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【中国コラム】中国の大学受験

中国の「学校あり」の標識
(「学校あり」の標識)

中国の大学受験

学歴がかなり重視されている中国では、今月日本のセンター試験に当たる大学受験が行われました。とても注目を集める試験になります。

試験会場は全国の約33万箇所で実施されます。

人生を大きく左右すると言われているこの大学受験はとても厳重に警備されます。日本とはまた様子の違ったこの受験をレポートしたいと思います。

高考と呼ばれる大学受験

中国の大学受験は「普通高等学校招生全国考試」と呼び、一般的に高考(ガオカオ)と省略して呼ばれます。

ちなみに中国の高等学校とは大学をはじめ専門学校など、高等教育機関を指します。日本の高校は、中国語で高级中学(ガオジージョンシュエ)と言います。

毎年6月7日から行われます。2022年も例年と同じ日程で全国各地で一斉に始まりました。

試験は全部で2日間地域によっては3日間行われます。

ただ今年は上海は3月末から5月末までロックダウンしていた影響で1ヶ月延ばすことが発表されています。

今年は昨年よりも多い1193万人が受験しました。

試験当日

中国の大学警備室
(大学警備室)

基本的にこのテストの点数だけで、入る大学が決まってしまうので学生たちにとっては一発勝負の大切なイベントになります。二次試験や面接などはありません。

それでこの時期は街全体が独特の緊張感あふれる雰囲気に包まれます。

受験場所に指定された高校付近は警察官が警備にあたり、会場付近ではクラクションが禁止されます。タクシーは受験生を優先して乗せ、交通機関やホテルも特別な配慮をします。

試験問題

必須科目は国語、数学、外国語です。

それから歴史と物理から1科目、思想政治、化学、地理、生物から2科目選んで受験します。

全部で6科目の試験を受けることになります。

どれを選択するかは基本的に高校一年生の下半期に決め選択授業時に専攻して学んでいきます。

試験問題は国版と省版があり、各省により独自で試験問題を作るところと国版を使うところとに分かれます。

それにより必然的に省によって難易度も変わってきます。

省の独自版を作っているのは、北京、上海、江蘇省、天津省、海南省、浙江省で、比較的学力の水準が高く大学が多い省が独自の問題を作っている傾向にあります。

外国語問題

外国語は英語の他に日本語、ロシア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語を選ぶことができます。

近年英語の試験問題よりも設問が簡単で点が取りやすいとの理由で日本語を選ぶ学生が増えている傾向にあるようです。2016年には一万人の学生が日本語を選んでいましたが、2020年には10万人の学生が選んだというデータがありました。

それに伴い、各地の高校で日本語の授業をするところが増えているようです。

点数によって入る大学が決まる

配点は、3教科と選択科目が各150点、基礎総合が30点の630点満点となります。

少数民族は政策として配点に関して優遇されていて、数十点ほど加点されることもあります。1点の差で将来が変わると言われているのでこれは大変大きな差のようです。

それで受験のために戦略的に戸籍を移す家庭や、何らかの手段を使って少数民族に改族する家庭もあるそうです。

中国の方の受験に対しての並々ならぬ意気込みを感じます。

中国の高校
(中国の高校)

どの省で受験するかも入れる大学に影響する

各大学専攻の募集人数は各省の人口,大学所在地,専攻の特殊性などをみながら省ごとに配分されていて、省ごとに点数順に入れる大学を振り分けられていきます。例えば2021年度北京にある大学“清華大学”は北京から550人、上海220人、江蘇省300人、海南省50人などに振り分けています。

高考を受けないと言う選択

近年、高考に対するストレスが強すぎて子供に対する影響を懸念する声が高まってきているようです。

実際、受験のストレスで子どもたちが自殺をしてしまうと言う事件が絶えません。日本では子どもたちのいじめが問題になりがちですが、ここ中国では受験のストレスが子供や教育に関しての主な問題にあがります。

それを回避するために、子どもを留学させると言う選択を取る家庭が増えています。

国際学校や国際化のある学校に通わせ、海外の大学に入学させるという流れです。

学費はそれなりにかかりますのでそれなりに余裕がある家庭に限られますが、国際科を増設する私立高校が増えている傾向から、大きな社会問題になっていることが伺えます。

実際、留学の経験があればどんな大学に通っていたかに関わらず、就職にかなり有利に働くようです。

受験対策の大変さ

受験のため普通の高校に通う学生たちは“命を削って”受験勉強をします。「只要学不死,就往死里学」という言葉があるようです、訳すと「勉強くらいでは死ぬことないから、死ぬほど勉強しろ」となります。

まとめ

日本の受験スタイルとはだいぶ違う中国の受験事情。教育背景を知るとその国の人の考え方も理解しやすいですよね。高考について調査しながら教育が人に与える影響を考えさせられました。子供には良い環境をと願うのはどこの国の人も共通した思いですね。

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