
中国の暖房事情
今年も本格的な冬がやってきました。寒い冬に暖房は不可欠ですよね。
中国は国土が広いので東西南北で季節感がまったく違うのですが、特に暖房事情は南北で大きく異なります。
今回は、暖房の利用方法の違いについて解説したいと思います。
南北の気温の差
ロシアとの国境にあるハルビンなどの街がある黒竜江省では、冬の最低気温は-40~-50℃にもなります。平均気温は-1~-10℃前後ととっても寒くなります。
ベトナムなどとの国境にある広西省や雲南省では、いちばん寒くても17℃ほどあります。平均気温は20℃前後ありますので、北と南では50℃前後も気温に差があるんです。
東北地方の暖房事情
中国では北と南で使える暖房器具が決められています。
北半分に属する地方は冬の期間(約4か月間)、暖气(ヌアンチー)と呼ばれる暖房を利用することができます。
この暖气(ヌアンチー)とは、市や区が提供している温水の事です。
街中にある工場で作った熱気を利用して温水を作り各家庭に配水してくれます。

その温水をパイプに通して壁や床に行き渡らせて部屋を暖めることができます。
このシステムの利用費用は1㎡辺り20~30元(2021年1月現在)×期間で計算され、供給期間が始まる前に一括で支払います。
パイプの長さは家ごとに自由に組み替えることでき、長さによっても費用が異なります。
現代の中国は基本的に小区(シャオチュー)と呼ばれる団地のようなマンション群に住むのですが、マンションの棟ごとに届く温水を全体に配水する関係で一軒でも支払い拒否をするとその棟全体の温水が供給されません。
利用は強制ではないのですがトラブルの原因になるので、必ず支払いをしなければならないというのが暗黙のルールで、空き部屋であっても適用されます。
賃貸の場合は、大屋さんがこの暖房費用を負担してくれる場合も多いです。
暖房費用をだれが支払うかによってトラブルが起きることもあるので、東北で賃貸契約をするときには絶対に確認するべき項目の一つになります。
この暖气(ヌアンチー)はかなり暖かく-30℃が当たり前なハルピンなどでも家の中では半袖でいる事ができます。
ただ、棟ごとに温水が供給されるので上階に行けば行くほどぬるくなってしまうという難点がありますが、それでも十分暖かいです。
そのおかげで他の暖房器具を利用することはあまりありません。
暖气(ヌアンチー)の温水供給システム
市内に石炭やガスで高温の温水を作り出す工場がいくつかあります。
熱力会社によって配給方法は違い、蒸気を供給するタイプもあるようです。
その温水や蒸気を専用のパイプで各棟に配給されます。
蒸気が供給される場合は、各部屋に供給される前にいったん水を熱してから各部屋に温水を供給していき、常にパイプに温水を流すことでお部屋を暖め続けることが出来ます。
室内の温度調整は、部屋の壁に設置する暖气片(ヌアンチーピエン)という鉄パイプですることができます。
南地方の暖房事情
南方はもともと暖かいから暖房は必要ではないんじゃないかと思われたかもしれませんが、実は上述した暖气を利用できる区域は、気温に関係なく国の北半分のみ、とはっきり決められています。
南方側の中部地方
実は中部地方では冬の気温が零下まで下がるところもたくさんあるのですが、暖气を利用することができません。
様々な理由があるようですが、一番の大きな理由としては、南方は湿冷(シーラン)と呼ばれる気候にあります。
湿冷(シーラン)とは、冬に雨がよく降り湿気が高い気候を表し、湿気のせいで温水を供給するパイプが壊れやすいためだそうです。
それで各自、オイルヒーターや電気ヒーター、エアコンなどで暖を取ります。
火や石炭を使ったストーブなどの暖房器具は火事の心配から法律で禁止されているので、利用することができません。
電化製品の暖房器具のみの場合、温まり方に限界がどうしても出てきます。
それで中部地方は冬になると、家の中でもダウンジャケットや手袋が必須になります。
外も内も寒いので、かえって東北地方に住むよりも寒さを感じるようです。
それで、最近の高級マンションなどでは地暖(ディヌアン)と呼ばれる床暖房を取り付けるところが増えてきました。
あったか便利グッズ
寒さ対策に防寒具に加えていろいろな便利グッズが開発されています。
そのうちのいくつかを紹介しますね。
暖手宝(ヌアンショウバオ)
最近流行っている、USBで充電できる電子ホッカイロ。
スマホの充電器にもなるタイプもあり、大変便利です。
电热宝(ディアンラーバオ)
ジェルタイプの電気湯たんぽのようなもので、充電して使います。
カバーの部分に両手を入れるところがありそこに手を入れて温めます。
店番している女性がよく使っています。

まとめ
国土が広いこともあって、寒さもところによって感じ方がちがって興味深いですよね。
もし中国で冬を過ごすことがある際には、どんな暖房が使える地域かもチェックしてくださいね。
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