
インドの人々の帰省は何日間?近所のインド家族の帰省を観察してみた
2022年新型コロナの感染拡大から初めての行動制限のない3年ぶりの「夏休み、お盆休み」となりました。この機会に久しぶりに実家に帰省して家族や親族との時間を過ごした方も多かったかもしれません。またこの時期を逃したら次いつ帰省できるかわからないと感じて帰えられた方も大勢いらっしゃったようです。インドでも同じく国内外から夏休みを利用して帰省される方はたくさんいらっしゃいます。
「帰省」という言葉から受けるインスピレーション
「帰省」は英語でいうと “go back to my hometown” 「故郷に帰る」と訳されそれ以上の意味は含みません。漢字の「帰省」の「省」はかえりみるなので、帰って親や家族をかえりみる、帰って自分や自分の妻子をかえりみることが含まれるのかもしれません。普段できない親の生活や仕事を手伝ったり、子どもと故郷の思い出の場所に行って過去の事柄を考えてみたりすることなども「帰省」の大切な過程ですね。
インド国内なら「ちょくちょく短期帰省」
親、家族は故郷の田舎に住んでいて本人は仕事のために近隣の大都市に出てきているケースが大多数を占めます。彼らの帰省とはどんなものでしょうか。例えば独身男性で故郷まで車で2、3時間の距離の場合、だいたい毎月1回は帰省しています。結婚し子どもがいても一、二ヶ月に一度は家族みんなで帰省しています。インド国内の帰省は頻度が多くて数日程度の滞在、つまり「ちょくちょく短期帰省」になります。
日本に比べると帰省するスパンが短いのは確かです。新卒の社会人で月曜から金曜まで仕事のために違う都市に住んでいたとしても毎週末親元に帰省している人を男女を問わずよく見かけます。インドの場合帰省しない方が家族から問題視されるパターンもあります。
日本の場合はあまりにも頻繁に帰省するのは社会人として自立していないようにみられる傾向がありますし、社会人になってから自分の仕事や家庭を持ち「故郷離れ」が加速していくようです。あるニュースサイトの調査によると、そもそも「帰省しない」が6割越えとの調査結果が出ています。「帰省する」人の中で一番多かったのは「年に一回」だけのようです(出典:@nifty ニュース https://chosa.nifty.com/life/chosa_report_A20150522/3/)
インド国外からなら「ゆっくり長期帰省」
インド国外に住む印僑(インド系移民と在外インド人)の方達は子どもの夏休み期間、仕事の長期休暇を利用して年に一回インドに帰ってくるパターンが多いようです。そのため一度の滞在期間も数週間から一、二ヶ月強と長期に及びます。彼らは海外の仕事につきインド国内に住む家族を経済的に支えていることが主な目的のためこうした家族に会える機会を大切にしているようです。
2022年はインドでもコロナパンデミック後の規制が緩和された初めての夏休み期間ともなり国外からの帰省や旅行者が大幅に増えました。インドの友人達の国外に住む親類たちは6、7割近くは今年帰省しているまたはこれから帰省予定と聞いています。日本でいうところの「帰省ラッシュ」といえるかもしれません。私自身7、8月に空港を利用する機会がありました。出入国管理の手続には長蛇の列、入国手続きには多くの印僑の方たちで手続き完了までに約1、2時間は並びました。

3年ぶりにフランスからインドに帰省してきた家族の場合
今年の6月に入り近所の70代の夫婦が家のリノベーションを始めました。外壁の塗装工事、内装工事、でも一年で最も暑いこの時期に仮住まいに住んでまで住宅の改装するのかいささか疑問でした。話を聞くと息子さん家族がフランスから7、8月に帰省してくるためその前に改装を済ませるとのことです。費用は息子さんが負担してくれるようですが老夫婦には簡単なことではありません。フランスでは子供も大人も2ヶ月のバカンスは当たり前、加えて久しぶりの帰省ともなれば気合が入るのもしょうがないのかもしれません。
息子さん家族が来てからリノベーションは日を追う毎に加速していき仮設のプールができたり、庭のレイアウトが変わったり、家具が新調されたりと目まぐるしく生活環境が変化していきます。家族のために帰省中の滞在をより快適にしたい、帰国後も残された親がこの家で快適に生活できるだろうと考えているのかも知れません。いずれにせよ短期周遊型の休暇に慣れた私たちには「2ヶ月の帰省」は時間を弄んでしまうかもしれません。
今帰省している彼らはいつか帰郷するのか
ここまでインドの帰省について説明してきましたが、国内であれ国外であれ故郷から離れた彼らはいつか故郷に帰って安住する「帰郷」するのでしょうか?一概に言えないのが現状です。結婚するなら配偶者の故郷も自分の第二の故郷になりますし、移住した地が故郷よりも居心地が良くて「心の故郷」となる場合もあります。予想外の要因によって生まれ育った故郷がなくなることもありますし、故郷から親を呼び寄せて世話や介護をするといった選択肢もあるかもしれません。
先ほどの近所の70代夫婦の旦那さんの故郷は今住んでいるここではなく、南インドの「マドゥライ」という都市です。現在彼の家族は皆亡くなり故郷に帰ることができません。でも彼はいつも口癖のように幼少期に見た田舎の風景について熱く語ってくれます。今は奥さんの故郷のこの地で暮らして半世紀以上、毎年子どもたち孫たちが帰省するのを心待ちにしています。
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