
合同会社アジア・パブリック・インフォメーションがお届けする、本気でネパール語を習得したい人のための解説ページ。今回は、完了形の続きです。その①では、現在完了の解説をしてきました。今回は、過去完了と、未来完了について解説していきます。さらに、基本形と言える「एको」+「छ」以外にも登場する、「एको」+「हो」と「एको」+「हुन्छ」の意味合いについても分かりやすくお伝えしていきます。
【現在完了については、こちら】
過去完了形
過去完了とは
現在完了形についての解説のページで、完了形の基本的な意味合いを解説していますが、それは、“過去のある時点から今に至るまで何らかの状態が続いている”ということです。過去完了の場合は、「今に至るまで」の部分が過去になります。つまり、”過去のある時点から、それよりは最近の(しかしやはりすでに過去となった)ある時点まで何らかの状態が続いていた”です。
ネパール語過去完了のつくり
ネパール語の完了形の時制は、最後の「हुनु」が担います。すでに解説してある、進行形の時と同じですね。
過去完了の基本的な形は、こうなります。
「過去分詞(エコ形)」+{「हुनु」の「छ」・「हो」系過去形変化}
もっと平たく言うと、「थियो」が主語に応じて変化します。
現在完了でも出てきた例文、「私はネパールに行ったことがある」を過去完了に「私はネパールに行っていた」※1にするなら、こうなります。
現在完了形の文) म नेपालमा गएको छु।
過去完了形の文)म नेपालमा गएको थिएँ।
「छु」が「थिएँ」になっています。過去完了については、解説すべきことはそれほどありません。
※1 「ある」の部分を単純に「あった」にすると、「私はネパールに行ったことがあった」となります。もちろん、この表現が使われることもありますが、限られたケースですので、より自然な意味合いにしてあります。
未来完了形
では、未来完了に移っていきましょう。すでに「完了」したことなのに、「未来」。少し不思議な気もするかも知れませんが、これは”まだ完了してはいない何かが、未来のある時点には完了している”ということをあらわす表現です。
例えば、「1週間後にはもうネパールに行っちゃってるよ。」といったような表現ですね。
未来完了のつくり
ネパール語で「未来」と言えば、やはり「~ने」の形が出てきます。動詞「हुनु」の未来形「हुनेछ」を使います。これを、主語に応じて変化させていきます。
なので、
「過去分詞(エコ形)」+{「हुनु」の「हुनेछ」系変化}
というのが基本的な形です。
先ほどの例文、「1週間後にはもうネパールに行っちゃってるよ。」は、次のようになります。この場合の主語は「あの人(ऊ)」だとしましょう。
例)१ हप्ता पछि त ऊ नेपाल गइसकेको हुनेछ।
「エコ形」+「हुनेछ」になっていますね。
【「हुनु」の変化についてはこちら】
完了形で「हो」と「छ」を使い分ける
さて、ここまででネパール語の完了形の基本的な形を解説してきました。「~したことがある」「~だったことがある」「(ある時点から今まで)ずっとこうだ」といったような表現をするには「~एको छ」が基本です。
ところが、実際には最後の「हुनु」が「छ」系ではなく、「हो」系になることも多々あります。例えば、下の二つの例文はどちらも正しいネパール語表現です。最後の一語が違うだけですが、意味合いが違ってきます。
例1)म दालभात खाएको छु।
例2)म दालभात खाएको हो।
それぞれの訳文はこうなります。
例1)म दालभात खाएको छु।(私はダルバートを食べたことがあります。)
例2)म दालभात खाएको हो।(私がダルバートを食べました。)
「छ」と「हो」の意味合いの違いについてはこちらで解説しているのでここでは詳述しませんが、簡単に復習してみると次のような違いがあります。
「छ」…存在する/(特定の状態)である
「हो」…(名詞、あるいは名詞句で表されている事柄)だ
それで、完了形の場合にも最後がどちらになるかで意味合いが違ってくるんですね。意識しておきましょう。
【「छ」と「हो」の意味合いの違いや使い分けについては、こちら】
「हो」の場合、強調が置かれる位置は2パターン
さて、完了形に「हो」が使われた場合には、文脈や話し方によって強調される場所(伝えたい主なこと)が変わります。
下の二つの文を見比べてみてください。強調される場所に下線を引いてあります。
例1)म खाएको हो।
例2)म खाएको हो।
例文1で強調されているのは「私が」食べたということであり、例文2で強調されているのは、「食べた」ということです。
あれ?主語に応じた「हो」の変化は?
ここで、「हो」が主語に応じて変化していないことに違和感を覚えた方もおられることでしょう。それはとても正しい感覚ですが、上の例文が間違っている訳ではありません。もっとも、厳密な文法に従えば間違いと言えるかも知れませんが(特に例文1)、実際の会話の中では頻出する用法となっています。
特に、例文2のように、何かを行ったということや、何かの状態になったということをに強調が置かれるときには、この傾向が一段と強くなります。上の例で言えば、「खाएको」の部分ですね。この場合、文法上の主語は「म」でも、意識の上では「食べた(ということ)」が主語になっていると理解できるでしょう。
これに対して、文法上の主語に強調が置かれる場合には、動詞がしっかり変化する場合も多いです。上の例文で言えば、主語「म」に対応して「हुँ」となります。
「हुन्छ」を使用する時
では、最後に「हुनु」が、「छ」系でも「हो」系でもなく、「 हुन्छ」系変化をする時の意味合いについて解説していきます。
「हुन्छ」の主立った意味は2つありました。「なる」と、「(普遍的な状態)です」です。
完了形の場合にも、そのままこの意味合いを持ちます。
例えば、「こうすれば、正しい努力をしていることになる」という表現。
यसो गर्यौँ भने सही प्रयास गरिरहेका हुन्छौँ।
と言います。
あるいは、「いつも何かしら面白いことが起こるものだ」という表現。
सधैँ केही न केही रमाइलो भएकै※2 हुन्छ।
と言います。
※2「भएकै」は「भएको」の強調表現です。
頭に入れておくと、微妙なニュアンスを理解したり表現したりするのに役立つことでしょう。
まとめ
それでは、ネパール語完了形について、このページのまとめです。
- 過去完了形は「エコ形」+「थियो」系
- 未来完了形系は「エコ形」+「हुनेछ」系
- 最後に「छ」系なら、「~ことがある」。「हो」が使われれば、主語か動詞を強調
- 「हुन्छ」も使われて、「なる」や「(普遍的な状態)です」
今回で、ネパール語の完了形に関してはとりあえず解説完了です。次回は、ネパール語の否定表現について解説していきます。どうぞお楽しみに。
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