
みなさんは家電製品に何かしらのこだわりをお持ちでしょうか?おしゃれ家電、デザイン家電、レトロ家電など機能性以外にもこだわりを持って家電製品を選ぶ人たちが増えてきているようです。そうしたニーズに合わせて企業も最新家電をシーズンごとに提供していきます。家電は家事労力の軽減を目的としているので、世界各地にユニークなご当地家電が存在します。韓国のキムチ専用の冷蔵庫、中国の火鍋ホットプレートなどその地域の習慣文化に合わせて開発改良されたものです。インドでも家電製品の普及率は年々上昇しています。電気の供給問題や生活水準の違いで都市部と農村部にはやはり普及率に差はありますが、人気家電はどちらもだいたい同じです。
人気家電製品
1. テレビ
2. ラジオ
3. 扇風機(シーリングファン)
4. 冷蔵庫
5. 洗濯機
(出典:JETROインド調査レポートhttps://www.jetro.go.jp/ext_images/theme/bop/precedents/pdf/lifestyle_home-electronics_in_newdelhi.pdf)
近年家電業界はインドの文化や需要に合わせて機能性を向上しています。今回はインドの家電製品からインドのリアルライフをみなさんに紹介していきたいと思います。
(※編集部注記:新型コロナ感染拡大を受け、筆者はこの記事をインド国外で執筆しました。この記事はインド滞在中に見聞きしたことを基に、出国後に書かれたものです。)
クリケット観戦に特化したテレビ
日本でもスポーツの祭典W杯やオリンピックの開催が近くなると家電業界は新しいテレビへの買い換えを宣伝促進しますが、インドではそれはクリケットにあたります。インドの一番人気のスポーツといえばクリケット!それに合わせてクリケット観戦用テレビが販売されています。(インドクリケット事情については「インドの国民的スポーツ クリケット」のコラムをご覧ください)
2013年には東芝からテレビ「クリケット・シリーズ」3種類が発売されています。“同社によると、クリケット・シリーズはボールの輪郭を際立たせ、背景の芝とのコントラストを鮮明に映し出すほか、選手の敏速な動きや競技場全体の広角ショットなどに対応した機能「クリケットモード」が特長。” (出典:アジア経済ニュース https://www.nna.jp/news/show/193327?id=193327)
他にもクリケットの試合速報が随時更新され表示されるテレビなど、クリケットの情報提供に特化したテレビが出てきています。
シーリングファンはおしゃれなだけじゃない!?
日本では吹き抜けや高い天井のある一戸建て住宅など限られた所にしか見られないシーリングファン(天井扇)ですが、インドでは各家、各部屋ごとに必ずと言っていいほどあります。日本ではおしゃれなインテリアとして楽しむ、実用的な機能として部屋の空気循環を助ける目的があります。インドでのシーリングファンにはそれらに加えて、高くて買えないエアコンの代わりとなる大きな扇風機として多くの家庭で使われています。風速レベルは1〜5まであり5になるとかなりの強風ですが猛暑の夏場はこれがないと暑くて眠れません。それにこの強風のため蚊が近づいてくることは出来ないので蚊に刺される心配もありません。インドではモンスーンから夏にかけて多く発生する蚊に刺されるとデング熱にかかる危険性があるため、シーリングファンはインドの家庭には必需品です。都市部と農村部両方に使用率が高い家電製品であることも納得がいきます。
鍵付き冷蔵庫
クローゼットに鍵が付いていつのはまだわかりますが、インドでは冷蔵庫にも鍵がついています。初めは子どもがイタズラしないようにチャイルドロックの役割かと考えましたが、現地の人はそうは思っていないようです。来客時に冷蔵庫の中のものを取られないようにロックするという人もいれば、不在時にハウスキーパーが掃除にくる時は冷蔵庫をロックする(インドではほとんどの家でハウスキーパーを雇っています)、個人商店や食堂でお客さんに物を取られないよう鍵をかけるなどと人によって様々ですが、盗難防止の目的のため皆さん鍵をかけるようです。私は引っ越しの際冷蔵庫の扉が開くと面倒なため、鍵を閉めたことがありますが、それ以外に鍵を使用した事はありませんでした。
カレー汚れを洗う洗濯機
都市部のインドの家庭でも普及してきている洗濯機ですが日本にはない機能が存在します。カレー汚れを洗う機能です。すべてのインドの洗濯機にあるわけではありませんが、頑固なカレー汚れを落とすのは本当に一苦労!お母さんの家事の軽減に大きく貢献する家電製品だと思います。パナソニックのインド洗濯機は50℃のお湯と高速回転洗浄を駆使してカレー汚れを落とすようです。同製品にはヘアオイル洗浄機能もあり、日頃インド女性が髪につけるオイルの服に付いた汚れを取る機能もあります。詳細はパナソニックの公式サイトをご覧ください。写真付きで説明されています。(https://www.panasonic.com/in/consumer/home-appliances/washing-machines/washing-machines-learn/article/stainmaster.html)
他にもサリーを洗う機能を持つ洗濯機があります。サリーはインド女性が着る伝統的な服装ですが大きな一枚布(6メートル近く)でできています。その布の長さから洗濯機で洗濯すると洗濯槽の中で絡まり洗濯機自体が止まってしまい故障の原因になってきました。布の表面には刺繍が施されていたり、ビーズによる装飾も多く、基本的に手洗いによるデリケートな洗濯技術が必要でした。それを洗濯機がしてくれるのなら主婦は誰でも大歓迎!冒頭のJETROのサイト内データからもわかりますが、(水や電気を安定的に入手するのが難しい)農村部ではほとんど洗濯機は使用されていません。洗濯機は富裕層には普及しても中流階級以下には普及していかないと考えています。
まとめ
インドのこうした最新家電製品は富裕層向けのために開発改良されたため一般家庭ではなかなか買えません。それでも最新家電製品の開発過程からインドのリアルライフを感じることができました。個人的にはいつか日本の洗濯機にもカレー汚れモードが機能に追加されたら嬉しいと思うのでした。
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