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【編集長コラム】ネパールのコーヒー事情を探る②

記事公開日: 2020年1月17日

毎日のコーヒーライフ、いかがお過ごしでしょうか。

さて、本稿は、ネパールのコーヒー事情を探るコラムの第二弾です。このシリーズでは、ネパールの庶民生活に浸透しつつあるコーヒー文化の発展の様子を探っていきます。本稿では、ネパール最大のスーパーマーケットである、「バトバテーニ・スーパーマーケット」(ネパール語表記:भाटभटेनी सुपरमार्केट)を訪ねた経験を基に、コーヒー事情を探りたいと思います。

ちょっと、スーパーマーケットに寄り道

ネパールではスーパーマーケットの発展も日本のそれとは少し異なっています。それで、まずはちょっと、スーパーマーケットとはそもそも何ぞや、というところに寄り道させてください。

皆さんは、「スーパー」と聞くとどんな店舗を思い浮かべられますか?もちろんお住まいの地域によって差はあるかと思いますが、一般的には、一階建てで日用品が一か所でほぼすべて揃うお店のことでしょう。イオン(ジャスコ)やイトーヨーカドーなどは、そういった一般のスーパーとは区別して、「大型スーパー」などと呼ばれたりしますよね。

でも、「スーパー」と言うからには、他に比べてすごいところがあるはずなのですが、では一体何が「スーパー」なのでしょうか? ちょっとこの言葉の意味合いを考えてみましょう。

「スーパーマーケット」は、当然一単語ではなく、「スーパー(超)」+「マーケット(市場)」という成り立ちをしています。この場合の「市場」は「しじょう」ではなく、「いちば」として読んでいただきたいと思います。

スーパーマーケットは、その市場(マーケット)を‟超えて”いくわけです。農家の方や漁業の方や日用品を売る方たちがそれぞれに自分の売りたいものを一か所に持ち寄ってそれぞれに売るのが市場でしたが、スーパーマーケットは一人の経営者が市場で手に入るものすべてを一店舗で売ってしまうことによって、市場を超えた‟市場”だというわけです。それで、スーパーマーケット。

ネパールの「スーパーマーケット(सुपरमार्केट)」

さて、本題の、ネパールの事情についてです。ネパールには、市場が今でも健在です。ネパール語では「バザール(बजार)」です。(もともとはペルシャ語なんだそうですね。昔、メディア・ペルシャがインドまでを支配していたことがありますので、その影響なのでしょうか?ネパール語にはヒンディー語の色濃い影響が見られますので。この辺も興味深いですねぇ。)

さて、日本語で「市場」と「商店街」は意味するところが異なりますが、ネパール語では同じです。日本語の「市場」が意味するバザールも「商店街」を意味するバザールも、健在です。市街地に出かけることを、「バザールに行く」と表現します。そして、専門店(ここでは、おいてある商品のジャンルが決まっているお店のことを言っています)を訪ね歩きながら、目当てのものを探します。本稿のトップ画像は、ネパールの代表的なバザールであるカトマンズ市タメル地区の写真です。

こういったバザールを超えていくのが、スーパーマーケット、いえ、ネパール語の発音としては、スーパルマルケットです。まさにスーパーな存在で、一か所に行けばすべてが揃います。食品、食器、調理器具、洋服、時計、家電製品、apple社製品、靴、etc…なんでも揃います。それも、一般のバザールにはないような、外国趣味のものが置いてあることが多いです。まさに、マーケットを超えたマーケットなわけです。

今から約10年前、私がカトマンズを初めて訪れた頃には、スーパーマーケットは片手の指で数えることができるほどしかない、という印象でした。外国人である私にとってスーパーマーケットのありがたみは、輸入食材が手に入ることと、冷凍品の肉などが買えることでした。一般の商店街や市場では、全く手に入りませんでしたから。そうそう、あの頃ある友人(日本人)は、「ネスカフェゴールドブレンド」が買えることを本当に喜んでいました。

その頃から、カトマンズ市の中心部に近いところに大型の店を構えており、ネパールにおいてまさにスーパーマーケットの代名詞となったのが、バトバテーニ・スーパーマーケットです。これは、ネパールにおけるイトーヨーカドーのような存在で、3階建て、4階建ての大型店舗を作り、地方都市にもどんどん進出しています。

以前は、外国人や富裕層しか利用しなかったバドバテーニですが、時経つうちに、誰でも気軽に利用する大人気店になりました。(もっとも、普段より少しお洒落をして行く場所ではありますが。)このバドバテーニを訪ねれば、現時点でのネパールのコーヒー文化が少し見えてきます。

バドバテーニの、コーヒーコーナー

大体の場合、店舗1階が食品売り場となっていて、入り口を入って程近くに紅茶が売っているコーナーがあります。そこに、コーヒーも売っています。それにしてもこのスーパー、陳列の仕方がいかにもネパールです。同じものがズラーっと並んでいます。

いかにもアジアな陳列です。コーヒーの種類もインスタントコーヒーが圧倒的な量を占めています。と言っても、先ほど書いたとおり、ネスカフェゴールドブレンドのような高級路線のインスタントコーヒーも売っていますし、ちゃんとしたレギュラーコーヒーも置いてあります。そちらの品ぞろえに関しては、また今後の記事で書きたいと思います。

バドバテーニの、コーヒー用品

さて、2階に上がっていくと、食器・調理器具コーナーがあります。ここに、大量のマグカップが並んでいます。そして、コーヒー用品コーナーも。

どうぞ、写真をご覧ください。

真ん中の方に、コーヒーサーバー及び紅茶ポット。下段に、急須とマグカップ。上段に、コーヒープレス。奥の方をよくご覧いただくと、直火式エスプレッソメーカーが!

この順位はとても驚くべきものです。紅茶用品が足元に追いやられているではありませんか!紅茶大国でまさかの逆転劇。。。

でも、実はこれにはちょっとしたカラクリもあります。ネパールの紅茶(チヤ)は、一般的には鍋に茶葉、水、牛乳、砂糖を入れて煮だす方法で淹れます。急須やティーポットを使って、紅茶本来の味をストレートで楽しむ、という飲み方はほとんどされません。

とはいえ、とはいえです。コーヒー用品が上の見やすい場所に置いてあるということには、ネパールのコーヒー文化の発展を知る上で、やはりとても興味深い点です。なぜならそれは、ちょっとリッチになり始めたネパールの人たちが、元々自国に根付いていた紅茶文化に沿ってその高級な味を楽しむことよりも、コーヒーの味を楽しむことを選んでいるということを暗示しているからです。

やはりコーヒーの魅力は万国共通のようです。

さて、先ほどの写真、よく陳列内容を見てゆくと、ネパールのコーヒー文化について、あることに気が付きます。それはなんでしょうか?答えはまた次回の投稿にて。

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