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【インドコラム】インドの床屋さんに行ってみた

インドの屋外床屋さんの図

インドの床屋さんに行ってみた

海外長期滞在にあたっていつも挑戦と感じるのは“髪の毛を切る”時です。コミュニケーションも上手くいかず、思い通りの髪型にならなかった経験のある人は多いでしょう。私自身「この髪型思っていたのと違う…」「こんな短髪はいつ以来だろう…」といった経験は何度もありますが、基本的に清潔な髪型なら問題ないため一時的な後悔で次の日には忘れてしまいます。でも女性はそうはいきません。帰国した際に行きつけの美容室に行くことに決めている、海外でもし髪を切るなら鏡を見て自分で切るという人も少なくないようです。

普段から身だしなみを整えることはどの国や地域、人種や民族にも共通する意識です。世界有数のフサフサした髪の毛(毛量の多い)を持つインドの人たちもそれは変わりません。初めてインドを訪れた時から彼らが容姿や見た目、服装を良くしようという心がけを感じていました。インドにおける身だしなみのあり方について、またヘアサロンや床屋さんの特徴から、彼らの美的意識について考えてみたいと思います。

(※編集部注記:新型コロナ感染拡大を受け、筆者はこの記事をインド国外で執筆しました。この記事はインド滞在中に見聞きしたことを基に、出国後に書かれたものです。)

幼児期は男の子も女の子も丸坊主!?

夏場の暑い時期になると2〜5歳くらいの男の子や女の子が丸坊主になっているのをよく見かけます。女の子は、スカートを穿いているけど頭はクリクリの丸坊主といった姿です。親御さんの心情としては「インドの猛暑を乗り切るために少しでも涼しくしてあげたい、小さい時に何度か丸刈りにすることによって髪質が濃く強くなってほしい」といったものでしょう。小学校に入ると状況は変わります。制服を着て行くことはもちろんですが、私の住んでいた地域の小学校では男子は短髪、女子は2種類の髪型①おさげ又はおさげをアップにしリボンで止める②ショートヘアにしなければなりません。毎朝髪を結い“おさげ”をセットするのは結構大変な日課です。そうした校則の影響もあるためインドでオシャレを始めるのは高校生、大学生になってからといったイメージです。

大人になると長髪に!ごくごく稀なショートヘア!

インドの女性のイメージは艶やかな長い黒髪ですね。確かに私が今まで出会ってきたインドの成人女性のほとんどの人が黒髪のロングヘアで、全体の9割以上であることは間違いありません。以前友人の奥さんがショートヘアにした時とても驚きました。サリーを着ているのにショートヘア⁉︎ 似合っていますがとても新鮮でしたし、他のインド人もちょっと驚いていました。でもインドの猛暑やロングヘアをケアするためにかかる労力などの合理面を考えると、もっと色々なヘアスタイルの選択肢があるのが自然かと思います。ロングヘアが単に好まれているのか、慣習的なものなのか正確な理由はわかりません。長さは日本のロングヘアの比ではなく腰下くらいまでの“スーパーロングヘア”から肩までのミディアムまでさまざまです。一般的に週に数回しか洗髪せず、シャンプーだけでリンス・コンディショナーは使いません。その代わりに日常的にヘアオイルを使用して髪の毛をケアしていきます。

ヘアサロンと眉毛サロン

ロングヘアの女性はあまりヘアサロンに行くイメージはありませんが、どんな時にヘアサロンに行くのでしょうか?日常的にもいきますが、結婚式などのイベント前にはヘアサロンへ行きパーマやヘアセットをしてドレスアップをします。結婚式では女性陣が髪に花を飾ったり編み込んだりするのをよく見かけます。これは南インドではPoola jadaと呼ばれています。加えて忘れていけないのは眉毛のお手入れ、インドにはたくさん眉毛サロンがあります。インド式の眉毛脱毛方法と言ったら糸を使用したthreading(スレッディング)と呼ばれているものです。2本の糸を捻り眉毛を絡めて抜いていき、インド特有の太くてキリッとした眉にしていきます。

床屋さんの散髪代はピンからキリまで、格安ヘアカット!

日本の床屋さんもワンコインから数千円まで価格帯は様々ですが、インドはその比ではありません。20ルピーから200ルピー以上(約28円〜280円以上)まで様々です。20ルピー以下の値段の床屋になると、屋内ではなく屋外になり道端や木の下に椅子と鏡が置いてあるだけになります。私が行っていた床屋さんは50ルピー(約70円)でしたが、一応屋内で営業していましたしある程度の英語は通じました。日本の床屋さんの散髪の手順と何ら大きな変わりはありませんが、インドの一つ特殊な点は襟足をカミソリで剃られ、後ろから見た襟足が線を引いたようにとても不自然な形になります。後ろ姿はまるで出来の悪いカツラを被ったような感じです…カット後の洗髪はありませんが、オプションで肩や頭のマッサージをしてくれます。初めてインドの床屋さんに行くなら一回200ルピー程度のお店がおすすめ、ストレス無く英語を話してくれますし、清潔で技術もしっかりしている印象があります。最悪コミュニケーションが取れなくても写真を見せれば同じ髪型にしてくれます。もしせっかくのインドで冒険をしたいなら路上の床屋さんに行ってみるのもありでしょう!

ボサボサ髭はダメ!

インドの床屋さんでは髪の毛に加えてヒゲの手入れもしてくれます。ボリューム感のある立派なあご髭、マスタッシュ(口髭)、無精髭風など種類は様々。インドに限らず中東系の男性はヒゲを生やしている印象がありますよね。ヒゲの手入れも大切な日課、手入れをされていないボサボサ髭はNGです。場所によって地域差はあるものの年配の方のヒゲ率は高く、若い人はあまり好みません。私の周りに限っては半数がヒゲなしで、人によってはヒゲが嫌い似合わないと思っていそうです。インド男性=ヒゲとは一概に言えません。

まとめ

一般的に人は1ヶ月に1cm髪が伸びると言われています。毛の量が多ければそれだけケアの必要も増していきます。冒頭でも話しましたがインドの人々はいつも身だしなみ(ヒゲ、眉毛、髪の毛)が整っている印象があります。確かに「身だしなみ」を意識していなければそれを維持することはできません。でもインドではヘアサロンや床屋の値段が安くて時間を空けずにストレス無く通えるのが大きな要因だといえます。

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