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ネパール語の否定形(否定文)のつくり方①ー基本と現在形

ネパールの道
(ネパール南東部の橋)

合同会社アジア・パブリック・インフォメーションが提供する、本気でネパール語を習得したい人のための解説ページ。今回は、否定形・否定文のつくり方についてです。これまで解説してきた肯定文の基礎ができていれば、否定文の基本を押さえるのは難しくありません。とはいえ、ネパール語独特の表現や日本語の感覚からは誤解しやすい表現も存在します。今回から何回かにわたり、その点もしっかりカバーして解説していきます。それでは、始めましょう!

否定形を作る一文字、「न(ナ)」

ネパール語の否定形の基本は、一文字に集約されます。それは「न」です。単なる偶然か、言語同士の何かつながりがあるのかは分かりませんが、日本語でも否定の意味を伝えるために「~ない」と言う場合がありますし、英語の「not」もナ行の音から始まりますね。ネパール語の「न」は日本語の「ナ」と「ノ」の間の音ですので、ますます近いと感じます。

いずれにしても、こうして少し関連付けて覚えておけば、ネパール語の否定形(否定文)において「न」が重要だということを意識しやすくなると思います。では、まずは現在分詞と過去分詞を例にとって否定形(否定文)のつくり方をみていきましょう。

現在分詞

現在分詞の肯定形は、「~ने」でしたね。例えば、「हुनु」の現在分詞は「हुने(なる/ある/である)」、「खानु」の現在分詞は「खाने(食べる)」、「भन्नु」の現在分詞は「भन्ने(言う)」といった具合です。

それぞれの動詞の先頭に「न」を付けると、否定形になります。つまり、

「नहुने(ならない/ない/でない)」

「नखाने(食べない)」

「नभन्ने(言わない)」

ですね。

文としても成立する

すでに現在分詞の解説をした時に触れていますが、現在分詞は単体で文として成立させることができます。これは否定文でも変わりません。例えば、「出かけるんじゃないの?」という質問

बाहिर जाने होइन?

に対して、

नजाने।

と答えることができます。

「行かない。」という意味です。丁寧な口調ではありませんが、気を遣わない間柄では普通に使われる表現です。

修飾語としても使える

これも現在分詞についての解説で触れられている点ですが、否定形でも名詞に修飾することができます。例えば、「पहिला नसुनेको गीत」と言えば、「聞いたことのない曲」という意味です。

過去分詞

過去分詞に関しても、否定形のつくり方は現在分詞の時と同じです。

つまり、「हुनु」、「खानु」、「भन्नु」のそれぞれの過去分詞「भएको」、「खाएको」、「भनेको」の先頭に、「न」を付けるだけです。

「नभएको(ならなかった/なかった/でなかった)」

「नखाएको(食べなかった)」

「नभनेको(言わなかった)」

となります。

過去分詞の否定形も現在分詞と同じように、そのまま文として成り立ちますし、名詞を修飾することもできます。また、第二過去分詞の場合も先頭に「न」を付けることで否定形にすることができます。

ネパール語動詞の否定形(現在形)

現在分詞、過去分詞では先頭に「न」を付ければよかっただけの否定形も、文末に位置する動詞ではそうはいきません。(前述の簡略的な表現を除く。)とは言っても、ネパール語の否定形に「न」が使用されることに変わりはありません。変わるのは、位置です。動詞の後ろに「न」がつき、「दि」や「दै」を伴っていることもあります。その上、時制や「主語に応じた変化」というネパール語独特の要素がここに関わってきます。

ちょっと急に複雑になったような気がするかも知れませんが、ひとつひとつ順を追っていけば大丈夫です。今回は、現在形の否定に絞って考えていきましょう。

動詞「हुनु」は超頻出でありながら特殊ですので、その他の動詞と区別して押さえましょう。

「हुनु」の否定形

「हुनु」は「हो」系、「छ」系、「हुन्छ」系に分かれます。それぞれの現在形、否定形、未来形の否定の形は別のページ「ネパール語動詞「हुनु(フヌ)」 時制による変化の全パターン」に載せていますので、そちらをご覧ください。

その他の動詞の否定形

主語に応じて動詞の原形がどのように変化するかは、その動詞の組成に応じて4つにパターン化されます(実質3パターン)。各パターンごとの肯定文についての解説は、「主語に応じたネパール語動詞の変化①(現在形)」という記事にあります。その記事で解説した各パターンごとに、否定の形を解説していきます。

パターン①:原形の「नु」の前が母音「आ」または「इ」

最初のパターンは、原形の「नु」の前が、母音「आ」または「इ」となっているものです。実際の表記の中では母音記号として登場します。例えば、「खानु」(食べる)、「हाल्लिनु」(揺れる)、「सिद्धिनु」(終わる)などがあります。

この場合は、まず、「नु」を消して残った母音にチャンドラビンドゥ「ँ」を付けます。そして、その後ろに各主語に応じた「दैन」を付けます。このチャンドラビンドゥを「न्」と混同しやすいですので気を付けましょう。

「दैन」の部分のそれぞれの変化は、肯定形の音と対応していることにお気づきになるかも知れません。最初に現在形の肯定文を覚えた時に、「छ」のパターンでリズムを身につけておいたことがここでも生きてきます。

上に挙げたもののうち、超頻出の「खानु」を例に一覧表にしていますので、ご覧ください。

ネパール語動詞の変化形パターン①(खानुの現在否定

人称単複尊敬度該当する主語動詞「खानु」の対応する形
一人称単数खाँन्दिनँ
複数हामी/ हामीहरूखाँदैनौँ
二人称単数・複数最高हजुर/ हजुरहरूखानुहुँदैन
単数・複数中・高तपाईं/ तपाईंहरूखानुहुँदैन
単数・複数तिमी/तिमीहरूखाँदैनौ
単数最低तँखाँदैनस्
三人称単数・複数यहाँ/ यहाँहरू/ उहाँ/ उहाँहरूखानुहुँदैन
単数・複数यिनी/ यिनीहरू/ तिनी/ तिनीहरू/ उनी/ उनीहरूखाँदैनन्
複数यी/ तीखाँदैनन्
単数यो/ त्यो/ ऊखाँदैन

読者の中には、高尊敬の「खाँनुहुँदैन」に違和感を覚えた方もおられるかも知れません。「खानुहुन्न」の方が馴染みがあるのではないでしょうか。実は後者は簡略形です。そして、高尊敬だけに限らず、以下のとおり他の主語にも対応する形があります。

ネパール語動詞の変化形パターン①(खानुの現在否定・簡略形

人称単複尊敬度該当する主語動詞「खानु」の対応する形
一人称単数खाँन्नँ
複数हामी/ हामीहरूखाँनौँ
二人称単数・複数最高हजुर/ हजुरहरूखानुहुन्न
単数・複数中・高तपाईं/ तपाईंहरूखानुहुन्न
単数・複数तिमी/तिमीहरूखाँनौ
単数最低तँखाँनस्
三人称単数・複数यहाँ/ यहाँहरू/ उहाँ/ उहाँहरूखानुहुन्न
単数・複数यिनी/ यिनीहरू/ तिनी/ तिनीहरू/ उनी/ उनीहरूखाँनन्
複数यी/ तीखाँनन्
単数यो/ त्यो/ ऊखाँन

一般的な使用頻度は主語の尊敬度によって異なっています。すべてのパターンに言えることですが、最もよく使われるのは高尊敬の主語に対応する形で、本来の形よりも簡略形の方がよく用いられています。逆に低尊敬の簡略形はあまり用いられないようです。いくつかの形は、存在しないと言っても良いかもしれません。

パターン②:原形の「नु」の前が母音の無い子音字

次のパターンは、「गर्नु」(する)、「मिल्नु」(合わさる、適合する)、「हाँस्नु」(笑う)などの原形の「नु」の前が母音の無い子音字の場合です。

この場合は、「नु」を消去し、その位置に各主語に対応する「दैन」の変化形を取り付けます。やはり超頻出の、「गर्नु」を例に一覧表をご確認ください。このパターンの場合、主語の尊敬度が高い場合を除き、簡略形は用いられません。

ネパール語動詞の変化パターン②(गर्नुの現在否定)
人称単複尊敬度該当する主語動詞「गर्नु」の対応する形
一人称単数गर्दिनँ
複数हामी/ हामीहरूगर्दैनौँ
二人称単数・複数最高हजुर/ हजुरहरूगर्नुहुँदैन/गर्नुहुन्न
単数・複数中・高तपाईं/ तपाईंहरूगर्नुहुन्छ/गर्नुहुन्न
単数・複数तिमी/तिमीहरूगर्दैनौ
単数最低तँगर्दैनस्
三人称単数・複数यहाँ/ यहाँहरू/ उहाँ/ उहाँहरूगर्नुहुँदैन/गर्नुहुन्न
単数・複数यिनी/ यिनीहरू/ तिनी/ तिनीहरू/ उनी/ उनीहरूगर्दैनन्
複数यी/ तीगर्दैनन्
単数यो/ त्यो/ ऊगर्दैन

パターン③:原形の「नु」の前が母音「अ」

次のパターンは、原形の「नु」の前が、母音「अ」の単語です。「अ」の母音記号は存在せず、子音字の中に隠れていますので注意が必要ですね。例えば、「सुम्पनु」(委ねる)、「पर्खनु」(待つ)、「फर्कनु」(戻る)などといった動詞です。

過去分詞の解説からの流れで別個のパターンとしてはいますが、このパターンは結果としてパターン①と同じ形を取ります。つまり、原形末の「नु」を取り、直前の動詞にチャンドラビンドゥ「ँ」を付け、その後ろに各主語に応じた「दैन」を付けます。肯定文では「न」を「न्」としましたが、否定文では「न्」ではなくチャンドラビンドゥとなることに注意が必要です。

やはりよく用いられる単語である「फर्कनु」を例に一覧表を掲載します。パターン①と全く同じであることをご確認いただけると思います。このパターンにも簡略形が存在します。

ネパール語動詞の変化パターン③(फर्कनुの現在否定)
人称単複尊敬度該当する主語動詞「फर्कनु」の対応する形
一人称単数फर्कँदिनँ
複数हामी/ हामीहरूफर्कँदैनौँ
二人称単数・複数最高हजुर/ हजुरहरूफर्कनुहुँदैन
単数・複数中・高तपाईं/ तपाईंहरूफर्कनुहुँदैन
単数・複数तिमी/तिमीहरूफर्कँदैनौ
単数最低तँफर्कँदैनस्
三人称単数・複数यहाँ/ यहाँहरू/ उहाँ/ उहाँहरूफर्कनुहुँदैन
単数・複数यिनी/ यिनीहरू/ तिनी/ तिनीहरू/ उनी/ उनीहरूफर्कँदैनन्
複数यी/ तीफर्कँदैनन्
単数यो/ त्यो/ ऊफर्कँदैन

簡略形は以下のとおりです。

ネパール語動詞の変化パターン③(फर्कनुの現在否定・簡略形)
人称単複尊敬度該当する主語動詞「फर्कनु」の対応する形
一人称単数फर्कँनँ
複数हामी/ हामीहरूफर्कँनौँ
二人称単数・複数最高हजुर/ हजुरहरूफर्कनुहुन्न
単数・複数中・高तपाईं/ तपाईंहरूफर्कनुहुन्न
単数・複数तिमी/तिमीहरूफर्कँनौ
単数最低तँफर्कँनस्
三人称単数・複数यहाँ/ यहाँहरू/ उहाँ/ उहाँहरूफर्कनुहुन्न
単数・複数यिनी/ यिनीहरू/ तिनी/ तिनीहरू/ उनी/ उनीहरूफर्कँनन्
複数यी/ तीफर्कँनन्
単数यो/ त्यो/ ऊफर्कँन

パターン④:原形の「नु」の前が「आउ」の音

このパターンは、例えば、「आउनु」(来る)、「लगाउनु」(付ける、着る)、「गराउनु」(させる)などのような超頻出単語によく見られます。この場合は、「नु」を取り外し、「उ」にチャンドラビンドゥをつけて「उँ」という鼻音の形にします。その後、各主語に対応する「दैन」の変化形を取り付けます。

「आउनु」を例にとった一覧表をご覧ください。

ネパール語動詞の変化パターン④(आउनुの現在否定)
人称単複尊敬度該当する主語動詞「आउनु」の対応する形
一人称単数आउँदिनँ
複数हामी/ हामीहरूआउँदैनौँ
二人称単数・複数最高हजुर/ हजुरहरूआउनुहुँदैन
単数・複数中・高तपाईं/ तपाईंहरूआउनुहुँदैन
単数・複数तिमी/तिमीहरूआउँदैन
単数最低तँआउँदैनस्
三人称単数・複数यहाँ/ यहाँहरू/ उहाँ/ उहाँहरूआउनुहँदैन
単数・複数यिनी/ यिनीहरू/ तिनी/ तिनीहरू/ उनी/ उनीहरूआउँदैनन्
複数यी/ तीआउँदैनन्
単数यो/ त्यो/ ऊआउँदैन

簡略形も用いられることがあります。

ネパール語動詞の変化パターン④(आउनुの現在否定)
人称単複尊敬度該当する主語動詞「आउनु」の対応する形
一人称単数आउँनँ
複数हामी/ हामीहरूआउँनौँ
二人称単数・複数最高हजुर/ हजुरहरूआउनुहुन्न
単数・複数中・高तपाईं/ तपाईंहरूआउनुहुन्न
単数・複数तिमी/तिमीहरूआउँनौ
単数最低तँआउँनस्
三人称単数・複数यहाँ/ यहाँहरू/ उहाँ/ उहाँहरूआउनुहुन्न
単数・複数यिनी/ यिनीहरू/ तिनी/ तिनीहरू/ उनी/ उनीहरूआउँनन्
複数यी/ तीआउँनन्
単数यो/ त्यो/ ऊआउँन

まとめ

今回は、ネパール語の否定形の基本と現在形を考えてきました。少し複雑なパターンも登場しましたが、一つずつ順を追って覚えていきましょう。今回も、リズムをできるだけ早く身に付けてしまうことが鍵です。それでは、まとめです。

・否定形に共通しているのは「न」
・現在分詞と過去分詞は、頭に「न」を付けて否定する
・動詞の変化は、4(実質3)パターン。末尾に「दैन」を主語ごとに変化させて付ける。
・チャンドラビンドゥを意識しよう
・高尊敬でよく使われる「…हुन्न」は実は簡略形。その他の簡略形も存在することを覚えておこう

次回は、ネパール語の否定形のつくり方②です。過去否定と未来否定について解説します。それでは、お楽しみに!

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