Webマガジン ニュース・オブ・アジア

【インドコラム】インドのデジタル社会化に通じる「アドハー」について

アドハーカードを掲げるインド人のイラスト

インドのデジタル社会化に通じる「アドハー」について

インドで聴覚障害を持つ友人は数ヶ月に一度必ず実家に帰省するため気になって話を聞いてみると、彼はインド政府から給付される障害者手当を受け取りに地元へ戻る必要があると話してくれました。社会福祉サービスがインドでこんなにも整備されていたとは知らなかった私は当時そのことにとても驚きました。友人は国民IDシステム「アドハーナンバー」について教えてくれ、本人が窓口に行きそのカードを提出すれば手当を受け取れると説明してくれました。

インドのデジタル社会の高速化をもたらしているとされる『アドハーナンバー』、そのカードの概要や利用について紹介していきたいと思います。

(※編集部注記:新型コロナ感染拡大を受け、筆者はこの記事をインド国外で執筆しました。この記事はインド滞在中に見聞きしたことを基に、出国後に書かれたものです。)

アドハーって何?

Aadhaar、アドハーはインドにおける国民識別番号制度のことを指します。


「 インドの居住者にランダムな数字で構成する12桁のアドハー番号を性別や年齢に関わりなく付与します。登録には人口統計情報と生体情報の提供が必要になります。

アドハーには両手10本の指の指紋、両眼の虹彩、顔写真による生体情報が登録され不正使用の防止や公共福祉サービスの効率化を目指しています。

アドハーナンバーにはカースト、宗教、収入、健康などの情報は含まれず、プロファイルも作成されていません。カードの所有者に市民権、居住権が与えられるわけではありません。」

UIDAI公式サイトからの抜粋 https://uidai.gov.in/my-aadhaar/about-your-aadhaar.html


2009年から着手し10年ほどで12億人近くが自主的に登録し、インド全人口の9割以上をカバーしています。「アドハー」はヒンディー語で「基礎」や「土台」を意味していますが、その名の通り今ではこのカードは基本的なインド生活のためにはなくてはならないものです。

インド生活から切っても切れないアドハーナンバー

公共福祉サービス、政府関係の各種手続き、銀行口座の開設や取引、携帯電話の契約(Simカードの登録)などアドハーナンバーが必要なサービスは多岐に渡ります。出退勤の本人認証に導入している会社もあります。福祉予算の不正受給や無駄遣いの防止に活用されていますし、携帯電話サービスへの加入も増加しました。近年では新型コロナウイルス感染症のワクチン接種者の確認やワクチン接種証明書もアドハーナンバーを利用します。多くの有識者は、アドハーはインドのデジタル社会の高速化を後押ししていると述べています。

アドハーナンバーを所有していない場合起こり得るハプニング

外国からの観光や商用目的の短期滞在の場合。以前にもお話ししましたが、外国人がインド現地で携帯電話のSimカードを購入しても数ヶ月後に自動的に契約が凍結されてしまいます。それはアドハーカードを契約登録時に提出していないことが原因のようです。他にもインド国内の移動に役立つ「鉄道乗車券オンライン予約」にもアドハーナンバーは必須なため、もしオンライン予約をしたいならアドハーナンバーを持つ誰かに頼むしかありません。

中長期の滞在の場合。銀行口座が開設できないと色々と弊害が出てきてしまいます。家を借りる契約書にもアドハーナンバーは必要になります。調理には必要不可欠なガスもガスタンクの新規購入の際にアドハーナンバーの提出は必須になります。私たちはアドハーナンバーが無かったため国営のガス会社からガスタンクを購入することはできず、個人経営のガス屋さんから倍近くの値段で購入せざるを得ませんでした。

外国人もアドハー取得可能なの?

可能です。本人が条件を満たしているならインド国民でなくても申請登録はできます。ですが申請時に最低でも一年間のインド滞在が182日以上であること、各種証明書などの書類の準備が必要です。インドに進出したい方、インドでの駐在員や長期滞在を計画している方であっても直ぐに取得することはできません。そうした方達がアドハーナンバーより先に申請しているのはPANカードと言われるものです。

インドのアドハーカード
(インドのアドハーカードのイメージ)

https://sbnri.com/blog/nri-income-tax/new-aadhaar-act-for-nris
(非インド国民のアドハー申請の詳細を紹介したサイト)

インドに進出したい方は知っておくべきPANカードとは?

PANカードは納税者番号、PERMANENT ACCOUNT NUMBER の頭文字を略してPANと呼んでいます。インド税当局が発行する10桁の固有の識別番号であり、生涯を通じて有効です。

インドの会社から給与を受け取る、インドで銀行口座の開設、個人でアパートやマンションを借りる、自動車やバイクの購入、インド携帯電話サービスの契約などにも提示する必要があります。このPANカードはインド生活を始めるために大いに役立ちます。

PANカードの申請はオンラインで可能です。インド国内からの申請は93ルピー(約140円)、国外からは864ルピー(約1320円)と費用は異なりますがオンラインでどこでも申請可能です。

詳細は公式サイトをご覧ください。

https://www.incometaxindia.gov.in/Pages/tax-services/apply-for-pan.aspx

今回はインド生活と密接に関係する「アドハーナンバー、PANカード」について紹介しました。インドへ進出し仕事がしたい、長期の滞在を計画している方は参考にしてみてください。私自身インドの現地体験をもとにコラムを作成していますが、インド法務事情のプロフェッショナルではありません。取得申請を考えられている方は公式サイトの最新の情報を確認の上でご検討ください。

※このコラムは画像を含め社外コラムニストから提供されたものであり、「Webマガジン ニュース・オブ・アジア」編集部および合同会社アジア・パブリック・インフォメーションが内容の正確性・最新性を保証するものではありません。ただし、画像・文章の一部は編集部にて取得、あるいは加工、修正してある場合があります。また、コラム内で表現されている考えは当社の考えを代表しているものではありません。コラムニストの信頼性もしくは誠実さは十分に確認されておりますが、情報の利用は当サイトご利用者様ご自身の責任でお願いいたします。

編集部によるPick Up!
  • カトマンズで鳥インフル発生 3000羽以上を殺処分 (2021年2月2日公開)
  • 【コラム】文化や需要に合わせ進歩してゆくインド家電(2020年11月8日公開)
  • ヒマラヤ山脈はコロナ過でも観光客を楽しませていた(2020年10月30日公開)
  • ネパールの大気汚染が過去最悪レベルに (2021年1月16日公開)
  • 雨期のネパール、地滑り頻発のポカラ—カトマンズルートを行く(2020年9月8日公開)
同じ分野の記事をさらにチェックする