合同会社アジア・パブリック・インフォメーションがお届けする本気でネパール語を習得したい人のための解説ページ。今回は、ネパール語の数字(51~100)について解説していきます。
前回、50までの読み方で、ある程度のリズムと言いますか、読み方の規則を身に付けることができたかと思います。今回も、一部の例外を除いて基本的には同じ流れで覚えていけます。もっとも苦戦しがちなのは、51~59です。それでも、不規則なのはここだけですので、頑張って乗り越えましょう。50の発音は覚えておられますか?「पचास(pacha-s)」でしたね。それでは、51から始めましょう!
51から60まで
一覧表
51 | ५१ | एकाउन्न (ekaunna) |
52 | ५२ | बाउन्न(ba-unna) |
53 | ५३ | त्रिपन्न (tripanna) |
54 | ५४ | चवन्न (chawanna),चउन्न(chaunna) |
55 | ५५ | पचपन्न (pachpanna) |
56 | ५६ | छपन्न (chhapanna) |
57 | ५७ | सन्ताउन्न (santa-unna) |
58 | ५८ | अन्ठाउन्न (antha-unna) |
59 | ५९ | उनन्साठी(unnsa-thi-), उनसाठी (unsa-thi-) |
60 | ६० | साठी (sa-thi-) |
解説
ここで根をあげないようにしましょう。
49までの時と同じように、まず一の位を発音し、その後50を表す「पचास」がそのまま「एकपचास」や「बापाचास」といったようにくっついてくれれば助かるのですが、そうはいきません。どういうわけか、変化します。
それでも、「पन्न」まではまだ許せますよね。「पचास」と同じ「प」で始まっていますから。しかし、どういうわけか「उन्न」に変化します。これは…。
しかも、57と58にいたっては、一の位までもが発音が変化しています。
ネパール語学習者のほとんど誰もが文句を言いたくなるところです。気持ちはよく分かりますが、でも、文句を言っていてもネパール語は身に付きませんので、頑張って覚えましょう。
60/६०(साठी)の発音にも注意
60/६०(साठी)の発音にも注意する必要があります。元々日本語に「ठ」の音が存在しないため、日本語を母語とするネパール語学習者は「साठी」を「साथी」と区別せずに発音してしまうきらいがあります。後者は「友人、共にいる人」などを意味する頻出単語です。舌の位置によく注意して発音しましょう。カタカナで表記すると、どちらも「サーティ」となってしまい、区別がつきません。ローマ字でも厳しいです。この単語は、できるだけ早くデヴァナガリ文字に慣れた方がいいことを示す、一例です。(発音について詳しくは、こちらのページで説明していますので、併せてご覧ください。)
また、リスニングでも注意が必要です。ネパール人はこちらが外国人であることを考慮して英語で話してくれることがよくあります。多くの日本人にとって「サーティ」とは英語の「Thirty(30)」です。それで、買い物の時などに「साठी रुपियाँ※1」を「30 ルピー」だと思い込んだり、逆に「30 rupees」を「साठी रुपियाँ」だと思ってしまうことがあります。
一つ役立つのは、多くのネパール人が発音する英語はインドで話されている英語の発音の影響を色濃く受けていますので、その発音を敢えてカタカナで書くならば、「Thirty」は「サーティ」ではなく「タルティ※2」に近いです。それで、もし数字の関係する場面で「サーティ」と言われたなら、それは恐らく「६०」です。逆にネパール人に英語で「30」と伝えたいときは、「タルティ」と言いましょう。
恐らく、この誤解を一度もすることなく過ごしていく、というのは期待しない方がよいでしょう。それでも、上記のことを意識していれば、誤解が発生する回数を減らすことができるでしょう。
※1発音:Rupiyan ネパールの通貨、ルピーのこと。英語表記はRupee/Rupees
※2「タ」も「テ」も有気音
61から70まで
一覧表
61 | ६१ | एकसट्ठी (eksatthi-),एकसाठी (eksa-thi-) |
62 | ६२ | बयसट्ठी (bayasatthi-) |
63 | ६३ | त्रिसट्ठी (trisatthi-) |
64 | ६४ | चौसट्ठी (chausatthi-) |
65 | ६५ | पैँसट्ठी (painsatthi-) |
66 | ६६ | छयसट्ठी (chhayasatthi-) |
67 | ६७ | सतसट्ठी (satsatthi-) |
68 | ६८ | अठसट्ठी (athsatthi-) |
69 | ६९ | उनन्सत्तरी (unansattari-) |
70 | ७० | सत्तरी (sattari-) |
解説
51から60に比べると、とても簡単に思えたのではないでしょうか?「साठी」が「सट्ठी」に姿を変えていますが、それほど大きな変化ではありませんね。61のみ「सा」の部分で長母音が用いられることがありますが、基本的にはすべて「सट्ठी」で統一されています。これまでもそうでしたが、67と68で、7部分の発音が「सात」から「सत」に、8部分の発音が「आठ」から「अठ」に変化している点には注意しておいた方がよいでしょう。61から70までの発音には、「ा」の音が存在しません。
71から80まで
一覧表
理由は後述しますが、一部カタカナ表記を加えています。
71 | ७१ | एकहत्तर (ekhattar) |
72 | ७२ | बहत्तर (bahattar) |
73 | ७३ | त्रिहत्तर (trihattar) |
74 | ७४ | चौहत्तर (chauhattar) |
75 | ७५ | पचहत्तर (pachhattar / パチャッタル) |
76 | ७६ | छयहत्तर (chhayahattar / チャヤッタル) |
77 | ७७ | सतहत्तर (sathattar / サタッタル) |
78 | ७८ | अठहत्तर (athhattar / アタッタル) |
79 | ७९ | उनासी (una-si-) |
80 | ८० | असी (asi-) |
解説
ご覧のとおり、सत्तरी (sattari-)が हत्तर(hattar) に変わっています。覚えるための語呂合わせ(くだらないダジャレ?)も思いついていますが、さっぱりなハッタリだとの批判をかわすため、やめておきたいと思います。。
この段の幾つかの数字の発音に関しては、珍しくローマ字のアルファベット表記よりもカタカナ表記の方が誤解が少ないかな、と思います。それぞれ解説していきますね。
75/७५ (पचहत्तर)
たとえば、75 (पचहत्तर) ですが、これの組成は以下のようになっています。
पच(५) + हत्तर(७०)
読み方をローマ字アルファベットで表記すると、以下のようになります。
pach + hattar
したがって、発音はパチャッタルです。ローマ字表記をそのままつなげるとpachhattarとなり、「チャ」の音が有気音「छ」のように見えてしまいますが、そうではありません。とはいえ、二つをはっきり区別して「パツハッタル」のように発音されるわけでもありませんので、注意しましょう。音としては「パチャッタル」が近いです。
76/७६ (छयहत्तर)
同じように、76に関しても「チャヤハッタル」のように明確な発音は聞こえません。ほとんどの場合、「チャヤッタル」に近い発音です。それでも、カタカナには現れない「h」発音が実際にはついていることは意識しておきましょう。
77/७७ (सतहत्तर)
これも同じく「サタッタル」に近いですが、「त」を有気音「थ」に変えてしまうことなく、それでも続けて来る「h」発音をお忘れなく。
77/७८ (अठहत्तर)
ローマ字表記を見るとhが二つ繋がっていますが、もともと有気音である「ठ」をさらに強く息が出るように発音する、という意味ではありません。「ठ」で出た息に「attar」を載せるくらいの気持ちで発音しましょう。
79/७९ (उनासी)
79について一言だけ加えておきたいと思います。長母音の「ा」がついていますが、80では短母音「अ」です。

81から90まで
一覧表
81 | ८१ | एकासी (eka-si-) |
82 | ८२ | बयासी (baya-si-) |
83 | ८३ | त्रियासी (triya-si-) |
84 | ८४ | चौरासी (chaura-si-) |
85 | ८५ | पचासी (pacha-si-) |
86 | ८६ | छयासी (chhaya-si-) |
87 | ८७ | सतासी (sata-si-) |
88 | ८८ | अठासी (atha-si-) |
89 | ८९ | उनान्नब्बे (una-nnabbe) |
90 | ९० | नब्बे (nabbe) |
解説
「80/८०」の発音は「असी」でしたが、80の段のそれ以外の数字では長母音「ा」が用いられます。そして、82/८२ (बयासी), 84/८४ (चौरासी) 及び86/८६(छयासी)は、素直に 「बआसी」, 「चौआसी」, 「छआसी」となってはくれません。
ネパール語は、単語の先頭以外に子音を伴わない母音が来ることを嫌います。今後のためにもここで覚えておかれるとよいでしょう。
91から100まで
一覧表
91 | ९१ | एकान्नब्बे (eka-nnabbe) |
92 | ९२ | बयानब्बे (bya-nbbe) |
93 | ९३ | त्रियानब्बे (triya-nabbe) |
94 | ९४ | चौरानब्बे (chaura-nabbe) |
95 | ९५ | पन्चान्नब्बे (pancha-nnabbe) |
96 | ९६ | छयानब्बे (chhaya-nabbe) |
97 | ९७ | सन्तानब्बे (santa-nabbe) |
98 | ९८ | अन्ठान्नब्बे (antha-nnabbe) |
99 | ९९ | उनान्सय (una-nsaya) |
100 | १०० | सय (saya) |
解説
数字の読み方は表のとおりです。気になるのは、「90」部分が「नब्बे(nabbe/ナッベ)」なのか「न्नब्बे (nnabbe/ンナッベ)」なのか、ということではないでしょうか。混在していますが、リスニングにおいてはあまり意識する必要はないでしょう。
「子音字の読み方」を解説したページにて「न」の発音をマスターした方ならお気づきかと思いますが、この文字を読むとき、舌先が上あご前歯の歯茎あたりに一度当たります。長母音の「ा」に続いてこの文字を発音すると、日本人の耳にはどうして「ンナ」と聞こえがちです。
発音する時には、「न्नब्बे (nnabbe)」の時は、「nna」の最初の「n」で気持ち溜めをつくってから「na」を発音しましょう。
ちなみに、「92」の「बयानब्बे」ですが、「बयान」という単語は別に存在します。「陳述」という意味です。それで、間違えて「बयान्नब्बे」と発音した場合、「陳述90」と言っていることになります。「2」に該当する「बया」と「90」に該当する「नब्बे」の組み合わせだ、ということを意識しておきましょう。
同様に、「97」の「सन्तानब्बे」ですが、「सन्तान」という単語は別に存在します。「子孫」という意味です。それで、間違えて「सन्तान्नब्बे」と発音した場合、「子孫90」と言っていることになります。「7」に該当する「सन्ता」と「90」に該当する「नब्बे」の組み合わせだ、ということを意識しておきましょう。
「100/१०० (सय)の」発音
「सय(saya)」の読み方は、「サヤ」ではありません。以前の解説にあるとおり、「य」の音は「ヤ」と言うより、「イェ」に近いです。(子音の発音に関して詳しくはこちらをご覧ください。)そして早く発音されると、「サイェ」というよりもむしろ「セエ」と聞こえるほどです。また、インド国境地域等を一部の地域ではヒンディー語の影響を受けて「sau/ソウ」と発音する人たちもいますので、頭の片隅に置いておかれると良いでしょう。
まとめ
それでは、ネパール語の数字の読み方、まとめです。
- 1桁の数字の読み方を暗記しよう。
- 2桁の数字は、一の位を読んだ後に十の位を読みます。
- 1桁の時の数字の読み方の音がある程度、2桁の数字の一の位にも引き継がれます。
- 一定の規則・リズムがあるので、慣れてしまいましょう。
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