中国の羊肉ってヒツジ?ヤギ?
中国ではいろんなお肉が食べられています。
日本でもお馴染みの豚肉、鶏肉、牛肉はもちろん羊肉やカエルやウサギなどちょっと変わったものから、犬肉などビックリするようなお肉も所によっては食べられています。
その中の<羊肉>と聞くとマトンかラムと呼ばれるヒツジのお肉を思い浮かべる人も多いですよね。
わたしも中国に住んでかれこれ9年になりますが、ずっとわたしが口にしているものはマトンつまりヒツジなのだと思っていました。
実はヤギ肉も羊肉と言うんだよとは聞いていましたが、一部の地域限定なのだとばかり…。
ということで、今回は羊肉とは一体なんのお肉を指すのか調べたものをまとめますね。
メジャーなお肉の一つ「羊肉」
中国では羊肉は普段から食卓に上がるメジャーなお肉です。牛と同じくらいの価格で豚肉より少し高級な感覚です。B級グルメの定番クミンがたっぷり降りかけてある「羊肉串(ヤンロウチュアン)」も至る所で売っています。
という訳で肉市場やスーパーで手軽に羊肉を購入することができます。
ただ羊肉としか表記されていませんが、実はヤギ肉もヒツジ肉も羊肉として売られているんです。
この段階でどちらのお肉か判断することはできません。
実際に混在して売られています。
それで、肉の見た目や触った様子で肉を見分けるそうです。

ヤギとヒツジの見分け方
ヤギ肉は羊肉と比べて筋肉質で弾力があり、赤みが少ないのが特徴です。
香りはヤギの方が強く、肉質も硬めだと言われています。
実際に食べたところ、ヤギ肉は赤身肉でもすごく柔らかく食べやすく、香りは確かに牛肉や豚肉よりも強くて独特の香りがしますが、クサイという印象は受けませんでした。ただ、ジビエ肉が苦手な人はクサイと感じると思います。また新鮮であることも大切なようです。
ちなみにジビエ肉の独特な香りを、中国語では腥味(シンウェイ)と言います。中国の方の中でも苦手とする人もいます。
この腥味は、魚類や野菜のえぐみや独特の香り全般なども意味します。
腥味を取り除くために、クミンやニンニク、生姜、ネギなどがたくさん使われます。
とくに羊肉の臭みを消すのにニンジンは定番で、一緒に煮込んだりスープにしたりします。
なぜヤギもヒツジも羊肉?
元々は西北地方や内モンゴル地方ではヒツジを主に食べていたそうです。
ウィグルの特産、羊肉串は基本的に今でもヒツジを使っているようです。
ヤギ肉が食べれるようになったのは、なんでも食べる雑食で雑草処理に最適だということ、繁殖力が高く適応性も高いので、管理しやすく育てやすいことが理由で特に南方で広く飼育されるようになったからのようです。
ちなみになぜ両方とも同じように羊肉と称しているのかは百度で調べてもわかりませんでした。
が、そもそも古代ではヤギもヒツジも同じ羊(ヤン)と呼ばれていたそうです。宋の時代(西暦960〜1279年)になって初めてヤギは山羊(シャンヤン)、ヒツジは綿羊(ミエンヤン)と区別するようになったようです。その影響が多少なりともあるのかもしれませんね。
綿羊はかわいいというイメージが先行するため、綿羊肉を食べるとは言いづらく羊肉(ヤンロウ)と表現すると説明する方もいるようです。
東方、南方の羊肉は基本ヤギ
東方、南方ではヤギの方が多く飼育されていることの影響で市場に出回っている羊肉はほぼヤギだそうです。
特に江蘇省の徐州、蘇州や上海、江西省、海南省あたりのヤギ肉は大変有名です。
また台湾も羊肉といえばヤギ肉を表し、ヒツジはほとんど輸入品だそうです。
ヤギ肉の飼育規制
ここ約20年の間、飼育のしやすさなどからヤギ市場が発展してきましたが、近年では生態環境問題を配慮してウィグル地方や内モンゴル、遼寧で放牧禁止もしくは制限する政策がとられているようです。
それで、2007年から2011年まで全国のヤギの飼育量はヒツジを上回っていましたが、2012年からヤギの方が減少している傾向にあります。
現段階では、食用の飼育量は半々といったところのようです。
ミルク用のヤギもたくさん飼育されていて、粉ミルクや石鹸などに加工されて流通されています。
羊肉の食べ方


ヤギもヒツジも頭の先からお尻まで余さず食べられます。
頭の肉、脳、舌、心臓などのモツ、脚、目などなど、どんな部位でも食べちゃいます。
それを香辛料と一緒に煮込んで、タレにつけながらいただくという食べ方もありますし、中国式バーベキューとして食べます。その場合は必ずクミンを振りかけます。
汁物だと白菜や中国春雨と一緒に煮込んだ、塩味ベースの羊肉汤(ヤンロウタン)がおすすめです。麺を入れて主食にすることもできます。お好みで白胡椒やラー油を後入れします。
煮込み料理の定番はニンジンと一緒に煮込んだ醤油ベースの胡萝卜炖羊肉(フールオボードゥンヤンロウ)です。甘めの味付けでニンジンにもしっかり肉の香りが移ってとっても美味しいですよ。
まとめ
日本ではあまり馴染みのないヤギ肉ですが、中国ではかなりポピュラーに食べられています。機会があればぜひためしてみてくださいね。
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