गरौँ कि?」という疑問文も話し言葉では使用されることがあります。直訳すると、「どうしようか」です。「कि?」が使われていますが、相対する選択肢は想定されていないように見えます。実はこれは話し手の迷いが伝わってくる言い回しで、何かのアイデアを採用しようかどうか悩んでいるという心理状態が伝わってきます。(さらに進んで、何らアイデアが浮かばないという状態も含まれます。)

それで、文法上は変でもありますが、話し手の心情の中では「選択」という要素があり、それが反映されていると理解できるでしょう。「どうしようかなぁ」と自分の中で迷っている表現ですので、厳密には疑問文ではないとも言えるでしょう。相手の意向を尋ねる時は「के गरौँ?」と尋ねます。

ネパール語の11の疑問詞

ここからはネパール語の疑問詞についての解説に入っていきます。

疑問詞と言えば、「5W1H(when,where,who,what,why,how)」が思い浮かびますね。でも実は英語でも「which」などここに含まれていない疑問詞も存在するように、ネパール語の疑問詞も6個にはとどまりません。

それどころか、非常に多く、11個はあります。それもすべて「क」で始まります。「के(何)」「कहिले(いつ)」「कहाँ(どこ)」「को(だれ)」「कस्तो(どんな)」「कसो(どんな)」「कसरी(どのように)」「कति(いくつ)」「कत्रो(どれくらい)」「किन(なぜ)」「कुन(どれ)」です。

ですが、日本人にとって嬉しい特徴として、英語のように疑問詞が必ず文頭に来る、というルールはネパール語にありません。日本語で疑問詞を置く場所とネパール語で疑問詞を置く場所はほとんど共通しています。馴染みやすいですね。

それでは、一つ一つの疑問詞を見ていきましょう。

「के」 ネパール語の「何?(what)」

基本の疑問詞となるのは「के」です。「के हो?」と尋ねれば、「何ですか?」という疑問文になります。「यो के हो?」というのは、「これは何ですか?」ですね。

倒置法を用いて強調したいものの位置を変えることもできます。「के हो यो?」といえば「何だこれは」。日本語と同じですので、理解しやすいですね。

「के」が先頭に来る疑問文では「के」 ≠「何」のことも

疑問詞の中で「के」だけに存在する特徴に、「本来の『何』という意味を失い、代わりにその文を疑問文にする」というものがあります。次の例文をご覧ください。

के हामीलाई नेपाली भाषा गाह्रो हुन्छ? (私たちにとってネパール語は難しいのでしょうか?)

この場合、「के」に「何」という意味はありません。そして、「के」を付けずに「हामीलाई नेपाली भाषा गाह्रो हुन्छ?」とだけ言っても同じ意味の疑問文です。ですが、敢えて「के」と文頭に付けることで、「これは疑問文ですよ」という事前通知のようなものがなされます。続く質問に注意を引いたり、提示する質問について考えさせたりする効果があります。

「कहिले」 ネパール語の「いつ?(when)」

ネパール語の「いつ」は「कहिले」です。「いつ」という疑問がカバーする答えの範囲はとても広く、何千年もの昔のこともあり得ますし、何万年先の将来のこともあり得ます。日本語と同じですね。

「कति खेर」「कुन बेला」

そこで、時を意味する「खेर」や「बेला」を使ってもう少し時間の範囲を限定した尋ね方もできます。「कति खेर」や「कुन बेला」です。「いつ頃」という訳になります。「何時ごろ」と訳しても良いでしょう。これらの表現は1日のうちのどのタイミングか、ということを尋ねる表現です。

強調形「कहिल्यै」の疑問詞としての機能はかなり弱い

「कहिले」の強調形は「कहिल्यै」ですが、肯定文ではほとんど使用されません。「決して…ない」という全部否定で用いられます。疑問文ではなくなります。

もっとも、「म कहिल्यै त्यस्तो कुरा गरेको थिएँ र?(私がいつかそんなこと言ったことがあったか?)」というような疑問文では「कहिल्यै」用いられます。ですが、こういった文は形式的には疑問文ですが、言いたいのは「いや、決して言っていない」という否定です。やはり「कहिले」の強調形「कहिल्यै」は全部否定を作ります。

「म कहिल्यै त्यस्तो कुरा गरेको थिएँ कि?」と尋ねた場合には、「私いつかそんなこと言ったことありましたっけ?」というような日本語になり、先ほどの文よりはもう少し否定の度合いが弱くなっています。それでも、「言っていない」という答えを望んでいる気持ち(あるいは、自分の側には記憶がないことを暗に伝える意図)が見え隠れします。

疑問詞の強調形なのに、疑問詞としての機能が弱くなるというのは興味深いですね。

「कहाँ」 ネパール語の「どこ?(where)」

ネパール語の「どこ」は「कहाँ」です。「どのあたり」と尋ねる時には「कहाँनेर」という語が使われます。

強調形「कहीँ」では疑問詞としての機能は弱い

「कहाँ」の強調形は「कहीँ」です。「どこにもない」という全部否定を作る時に使用されます。また、「時々」という意味の「कहिलेकहीँ」という単語の中に登場します。「たまに所々で」と言っているようです。それで「時々」という意味になります。

「कहीँ」が疑問文で用いられる時には「त्यस्तो मान्छे कहीँ हुन्छ र?」(そんな人どこかにいるの?)と言ったように、否定の返事を想定していることがほとんどです。「कहिल्यै」の場合と同じです。

「कता」は「どっち?(which way)」

もう一つ似ている言葉に「कता」という疑問詞があります。意味は「どっち」です。「अब कहाँ जाने?」と「अब कता जाने?」はどちらも同じことを言っているように思えて戸惑いやすいかも知れません。「कहाँ」は純粋に場所を訪ねていますが、「कता」は方向を尋ねている、という違いがあります。

目的地が決まっていて一緒に歩いている友人に「次はどっち」と道順を尋ねる場合、「अब कहाँ जाने?」と尋ねるのは変だということになりますね。「अब कता जाने?」と尋ねるのが正解です。

強調形「कतै」の独特の用法

「どっちの方向」を意味する「कता」が強調形の「कतै」を取ると、方角が四方に広がるということなのでしょう、「どこかに」という意味になります。「यस्तो सामान कतै पाइन्छ कि?」(このような品がどこかで手に入りますか?)といった具合です。

そして、物理的な方向(方角)だけでなく、比喩的な「どこかで」という意味も持つようになります。日本語で対応するのは、「ひょっとして」です。

कतै तपाईं बिर्सिनुभएको त होइन?(あなたひょっとして忘れていませんよね?)

कतै मैले तपाईंको चित्त दुखाएँ कि?(ひょっとして私あなたを傷つけましたか?)

これは他の疑問詞の強調形にはない独特の用法です。「कतै」を否定文で使うと、「どこにもない」という全部否定になります。

「को」 ネパール語の「だれ?(who)」

ネパール語の「だれ」は「को」です。

後置詞「ले」や「लाई」がつく場合は「कसले」、「कसलाई」となります。この時の「स」は母音がなく、「s」のみの発音です。

話し言葉においては「कोले」、「कोलाई」という表現も耳にします。これらは多少砕けた表現で、普通に使われていても正確ではない表現です。どの言語にもこういった表現があるものですね。

「को」の強調形はありません。

「कस्तो」 ネパール語の「どんな?(how)」

ネパール語の「どんな/どのような」は「कस्तो」です。「कस्तो」の強調形はありません。

「कसो」もほぼ同じ

ほぼ同じ表現に「कसो」があります。「कस्तो」よりは使用できる範囲が狭いので、「कस्तो」の簡略化された表現と言って差し支えないでしょう。

「कसरी」 ネパール語の「どのように?(how)」

ネパール語の「どのように」は「कसरी」です。「कस्तो」は日本語では「どんな/どのような」と状態を尋ねる疑問詞であるのに対して、「कसरी」は「どのように」と方法や経緯を尋ねる疑問詞です。

時間経過があるかないか、という表現でも違いを説明できるでしょう。

「कसरी」の強調形はありません。

「कति」 ネパール語の「いくつ?(how many/how much)」

ネパール語の「いくつ」は「कति」です。日本語にないネパール語独特の表現としては、「今何時?」と尋ねる時に「अहिले कति बज्यो?」と尋ねたり、「どれほどの長さか」と尋ねる時に「कति लामो?」と尋ねたりすることが挙げられます。

「कति बज्यो?」という表現は、直訳すると「いくつ鳴った?」です。時を告げる鐘が何回鳴ったか、という質問なのだそうです。それで、「何時に集まろうか?」と尋ねる時などは、条件法を使って「कति बजे भेला होऔँ?(直訳:いくつ鳴ったら集まろう?)」と尋ねます。「अहिले कति बज्यो?」という質問には「○○ बज्यो।」と答えるのが正解です。「○○ बजे।」ではありません。一方、「何時に集まろうか」というような質問には「○○ बजे」と答えるのが正解です。

「कति」の強調形はありません。

「कत्रो」 ネパール語の「どのくらい?(how big)」

ネパール語の「कत्रो」は「どのくらい」です。大きさを尋ねる際に用いられます。長さを尋ねる際には「कति」ですが、その物全体のサイズを尋ねる場合には、「कत्रो」が使用されます。「कति ठूलो」と同義です。

「किन」 ネパール語の「なぜ?(why)」

ネパール語の「なぜ」は「किन」です。日本語では文頭に「なぜ」が来ることも少なくないですが、ネパール語ではむしろ「किन」で文が始まることは少ない傾向にあり、文中(主語の後)や文末に置くことが好まれます。

また、「किन?」とだけ尋ねることも多々ありますが、このように理由を問う質問は相手を問いただしているような印象に感じやすいためか、「किन नि?」、「किन होला?」といった言い方にすることで相手に与える印象を和らげることもよく行われます。

逆に「किन र?」という表現には、「なんでだよ?」と反発の気持ちが表れます。(次回取り上げますが、「र?」という質問の後は、前の部分で言っていることと反対の答えが想定されます。この場合は、「もっともな理由なんてないでしょ」と言ったような言外の気持ちがこの「र?」に繋がっていると言えます。)

「किन」の強調形はありません。

「कुन」 ネパール語の「どれ?(which)」

ネパール語の「どれ」は「कुन」です。「कुन」の後に名詞が続いている場合は「どの」という意味になります。

この「कुन」ととても親和性が高くてしょっちゅう一緒に用いられるのが、前回も出てきた「चाहिँ」という語です。「चाहिँ」とは、複数の選択肢の中から特定のものを指す(限定する)時に使う言葉です。特定されるものは、直前の単語です。例えば、「यो हो।」と言えば単に「これです。」と言っている表現ですが、「यो चाहिँ हो।」と言うと、幾つかある選択肢の中で「これ」と限定して(特定して)言っている表現になります。

この「चाहिँ」が「कुन」の後に付くことによって、複数ある選択肢の中のどれなのか、ということが強調されます。例えば、「कुन तरकारी किन्ने?」と「कुन चाहिँ तरकारी किन्ने?」はどちらも「どの野菜を買うか?」と尋ねているわけですが、後者の方が買うべき野菜が強調されます。

「कुन」の強調形「कुनै」が使用されると意味が変わる

「कहिले」の場合と比較すると興味深いですが、「कुन」の場合は強調形「कुनै」にも疑問詞としての機能が残ります。ですが、「कुन」が「कुनै」に変わるだけで意味がずいぶんと変わることがあります。

例えば、「कुन दिन आऊँ?」という疑問文があります。「いつ(どの日に)うかがいましょうか?」という意味です。これが「कुनै दिन आऊँ?」となると「いつか(いつの日にか)うかがいましょうか?」という意味になります。「どの日」の強調形が「どれかの日」になるわけです。日を特定したいのであれば、前述のとおり「चाहिँ」を使います。

また、強調形「कुनै」は、「कुनै मानिसहरू(ある人々は)」と言ったように、やはり疑問詞としての機能を失っていることもあります。

疑問詞の強調形は、疑問詞としての機能を弱める。意識しておきましょう。

まとめ

それでは、ネパール語疑問文の基本と疑問詞のまとめです。

  • 疑問文は文末に「?」、話す時は文末を上げる、これだけ。
  • ネパール語疑問文末に「कि?」とつける時は「選択」の意識が働いている
  • 「के」の基本は「何」。でも、「何」ではなく疑問文を作る役割を果たしていることも
  • 強調形が存在する疑問詞では、強調形になると疑問詞としての役割は弱くなる
  • 「कहाँ」と「कता」、「कस्तो」と「कसरी」、「कति」と「कत्रो」の使い分けを意識しよう

次回は、修辞疑問文や疑問詞が二つ続く形、相手をからかうときに使う疑問文など、さらにネパール語の疑問文を深堀していきます。疑問文に関する疑問をすべて解決してくださいね!

(※当サイトを運営する合同会社アジア・パブリック・インフォメーションは、ネパール語翻訳のご依頼も承っております。詳しくは、弊社公式ホームページをご覧ください。)

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