
中国の梅雨事情
もうすぐ梅雨の季節になりますね。
日本に近い中国でも一部の地域だけですが、6月中旬から7月上旬にかけて梅雨の時期になります。
今回はそんな中国の梅雨の過ごし方を紹介していきますね。
梅雨がある地域
長江の中流と下流一帯、そして台湾地方では梅雨と(メイユー)呼ばれる雨季があります。
雨季は3月ごろに南方から始まって北上して来るのですが、6月中旬に長江あたりが雨季になると梅雨と呼びます。
梅雨入りは中国語で入梅(ルーメイ)と言います。
江南梅がちょうど黄色に熟す頃なので梅雨または黄梅雨(フアンメイユー)と呼ぶようですよ。
またカビも発生しやすいのでカビという意味の霉(メイ)と梅(メイ)をかけて霉雨(メイユー)とも言ったりします。
そして梅雨が明ける(中国語で出梅(チューメイ))と本格的な夏が始まります。
梅雨の過ごし方
梅雨の時期は日本の梅雨と同じで湿度がとても高く、洗濯物が乾きにくかったりします。
この時期は中国の旧暦だと5月にあたり、一年の中で生活が一番大変だと感じる事が多いことから別名“毒月(ドゥーメイ)“とも呼ばれているそうです。
じめじめして憂うつにもなりやすいので、快適に過ごすために昔から色々な工夫がされてきたそうです。
雨の音を楽しむ工夫

例えば蘇州では、穏やかな雨の音を楽しむお庭「园林(ユエンリン)」があり世界文化遺産にも認定されています。
南方方面の雨は、スコールに近く雨の音がまた違ってきますので、シトシトとした雨が降る梅雨がある地方ならではの楽しみ方ですね。
ユエンリンは街中に大小合わせて60以上あり、水路がたくさんある事から街全体が東洋のベニスとも呼ばれとても美しい街です。
もっと詳しく知りたい方は、以前の記事で蘇州についてまとめているので、そちらをご覧になってみてくださいね。
おばあちゃんの暮らしの知恵―食事編―
食事では、この時期は胃にあまり負担をかけないよう薄い味付けにしたり、むくみ取りに効果があると言われているハトムギ小豆茶を飲んだり冬瓜を食べたりします。
ちなみに、日本でもドラックストアなどで売られているハトムギ茶は中国人にとても親しみのあるお茶でそこに小豆を足すのが王道な飲み方です。
中国漢方の影響からか、食べ合わせを意識して食事を取ることが多いのは興味深い文化ですね。
おばあちゃんの暮らしの知恵―湿気取り編―
室内の湿気を取るために、昔の人は部屋の四つ角に竹炭や石灰を布製の袋に入れて置いたようです。
天然素材なので今でも安心して活用できますね。
おもしろ雨グッズ
中国の方はあまり長靴を好みません。日本から持ってきた長靴を履いて歩いていたら興味津々の目で見られたこともあります。
でも普段の靴が濡れたら困ってしまうので、最近好まれている対策が普段履きにシリコン素材の防水カバーをつける方法なんです。
カバーには滑り止めがついていたりして、歩きやすいし急な雨にも対応できて結構優れものなんですよ。
梅雨の花
日本の梅雨というとアジサイが有名ですね。
中国にもアジサイがあります。
昔から丸いものを好む風習もあって、日本や西洋の文化の影響も受け、近年は生花にとても人気のある花になっています。
お花屋さんで、鉢植えや切り花を気軽に購入できますよ。
アジサイは中国語で紫阳花(ズーイエンファー),九仙花(八仙花(バーシエンファー)、绣球花(シウチヨウファー)と呼びます。
また枝の部分に毒があり誤食すると危険なことから死人花(スーレンファー)とも呼ぶようです、めったにこの名前を使うことはないようですが。
梅雨を題材にした漢詩
漢詩はお好きですか?
学校で暗記したという人も多いでしょう。中国では小学校から漢詩をたくさん覚えます。
梅雨を題材にした漢詩はとても情緒にあふれた美しいものがたくさんあるんですよ。
ということで、今回は梅雨に関連した中国の小学校で習う簡単な漢詩をご紹介します。

「黄梅时节家家雨,青草池塘处处蛙。有约不来过夜半,闲敲棋子落灯花。」
-赵师秀
意訳;どの家にも雨が降る梅雨の季節(静寂の中)、草がおい茂った池の至る所からカエルの声が聞こえてくる。来るはずの客が待てど暮らせどいっこうに来ず夜もふけてきた、暇を持て余して碁盤を叩いてみたら、すでに燃え尽きそうだったろうそくの灯火が消えてしまった。孤独感を表した宋時代の詩。
「青草湖中万里程,黄梅里一人行。愁见滩头夜泊处,风翻暗浪打船声。」
-白居易
意訳;青草湖(五大湖の一つ)を出発した、梅雨の季節の長い一人旅。波止場で宿泊していると風と波が船を叩く音が聞こえて来るのと同じように、私の悩みも尽きることがない。人生の旅路とかけた唐時代の歌。
まとめ
梅雨の時期は日本も中国も同じようにじめじめした時期になります。
昔からの色々な対策方法は役に立つものがたくさんあっておもしろいですね。
特におもしろ雨グッズは他にも色々あるので、中国人と話す機会があったら日本の雨グッズとの違いを聞いてみるのもおもしろいですよ。
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