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【インドコラム】インドパンの世界は広い

インドの家庭でナンは食べられていない!?

インドカレーの主食といったら“ナン”という方は多いでしょう。実際日本のインド料理レストランにはどこにでもナンはありますよね。私自身ナンは大好きでよく注文します。バターナン、ガーリックバターナンは香ばしさや風味も絶妙、それ自体でも十分に美味しくいただけます。でもインドの家庭料理にナンは出てきません。なぜなら家庭にナンを作るためのタンドゥール窯を持つ人は基本的にいないからです。そのため小麦粉を発酵させた生地を延ばし、窯の内側に貼り付けて焼いたパン(ナン)は日常的に家庭では食べられてはいません。もちろん外食すればどこのレストランでもナンに限らず色んなインドパンを食べることができます。今回はそんなバラエティに富んだインドパンについて紹介していきます。

種類がたくさん

インドでの生活を始めて驚いたことの一つがインドパンの種類の豊富さです。もちろんフランスパンや食パンやロールパンに近いものもありますが、インドといったら生地を薄くのばして焼くか油で揚げるパンが一般的でしょう。インドパンは大きく分けるとアタ(全粒粉)から作られるパンと、マイダ(白い精製小麦粉)から生地を作り発酵させ作られるパンに分けられます。他にもドサ(クレープ)やイドゥリ(蒸しパン)といったものがあります。

チャパティ お母さんの味

全粒粉を使って作られるパンの代表的なものはチャパティです。粉と水で生地を作り、好みでギーや塩などを加えますが、とてもシンプルなもので毎日家庭で食べられています。生地を薄く円形にのばしてその上に油を少量塗り、折り畳んで再度円形にのばします。それをチャパティ・タワ(チャパティ専用フライパン)で焼いてから直接火で焼くと生地がプックリと膨らみます。時間が経つと直ぐ萎んでしまいますが、美味しさは変わりません。香ばしい小麦粉の香りとソフトな食感の生地は甘さすら感じられインド料理にとてもよく合います。チャパティ作りはインドの奥さん達にとっては大切な日課と言えるでしょう。お弁当にもチャパティを四つ折りにして入れます。お弁当箱はステンレス円筒形の2段又は3段が主流で、一段目にチャパティ、他の段にカレーやおかずが入っています。

雑談ですがインド人は冷めた食事を好まないため奥さんがお弁当を仕事場に届けたり、ダッバーワーラーと呼ばれる弁当配達を仕事にしている人たちが、それぞれの家庭に行き弁当を回収して夫の勤務先に届けます。その他の理由としてインド特有のカースト制の影響が大きく、自分より下位のカースト出身者の作った食事を食べないという問題もあるようです。私のインド人友達の家庭ではお嫁さんとお姑さんのカーストが異なるため、お姑さんがお嫁さんの食事を一切食べないのを目にしました。逆にお姑さんが作った食事はお嫁さんは食べられます。日本でこれをしたら家庭はギクシャクしてしまいそうですが、不思議なことにインドではそれが普通とされ特に気にかけないようです。

プーリー かわいらしい円盤

チャパティ生地を薄く円形にしたものを油で揚げてできるのがプーリーです。プーリーは“油で揚げる”ことを意味していて、揚げたてはぷっくりした円盤形で小さいものから大きいものまで様々。油を使っているので食べ過ぎには要注意、でも揚げパンが好きな方はきっと好みなはず!サクッとした食感や風味もチャパティとは異なる美味しさです。先日友達のお母さんが作ってくれたプーリーは格別に美味しく、小ぶりのプーリーでしたが揚げたてを食べさせてもらいました。食べ終わると次の揚げたてのプーリーがお皿に置かれ、まるでプーリーのわんこそば状態。案の定食べすぎて、胃がもたれてしまいました。

ナン ちょっと豪華にいきたい時は

日本のインド料理屋さんカレー屋さんで見るナンはどんな形をしていますか?細長い三角形?又は涙形?インドではそうした日本でよく目にする形のナンはなく。平たい楕円形かシンプルな円形がオーソドックスです。中国のウイグルのナンも円形で硬く日持ちのするタイプのパンです。日本のナンの形はかなり特有のもので、人によって諸説ありますが起源を特定するのは難しいようです。

すでに冒頭で話したように日常的にインド人はナンを食べることはありません。ちょっと家族や友達と出かけるなど、特別な食事の際に高級レストランで食べる程度です。実際インドの友達と食事をした時にレストランでバターガーリックナンを注文したところ、そのうちの1人は初めて食べたと言っていました。インド人がナンを食べたことない⁉︎この事実を理解するにはしばらく時間がかかりました。ちょっと高めのナンは庶民からすると嗜好品的な感覚で、日常的に食べているチャパティには日本人がご飯に対する愛着的感覚があるのかもしれません。

バトゥーレー インパクト大!

プーリーと同じく揚げパンではあるが、精白した小麦粉から作られ発酵した生地を使う点が異なる。人気のチョーレー・バトゥーレーはひよこ豆カレーと一緒にいただきます。レストランで注文して持ってこられる皿の上のバトゥーレーは大きく膨らみ風船のようで顔よりも大きくインパクト大です!友達がインドに遊びに来た時はいつもこれを食べに行きます。みんな今まで見たことがないのでビックリ、インドのいい思い出になります。

番外編ドサ、まとめ

路上の屋台もよく見かけるインド式のクレープ。米とウラド豆から生地を作り発酵させたものを鉄板で大きなクレープに焼きます。私はインドに来て1ヶ月くらいするとインド料理にだんだん飽きてきました。そんな時初めて食べたマサラ・ドサは格別でした!クレープの中のマッシュポテトは少しも辛くなく、サクサクした生地がとても軽く少し酸味が効いていていくらでも食べられそう!その日から毎週日曜日の朝は行きつけのドサショップに夫婦で通い始めることになるのでした。

今回紹介しきれなかったインドパンもまだまだあります。北インド南インドなど地域によっても違いがあり奥が深い世界だと感じています。最後にインド人の友達の話をもう一つ、インド人はパンも食べますがお米も普通に食べます。でも彼はチャパティをとても愛していてお米はあまり食べません。ある日彼は交通事故に遭いあごを何針も縫うことに、口の近くはパンパンに腫れ上がり食事をするのも大変。チャパティを食べるのは困難でしたので米食にしようとしました。でも彼は「チャパティじゃないとダメだ」と涙目で訴えます。困っていると女の子がチャパティを細かくちぎり小さな破片状にし始めました。チャパティの面影もない破片の山に彼はダルをかけて食べ始めました。チャパティ イズ ライフ彼にぴったりの言葉です。彼にとってチャパティはただの食事を超えた欠かせない必需品なんだと確信しました。前述のとおりナンはインドでは嗜好品、チャパティは必需品そんな印象が残る出来事でした。

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