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【インドコラム】インドの伝統的な「お見合い結婚」文化から感じるインドの結婚観とは!?

インドの結婚式
(インドの結婚式の新郎新婦)

インドの伝統的な「お見合い結婚」文化から感じるインドの結婚観とは!?

私は初対面のインドのご夫婦によく聞く質問があります。それは「お二人はお見合い結婚ですか?それとも恋愛結婚ですか?」この質問は彼らの生い立ちや家族について詳しく話を聞きお互いに親しくなれる良い機会となります。日本では恋愛結婚、お見合い結婚、社内結婚など出会い方に違いはあれど、ある程度の恋愛期間を過ごしてから結婚するのが「普通」です。インドでは8割近くの結婚は「アレンジマリッジ(お見合い結婚)」であるといわれています。でも日本のお見合い結婚とは異なる部分や慣習も多く存在します。

アレンジマリッジ(お見合い結婚)の昔と今

一昔前はほとんど全ての夫婦はお見合い結婚でした。親族によって決められた相手と一度か二度会ってから結婚、または「結婚当日に初めて会ってそのまま結婚する」ことも多かったようです。初対面の彼らは結婚してからお互いを知っていき愛を育んでいく必要があります。たいてい当人の親族たちが事前に話し合いをし結婚するかどうか決定されます。インドの家族間の絆はとても強く、自由恋愛といった個人の意志や判断よりも家族の必要や繋がりが優先される傾向が強いようです。現在でも同じ理由からインドの特定の地域によってはアレンジマリッジ以外は認められない場所もありますし、近親婚や一夫多妻といった結婚形態も見られます。

最近ではある程度の交際期間を経て結婚するのが一般的です。まずは当人同士またはその家族が写真とBio(プロフィール、人物紹介)を交換します。Bioには学歴や経歴はもちろんですが年収や身長や体重、家族のカーストについても記入してあります。この書類選考を通過してお互いに興味がある場合には実際に会って交際が始まります。交際と同時に結婚式の準備も始り、平均して二、三ヶ月後には結婚式を執り行います。そうした背景があるのでインドの「お見合いビジネス」は大きな需要を生んでいます。加えてインドの豪華絢爛な結婚式などを含む結婚産業は年間500億ドル以上、日本円で約7兆円(2022年7月現在)にも及びます。この産業にいたってはコロナ禍の影響は受けていないと報道されています。詳細は下記の記事を参照してください。

https://www.businessinsider.in/business/news/indias-50-billion-wedding-industry-is-gearing-up-for-a-busy-winter/articleshow/78163437.cms

なぜアレンジマリッジなのか?

一般的に言われているのは同じ宗教、言語、カーストであると何かと便利、都合がいいとのことです。今は法律上撤廃されたカースト制度の影響は日常生活でそれほど感じる機会はありませんが、とりわけ「結婚」に限っては顕著に影響が残っています。例えば花嫁持参金の金額もカーストごとに異なります。

すでに説明しましたが「家族間の絆」をインドの人々は重視します。シンプルなところ信頼する親が自分のために選んでくれた人ならきっと上手く行くだろう!親の経験や知恵が重大な決定を下す助けになると考えています。アレンジマリッジには盲目の愛、一目惚れといった感情面(恋愛感情)からのアプローチは少ないため、より実際的に相手を自分の結婚相手(共に実生活をする相手)として客観視できるのかもしれません。私たちからすると愛がないのに結婚するのかと考えてしまいますが、インドではそれが「普通」なのです。一概には言えませんがインドは離婚率が特に低い国としても知られています。

自由恋愛からの結婚、世代ごとに柔軟になっていくインドの結婚文化

昔は特に自由恋愛から結婚の道を選ぶ人は親子の縁切り、家族間の絆を絶つ事につながります。友人のお母さんは自由恋愛から結婚されたそうですが、家族には認めてもらえずに絶縁状態で二十から三十年を過ごしたそうです。詳しい話はしたくないと言っていましたが、今から数十年前なら容易にその風当たりの強さは想像できます。

現在は法律上の変化もありましたが、自由恋愛に対して寛容になっていくケースが多いようです。欧米や国外の恋愛ドラマや恋愛映画などのエンターテイメントは少ないからず今の若者の考え方に影響を与えています。IT産業など海外への進出していく中でインド国内でも様々な国際化の流れ、文化の変化が見られます。

まとめ

最近レストランで二人の年配の方と相席になり世間話を楽しむ機会がありました。二人は仲良さそうだったので二人の関係を尋ねると彼らの息子さんと娘さんが結婚して新しい家族になったそうで、こうして時折二人で一緒にランチをする仲なのだそうです。一人の男性は英語が堪能で服装もピシッとアイロンのかかったシャツを着た現役のビジネスマン、もう一人の男性はラフな格好で長年農家として働いていたそうです。さらに話を聞くと二人の子どもさんたちは恋愛結婚でもうすぐ孫が産まれるんだと満面の笑みで話してくれました。

お互いの社会的な地位が違っても、アレンジマリッジではなく自由恋愛を経て結婚したとしても彼らには明確な「家族の絆」があると初めて会う私たちですら感じられました。きっと彼らのお孫さんが生まれて結婚できる年代になった頃にはまた新たな風が吹き込んでいるのかもしれません。それでもきっと変わらない「家族の絆」がそこにもあってほしいものです。

※このコラムは画像を含め社外コラムニストから提供されたものであり、「Webマガジン ニュース・オブ・アジア」編集部および合同会社アジア・パブリック・インフォメーションが内容の正確性・最新性を保証するものではありません。ただし、画像・文章の一部は編集部にて取得、あるいは加工、修正してある場合があります。また、コラム内で表現されている考えは当社の考えを代表しているものではありません。コラムニストの信頼性もしくは誠実さは十分に確認されておりますが、情報の利用は当サイトご利用者様ご自身の責任でお願いいたします。

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