
世界ではもはや当たり前 インド英語も立派な英語です
一言で「英語」といってもアメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語など様々で、今や世界の英語人口は約15億人と言われています。アメリカの次に英語を話す人口が多い国はなんとインドなのです!インドの共通語はヒンディー語と英語、地域によっては英語の方がヒンディー語より使われている場所もあるくらいです。「インド英語」とは日本ではあまり聴き馴染みがありませんが、英語圏ではイギリス英語、アメリカ英語などと同じくよく使うワードです。なぜなら世界中にインド系移民は存在しており、国連の調べでは2017年海外に移住しているインド人は1700万人以上、世界最多の移住者で今も増加し続けています。( インドの移民情報についてはこの記事[外部サイト]を参照 )
そのため世界的にいえばビジネスシーンや日常生活でインド英語に接する機会は多くあります。あなたも日本でインドから出稼ぎにこられている方にお会いしたことがあるかもしれません。
(※編集部注記:新型コロナ感染拡大を受け、筆者はこの記事をインド国外で執筆しました。この記事はインド滞在中に見聞きしたことを基に、出国後に書かれたものです。)
インド英語の始まり
日本では戦後アメリカの影響によりアメリカ英語が日本全国の学校で教えられてきました。インドでは18世紀イギリスのインド植民地統治が始まり、英語自体がインドに広く普及していきインド英語が始まりました。そのためインド英語にはイギリス英語の表現の仕方や単語などがいまだに残っています。英語は1963年から公式にインド政府の公用語にも採用されています。学校によっては国語(ヒンディー語又は地元の言語)以外の授業は全部英語で行われるところも多くあります。
インド人は日本人と同じくネイティブスピーカーではない⁉︎
インド国内のインド人はネイティブスピーカー(英語を母国語として話す人)ではないので、英語は第二外国語として勉強します。タミル語、マラーティー語、カンナダ語などインド各地の地域によって母国語は様々ですが、帰国子女や特殊なコミュニティなどの環境にない限りネイティブスピーカーではありません。例えばアメリカで生まれ育ったインド系二世の子供達はインド英語ではなくアメリカ英語を話すネイティブスピーカーといえます。
余談ですが日本で外来語がカタカナで表記されるように、同じくヒンディー語の発音をそのまま英語に置き換える単語はたくさんあります。
例えば
पिज़्ज़ा (pizza) ピザ
आइस क्रीम (Aaisa kreem) アイスクリーム
बाथरूम(baatharoom) バスルーム/浴室
日本のカタカナ英語がネイティブに通じにくいように、ヒンディー語を英語に置き換えているため、ネイティブからするとそうした英語はわかりにくく感じる場合もあります。でも民衆が英語に慣れていくために看板や標識がそうした表記になっているのは意味があると思います。
ヒンディー訛り(なまり)の英語って?
インドの公用語はヒンディー語と英語ですが、やはりヒンディー語は英語に大きく影響しておりヒンディー訛りの英語はヒングリッシュとも呼ばれています。
例えば
– ヒンディー語のवは英語のvとwにあたりますが文字ではこの1文字だけです。そのため時にvとwの英語の発音が混同していることに気づきます。英語のweウィー(私たち)がveヴィーと聞こえたりします。
– 英語のThの音がDになり、ThereはDerに聞こえたりします。
– 前後の話の繋がりに関係なくIsn’t it? No? Are you?correct?などの付加疑問文を多用する傾向もあります。
多くのインド人の傾向として話す速度は速く、矢継ぎ早しに話していきます。加えてインド英語はヒンディー語のイントネーションの影響が強く、アメリカ英語やイギリス英語に比べると抑揚が弱く一般的に日本人は慣れるまで時間がかかります。
インド英語とアメリカ英語の違いって?
他にもインド人の友人とのメールのやりとりをしていて気付いた表現の仕方は「Thanks a lot」、「 Most welcome 」、意味はそれぞれ「とてもありがとう!」、「どういたしまして!」と気づきますが、アメリカ英語からすると「Thanks a lot」は“ありがとう”の裏にあなたの助けは足りなかったことを暗示するような嫌味じみた表現とされています。アメリカ英語では「Thank you very much 」私たちにも馴染みのあるこの形が一般的です。「 Most welcome 」もアメリカ英語にはなく「Your welcome 」の形になります。
ではインド英語は間違った英語なのでしょうか?そうではありません。
以前こんな経験をしました。私の妻は流暢なアメリカ英語を話します。彼女は時々近所の女の子に英語を教えてあげていました。その時の妻の口癖は「学校の先生の英語は間違っている」「教科書の表現の仕方がおかしい」でした。後になって私たちは気づくのですが、英語のこうした異なる表現の仕方は間違いではないのです。インドではそれが正解、正しいのです。赤いバラも黄色いバラも白いバラも、バラは「バラ」なのです。特徴や色合いが異なっても根本的なバラであることには変わりません。英語も国によって特徴が異なり、時に違う言語にすら感じます。でも根本的に「英語」である事は変わりません。「間違い」と断定するのではなく英語の多様性に気付く良い機会になりました。
英語が苦手なあなたに…
「IT産業」はカースト制による職業分類の適用外なため低カーストの人たちも修業可能になります。ビジネスで成功したい、貧困層からの脱却、職業スキルを生かし将来は海外で働きたい、そうした目標のために必須になる英語を習得し向上させていく傾向が強いようです。日本にいると「英語が話せるようになったらいいな」という感覚ですが、インドでは「英語が話せないなら選択の余地はない、英語は生きるためのスキル」という印象です。
そんな彼らのインド英語から私自身が学んだ点は「自分の意思や考えを伝えることの大切さ」です。発音がどんなにきれいで、文法がいくら正しくても相手に伝わらなくては意味がありません。インド人にとって英語は第二第三言語ですが、コミュニケーションツールにしか過ぎません。時に彼らは過剰ともとれる自信を持って言い間違えを恐れずにどんどん主張してきます。あなたも自分の英語に自信を持ってみてはいかがですか?きっと世界が変わるかもしれませんし、英語に対してもっと意欲的に取り組めるかもしれません。
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